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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成29年4月18日 国土交通委員会

建設工事従事者の安全および健康の確保の推進に関する法律(建設職人基本法)に関して、建設従事者の安全確保において手すり先行工法の推進について質問




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。
 住宅セーフティーネットの法案の審議に関しましては、午前中の参考人質疑の中で今後の課題について質問させていただきましたし、また午後の各委員の先生方との質問に重なることも多くありますので、私は、この法案にまず賛成することを表明いたしまして、一言、大臣からの御意見をお伺いしたいと思います。
 将来に向かって、人口減少を背景にいたしまして、空き家、空き室がますます増加をすることを踏まえ、民間の空き家、空き室を利用して要配慮者に対しての住居を提供するという今回の制度は、大変現実的な制度の第一歩であると評価をいたしたいと思います。
 この制度が今後有効的に機能するためには、まず国から地方自治体に至るまで住宅政策と福祉政策の連携を密にすること、また地域の実情に沿った実態調査を定期的に実施をすること、また家賃の低廉化に対してしっかりとした予算の保障をすることが大切だと考えております。
 大臣の総合的な御意見をお聞かせいただきたいと思います。


○石井啓一 国土交通大臣

 今回の制度改正によりまして重層的な住宅セーフティーネット機能の強化を図るに当たりましては、御指摘のとおり、まず、国及び地方公共団体におきまして、住宅部局と福祉部局との連携の下で施策を推進することが重要であると認識をしております。このため、国におきましては、昨年、厚生労働省との間で設置をいたしました関係局長級による連絡協議会などを活用し、より一層の連携を深めるとともに、地方におきましても、住宅部局や福祉部局、またその関係団体が連携をいたしました居住支援協議会の活動に対する積極的な支援を行ってまいります。
 また、実態の把握につきましては、地域ごとに住宅事情が異なることから、本法律の基本方針におきまして、地域における住宅確保要配慮者の実態把握の重要性について明らかにすることとしております。厚生労働省とも連携をいたしまして、今回講じる施策の実施状況について、その有効性も含め、フォローアップをしてまいりたいと存じます。
 さらに、家賃低廉化につきましては、継続的な支援を行い、住宅確保要配慮者の居住の安定を図る必要があると考えております。制度発足後の地方公共団体における取組状況等を踏まえながら、必要な予算の確保に努めてまいります。
 こうした取組を総合的に推進をいたしまして、今回の制度改正の効果が十全に発揮されるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。



○青木愛

 ありがとうございます。
 この制度がしっかりと機能するように、様々な角度からの予算措置を含めた必要な施策をお願い申し上げておきたいと思います。
 それでは、話題を変えさせていただきまして、昨年の十二月の六日に参議院国土交通委員会において全会一致で可決、成立しました建設職人の基本法について今日はお伺いをさせていただきたいと思います。
 今この基本法に基づきまして、国土交通省と厚生労働省とが基本計画を策定しているところと伺っております。そこで、建設従事者の安全確保、この一点について今日はお伺いをさせていただきます。現場からは、安全確保において手すり先行工法というこの足場の設置が大変有効であるという声を伺っておりまして、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、国土交通省にお伺いをいたしますけれども、国土交通省が、平成十五年から仕様書におきましてこの手すり先行工法のガイドラインを位置付けております。国の直轄工事はこの工法によらなければならないと実質されております。この仕様書の採用に先立ちまして、国土交通省が実証パイロット事業を行ったと聞いておりますけれども、その経緯をまずお伺いしたいと思います。


○五道仁実 大臣官房技術審議官

 お答えいたします。
 国土交通省では、平成十三年度に中国地方整備局が発注した工事において、手すり先行足場を採用した実証パイロット事業等を四つの工事で実施しております。その結果、安全性の評価項目では二つの工事で従来技術と同等、残りの二つの工事で従来技術より優れるという評価が得られております。
 その後、平成十五年度の土木工事共通仕様書において、仮設工の施工に当たって適用すべき諸基準の一つとして平成十五年に厚生労働省が策定した手すり先行工法に関するガイドラインを位置付けているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 その実証パイロット事業によって評価すべきということにおいて、ガイドラインが作られたという経過だと思います。
 平成二十二年の十月の十二日の衆議院の予算委員会におきまして、足場の設置の際にこの手すり先行工法を採用している国土交通省の直轄の工事現場においては死亡者がゼロであるという答弁がありました。現在もその傾向は続いているという認識でよろしいでしょうか。


○五道仁実 国土交通大臣官房技術審議官

 お答えいたします。
 国土交通省直轄工事で発生した事故関係の統計によりますと、足場からの墜落事故による死亡者は、平成十六年度から二十八年度の間において年間ゼロ名から四名の間で推移しております。直近の平成二十七年度の二件、平成二十八年度の一件発生した足場からの墜落による死亡事故について確認したところ、手すり先行工法を採用した現場では死亡事故はございませんでした。
 国土交通省としては、墜落防止の措置として土木工事安全施工技術指針等の周知徹底を図ってきております。具体的には、狭隘な場所や橋梁上部からの点検等の手すり先行工法が使用できない場合における安全帯の使用や、新規に入場した作業員に対する安全教育の実施等の対策を進めているところです。これらの総合的な取組の結果、足場からの墜落事故による死亡者が、近年、先ほど述べさせていただいたとおりの水準で推移しているものと考えてございます。


○青木愛

 ありがとうございます。
 手すり先行工法による直轄事業において死亡事故はゼロだったということが確認できました。
 厚生労働省にお伺いをしたいと思います。御出席ありがとうございます。
 安全対策として有効だという国土交通省がおっしゃっているこの手すり先行工法の実は実施状況なんですけれども、国が発注している事業は九割この工法が実施されておりますが、地方の事業に対しては八割、それに対して民間が一割でしか採用されていない。手すり先行工法の実施状況、民間では一割ということでありまして、したがって、民間事業においてはいまだ足場からの転落、墜落事故が多発しているという状況がございます。
 まさに、このことは、この手すり先行工法が墜落、転落の事故防止に一つの手段として有効であるという証明だと思いますが、厚生労働省の御見解をお伺いしたいと思います。


○田中誠二 厚生労働省労働基準局安全衛生部長    

 お答えいたします。
 厚生労働省の調査では、平成二十三年度の当時、手すり先行工法の採用率ですが、民間の現場で二三・二%、それも含めて、それ以外の建設現場も含めまして全体の平均で三三・七%というふうに把握をしております。
 手すり先行工法につきましては、平成二十六年十一月に取りまとめられました足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会の報告書によりますと、平成二十一年度から二十三年度に発生した足場の組立て、解体時における最上層からの墜落、転落災害、合計三百八件のうち、手すり先行工法を実施した現場における災害は九件、全体の二・九%となっております。その当時の手すり先行工法の普及率は約三割強ということでございますので、これを踏まえますと、この工法は足場の組立て、解体時における墜落、転落災害防止効果が高いと考えられるとされております。
 一方で、同じ報告書では、手すり先行工法による手すりは足場の外側のみに採用されることが多いことから、足場の外側への墜落、転落防止効果は期待できるが、足場の躯体側への墜落防止のためには手すり先行工法に併せて安全帯の使用が必要となるというふうに記載されているところでございます。


○青木愛

 ありがとうございます。
 今の御答弁によりますと、この手すり先行工法というのは、やはり一つの手段として墜落、転落事故防止に有効であるという御見解でよろしいのでしょうか。


○田中誠二 厚生労働省労働基準局安全衛生部長

 先ほどの報告書にあるとおり、この手すり先行工法は、足場の組立て、解体時における墜落、転落災害防止効果が高いというふうに考えられるとされているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 そうした御見解の上で、厚生労働省自ら平成十五年に推奨するべくガイドラインも出しているわけであります。手すり先行工法は、この墜落、転落事故防止に大変有効であるというふうに考えておりますけれども、今この基本計画が作られている中において、やはり今、先ほど二割とおっしゃいましたけれども、私の調査では一割でしか採用していないという、一割、二割でしか採用していないということなんですが、国の直轄工事については、仕様書においてこのガイドラインを位置付けたことによって実質この手すり先行工法は義務化されていると言っていいと思うんですが、この官民格差を是正して、やはり民間の工事についても国と同様の環境を整えるべきではないかというふうに思いますけれども、厚生労働省の御見解、お願いいたします。


○田中誠二 厚生労働省労働基準局安全衛生部長

 手すり先行工法につきましては、平成二十七年に改定をいたしました足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱におきまして、労働安全衛生規則の確実な実施に併せて実施することが望ましい、より安全な措置の一つとして位置付けまして、この工法の普及促進を図っているところでございます。
 委員御指摘のように、墜落、転落災害の防止は重要な課題と認識をしております。現在検討を進めている建設職人基本法に基づく基本計画におきましても、墜落、転落災害の防止対策の充実強化に関する項目を盛り込むべく検討をしておりまして、実効ある対策の推進に一層取り組んでまいりたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 是非、官民格差をなくして、国の直轄事業と同様の環境を民間の工事についても整えていただきたい、重ねてお願いを申し上げます。私としますと、この手すり先行工法の実施を義務付けることもこの死亡災害をゼロにする道の一つだというふうに思いますので、そのことはお伝えをしておきたいというふうに思います。
 この建設職人の安全確保という点について、最後、大臣の御意見をお伺いをさせていただきたいと思います。
 この建設業は、国民生活と産業活動の基礎を築く要の産業であります。それに加えて、今、日本各地で地震や集中豪雨など自然の猛威がもたらす災害が多発しておりますけれども、そうした災害に遭遇したときにいち早く被災現場に駆け付けて、昼夜を問わず復旧作業をしてくださっているのが建設業の方々であります。いかなる復旧作業でも、いかなる建設事業であっても、この建設従事者の犠牲を伴うものであっては許されません。
 そうした観点から、この現場で働く方々の安全確保について、最後に石井大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。



○石井啓一 国土交通大臣

 建設業は現場で直接施工を担う建設工事従事者によって支えられておりまして、人材で成り立っている産業であります。一方で、過去に比べると建設業における死亡災害等は大きく減少はしているものの、平成二十七年において四百八名の方が亡くなっている現状は重く受け止めております。
 建設工事従事者の安全の確保につきましては、労働安全衛生法の規定の遵守を徹底していくことがまず重要でありますが、その前提といたしまして、建設工事従事者安全健康確保法にも規定されておりますように、請負契約において適正な請負代金や工期等が定められることや建設工事従事者の処遇改善や地位の向上が図られること等が求められていると考えております。
 また、建設工事従事者安全健康確保法の施行を受けまして、厚生労働省等の関係機関と連携しつつ、同法に基づき建設工事従事者安全健康確保推進会議及び専門家会議を設置し、現在基本計画の策定に向けた議論を進めております。同法やその附帯決議の趣旨を踏まえまして、基本計画の策定にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。


○青木愛

 ありがとうございます。
 是非、石井大臣におかれましては、厚生労働省との連携の下で積極的なお取組をよろしくお願い申し上げます。
 また、墜落、転落の犠牲者を出さない、死亡者をゼロにするという、まさに厚生労働省ならではの、労働者の立場に立って、安全対策に資するものはあらゆる方法も排除しないと、そういう姿勢で是非この基本計画に当たってお取組をいただきたいということを切にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございます。







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