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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成29年5月11日 国土交通委員会

水防法の一部を改正する法律案について




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。
 水防法の一部を改正する法律案について質問をいたしますが、質問が重なっておりますので端的な御答弁をお願いできたらというふうに思います。
 まず、この度の改正で新たに大規模氾濫減災協議会が創設をされますけれども、この効果をまず教えてください。


○山田邦博 水管理・国土保全局長

 お答えいたします。
 一昨年の関東・東北豪雨による被害を受けまして、水防災意識社会再構築ビジョン、これを作りまして、これに基づく協議会の取組を進めてまいりました。今回の水防法の改正におきまして、この制度を法定化して施策の実効性、継続性の向上、あるいはなかなか進んでいない都道府県のこの協議会の設置の推進が図られるというふうに思っているところでございます。
 効果でございますけれども、例えば北海道北見市の常呂川におきましては、協議会におきまして水害対応タイムラインを早期に作成したことによりまして、昨年の台風十一号豪雨時に円滑な避難が実施できたこと等非常に効果的であることから、水防災意識社会再構築に向けた施策の実施も加速化されることになりました。
 今後とも、この協議会の制度を通じまして、大規模氾濫からの被害軽減に向けて関係者一体となって努力していきたいと考えております。



○青木愛

 先行して行われてきました国の直轄管理河川における取組を今後都道府県が管理する河川にも拡大をするということだと思いますが、こうなりますと、対象となる河川数が一千九百九十一河川と増えることや、また河川が複数の自治体を流れているためにほかの自治体との連携を図る必要性が生じるなど、都道府県には相当の負担も生じるのではないかという懸念もございますけれども、国はどのような支援を行ってまいりますでしょうか。


○山田邦博 水管理・国土保全局長

 お答えをいたします。
 大規模氾濫減災協議会の設置に当たりましては、その対象となる洪水予報河川、あるいは水位周知河川の指定数に鑑みまして、協議会の構成員となる地方公共団体等の負担を軽減するために、圏域あるいは行政界などを考慮して複数河川をまとめて協議会を設置するということとしているところでございます。また、都道府県による大規模氾濫減災協議会の設置に際しましては、各地方整備局に相談窓口を設置し、また都道府県協議会を国の協議会との合同開催にしたり、あるいは都道府県協議会への国のアドバイザー等参画するなど、都道府県の取組を支援してまいりたいと考えております。
 いずれにしましても、大規模氾濫減災協議会の運用に当たりましては、地域の実情も考慮いたしまして、より効率的な取組の実施に努めるとともに、都道府県の負担を軽減するように取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 とりわけ災害時に配慮が必要となりますのが高齢者、また障害者、乳幼児などが安全に避難できるという取組が重要となると思います。今回の改正でリスクの高い区域にある各種要配慮者利用施設に対して避難計画と避難訓練、努力義務が義務化されるということになっておりますけれども、現時点、平成二十八年の三月の時点で、三万一千二百八施設あるうちの避難確保計画を作成しているのが七百十六施設ということで、二%にすぎないということであります。
 この二%を一〇〇%につなげていくというのは大変なことだというふうに思いますけれども、国はどのようなタイムスケジュールでこの目標を達成するおつもりなのか、お伺いをいたします。


○山田邦博 水管理・国土保全局長

 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、平成二十八年三月末現在で、避難確保計画の作成の対象になっている施設についてこれから避難確保計画を作っていくわけでございますけれども、平成三十三年度末までに一〇〇%の実現を目標としているというところでございます。
 このため、今回の水防法改正によります避難確保計画の作成義務化に併せまして、より分かりやすい解説を加えるなど手引を充実していくこと、それから地方公共団体が適切に計画作成を指導できるよう関係機関と連携した点検用マニュアルを作成していき、そしてモデルとなる地区において関係機関と施設管理者等が連携して避難確保計画を検討、作成し、そこで得られた効果的な避難等に関する知見を市町村に提供等支援をしていきたいと考えております。
 さらに、大規模氾濫減災協議会の場で要配慮者利用施設の避難確保計画の作成状況をフォローアップしていくなど、施設において計画が着実に作成されるよう努めていきたいというふうにも考えているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 是非それぞれの地域、またそれぞれの施設、特に高齢者施設、また医療施設などは訓練を行うことも大変な面もあろうかと思いますので、よりきめ細やかなフォローアップのほどよろしくお願いをいたします。
 そして、最も決壊の危険をはらんだ川の一つに荒川がございますけれども、明後日の十三日に地元東京都北区で総合水防訓練が行われます。荒川が氾濫危険水位に迫るという想定の下で行われるわけですけれども、北区内百八十二町会、自治会の会長さんや防災担当者、また消防署、消防団、下水道局、地下鉄の事業者、河川事務所、またボランティア団体などが参加をいたします。これまでもヘリコプターのホバリングなどかなり大掛かりな、北区においては最大規模の訓練になっております。太田前大臣がいらっしゃることもあるかもしれませんけれども、北区では大変防災意識が高いという状況があろうかと思います。
 こういった取組もありながら、住民、区民にとって身近なツールとして重要なのはハザードマップだというふうに思います。北区の場合は、京浜東北線の東側のほとんどが浸水することが予想されておりまして、場所によっては浸水の深さが二メートルから五メートルにも及ぶところがございます。住民一人一人がこうした現状を平時から理解しておくことが大事だというふうに思いますけれども、このハザードマップの周知徹底について国はどのような御指導をされていますでしょうか。


○山田邦博 水管理・国土保全局長

 ハザードマップの周知につきましては、各自治体によりまして、印刷物の配付に加えて、インターネットですとかあるいは自治会の掲示板の活用、それから説明会の実施、避難訓練での活用等、多様な手段で行われているところでございます。
 東京都北区におきましては、日頃から住民に水害の危険性を認識してもらうために町中に想定浸水深の標識を掲示するという、いわゆるまるごとまちごとハザードマップといいますか、この取組も進められているところでございます。
 国土交通省といたしましても、ハザードマップに関する広報を行うとともに、全国のハザードマップを閲覧できるポータルサイトを設けるなど、認知度向上に努めてまいりました。また、昨年改訂をいたしました市町村向けの水害ハザードマップ作成の手引きでは、避難訓練あるいは防災教育等におけますハザードマップの利活用事例をまとめまして、住民の理解を深める取組を促しているところでございます。
 今後は、大規模氾濫減災協議会の場を活用いたしまして、市町村とも連携しつつ、ハザードマップの活用も含めて、的確な避難に関する住民の理解が進むよう努めてまいりたいと考えているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 また、こうした平時の取組に加えまして、まさに高水時に迫りくる危険情報を住民に知らせることが肝要でありますが、この荒川流域におきまして洪水情報をスマートフォン等へ直接知らせる取組、今年の五月から開始をしたと聞いておりますが、取組状況と、また、この方式を全国各地にまた展開することにも意味があると思いますけれども、全国展開の御計画などはありますでしょうか。


○山田邦博 水管理・国土保全局長       

 お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、国土交通省では、洪水時に住民の主体的な避難を促進するために、携帯電話事業者の緊急速報メールサービスを活用して、洪水情報のプッシュ型配信に取り組んでいるところでございます。
 この取組は、平成二十七年九月の関東・東北豪雨を踏まえまして、平成二十八年九月から、全国に先駆けて鬼怒川流域の常総市とそれから肱川流域の大洲市、これを対象に運用を開始をいたしまして、本年五月からは、荒川水系を含みます六十三水系にエリアを拡大して運用しているところでございます。
 洪水情報のプッシュ型配信は、個々の住民の方々に洪水氾濫の危険性を迅速かつ確実に伝達する上で非常に有用でありまして、平成三十二年度までに国が管理をする全国百九水系へ取組を順次拡大していくこととしているところでございます。
 今後も引き続き、できる限り早期に多くの水系で運用開始ができるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。



○青木愛

 よろしくお願いいたします。
 続いての質問に移りますが、こうした異常気象による激甚災害を極小化するためには、正確な気象予測が極めて重要であろうと思います。気象衛星は大変大きな役割を果たしておりまして、今、世界最高水準にあるひまわり八号と九号が現在相互に補完し合いながら、宇宙から日本周辺の気象に関する情報提供を行っています。
 気象衛星は以前に比べて格段に精度が向上したというふうに伺っておりますけれども、このようなデータを活用しながらどのように予報精度が向上しているのか、お聞かせいただきたいと思います。


○渡邊良 気象庁次長

 御答弁申し上げます。
 世界最先端の気象観測機能を有するひまわり八号、九号は、従来と比べまして、画像の解像度が二倍に、また観測頻度が六倍となっております。
 この高解像度、高頻度な観測データを用いることで、平成二十八年六月から、台風進路の予報円、予報円といいますのは台風進路予報で台風の中心が七〇%の確率で入る範囲でございますけれども、それを二〇から四〇%小さくするなどの精度向上を図っております。さらに、平成三十年からは、現在の十倍の計算能力を持つスーパーコンピューターの運用を開始する予定です。これにより、「ひまわり」の観測データをより高度に利用するとともに、気象の予測技術を改善し、降雨の予測精度の向上などを図っていく計画です。
 気象庁では、これら最先端の「ひまわり」の観測データやスーパーコンピューターシステムの技術を十分に活用し、引き続き予測精度の向上に努めてまいります。



○青木愛

 ありがとうございます。
 現在、地球全体が異常気象に襲われております。日本は、この「ひまわり」とともに、スーパーコンピューターによる気象予報、これが世界最高水準にあると伺っておりまして、この日本が所有する気象データと気象解析技術によって世界の気象被害軽減に貢献するということは大変意義深いものと考えます。今、この気象分野においても国際協力を進めているように伺っておりますけれども、是非、この分野におきまして日本がイニシアチブを取って、また今以上に世界に貢献することを期待したいというふうに思います。
 それでは最後に、石井大臣に御質問をさせていただきます。
 この度のこの法案改正の趣旨であります逃げ遅れゼロ、これに向けた石井大臣のリーダーシップに期待し、意気込みをお伺いをさせていただきたいと思います。


○石井啓一 国土交通大臣

 近年、全国各地で水害が頻発化、激甚化する中、施設では防ぎ切れない大洪水は発生するものとの考えに立ちまして、社会全体で洪水に備えるため、これまで進めてきた防災対策を着実に実施することに加えまして、河川管理者、都道府県、市町村等の関係者が連携して、ハード、ソフト一体となった減災対策を総合的かつ一体的に推進する必要があると認識をしております。
 特に、平成二十七年の関東・東北豪雨や昨年の台風十号の被害を踏まえまして、まず、防災対策として、施設により安全を確保しとする規模の洪水に対して、氾濫被害を未然に防ぐため、堤防整備や河道掘削等のハード整備を着実に推進する取組やダムの再開発等の既存ストックを最大限に活用する取組等を進めるとともに、減災ということで、現況施設能力を上回るあらゆる規模の洪水から氾濫被害の軽減を図るため、関係者が総合的かつ一体的に取り組むための協議会の設立や、避難勧告の発令に資する水害対応タイムラインの作成等を進めてまいります。
 さらに、今回の水防法等の改正によりましてこれらの取組を加速化し、逃げ遅れゼロと社会経済被害の最小化の実現を目指します。
 今後とも、国土交通省の現場力を最大限活用いたしまして、水害から国民の生命と財産を守るため、全力を挙げて防災・減災対策に取り組んでまいりたいと存じます。


○青木愛

 御期待申し上げます。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。







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