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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成30年5月31日 国土交通委員会

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案について
(参考人質疑)




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○青木愛

 今日は、吉原参考人、また嶋津参考人、大変貴重な御意見をありがとうございます。
 まず、両参考人にお伺いをいたしますが、平成元年の土地基本法というものが制定されておりますが、そこには、土地の保有状況というのを明らかにする、そうした責務が明確には定められておりませんが、先ほど来、所有者の責務というお話がございましたけれども、まずこの土地基本法の在り方について、もし御所見があればまずその点について、国民の責務として土地所有の責務、これを明確に定められていない今の土地基本法の在り方について御意見があればお伺いをさせていただきたいと思います。


○吉原祥子 公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

 御質問どうもありがとうございます。
 土地所有者が持つ権利とそれに伴う責務というものをこれからバランスよく考えていくということが大事であろうというふうに思います。その権利というものが、利用する権利だけではなくて、低未利用のまま放置をしておくこともその権利に含まれるのだろうかという問題もこれから発生してくると思います。管理責任というものをどう考えるのかということですね。
 それと、今おっしゃいました、議員御指摘のありましたその権利、所有者としての権利を適切に公示をしていく、自分がこの土地の所有者であるということを広く世の中にきちんと示していくということも、やはり所有者としての責務の一つであろうというふうに考えます。
 御指摘の土地基本法については、時代背景としましては、高度成長の後、まだバブルの頃ですね、地価高騰、それからリゾート開発などの乱開発、そうした行き過ぎをどう抑制するか、土地を投機対象と考えることをどういうふうに抑制していくかと、そうした時代背景から定められたものであるというふうに理解をしております。
 しかし、それから数十年経過いたしまして、今我々が直面をしている土地問題というものはその頃とは大分様変わりをしています。もちろん、都市部、東京都などにおいては地価高騰が起こっているところもありますし、オリンピックを前にやはり投資が進んでいるところもある。しかしその一方で、先ほども、前の御質問でありましたが、都市部と地方において随分土地をめぐる状況が違うと。そうした中で、我々が土地を適切に管理し、そして権利を保全していくということ、やはりその責務というものをいま一度こうした基本法においてもうたっていくことが今後求められるであろうというふうに考えます



○嶋津暉之 水源開発問題全国連絡会共同代表

 今の御質問で、土地基本法についてのことで、ちょっと私はこのことについては特に専門的にやっているものではありませんので、意見を差し控えさせていただきます。



○青木愛

 承知いたしました。ありがとうございます。
 今回の法案の仕組みの中で、公共事業に対する所有権の取得、そして地域福利増進事業に対する利用権の設定というふうに分かれているんですけれども、目の前の対応策として、利用権の設定の方は、所有者が後から現れた場合はその明渡しを求められるということで、原状回復をしてお返しをする、異議がない場合は延長も可能だというふうになっており、余り問題はないのかなというふうに思っておりますが、公共事業という内容ゆえに、後から所有者が現れたとしてもなかなかお返しできるような状況にはないというふうに思いますので、やはり、嶋津参考人が先ほど来御指摘されているように、本当に所有者の不明な土地なのかどうなのかということはやはり徹底的に調べ尽くす必要があろうかと思いました。
 事業者と所有者が不明だという認定をするのが都道府県ということで、同じ者がそれを担うということに対して、やはり客観性を持たせた方がいいのではないかという趣旨の御発言を嶋津参考人はされているかと思うんですが、その点について、逆に吉原参考人に、嶋津参考人が御指摘する点について、またこの法案の中で何か今後対応策がないかどうか、何かアイデア等御意見がありましたら、是非、吉原参考人にお伺いしたいと思うのですが。


○吉原祥子 公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

 ありがとうございます。
 この所有者不明土地かどうかということの徹底的な追求というものは、まさにこの法律を生かしていくための大原則であるというふうに思っております。
 また、その手続において、都道府県で同じ事業主体が事業認定を行うということについても疑問視するという御指摘もごもっともかと思いますが、しかしながら、この法案の審議の過程においては、国土審議会、それから国交省の中などにおいて丁寧な議論が尽くされておりますし、これは、繰り返しですけれども、対象となる事業というものが極めて限定的であり、また、この中においても知事がどのような裁定プロセスを踏むのかということもかなり厳格に定められております。これがむしろ、事業の促進の足かせにならないことを私はむしろ願っております。
 この法律が適切に円滑に進むための必要な手続というものは十分盛り込まれておると思いますし、そこは財産権との兼ね合いで適切な運用がなされるというふうに期待をしておるところです。



○青木愛

 済みません、国、都道府県の事業認定、あるいは土地が不明であるということの認定については厳格な対応策がこの法案の中で図られているということなんですけれども、具体的にもう少し教えていただけますでしょうか。


○吉原祥子 公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

 ありがとうございます。
 例えば、今回の法案では所有者の探索を合理化する仕組みというものがうたわれておりますが、それと併せて、土地等の関係者関連情報の利用及び提供などについてもうたわれております。これまで利用の難しかった固定資産課税台帳の利用とか、あるいは地籍調査票など、そうした公的な書類についても利用できることがうたわれております。これは、なかなか今まで利用したくても自治体の方が入手が難しい情報もございましたので、やはり探索を尽くすという意味において手段が増えているということは明確に言えると思います。



○青木愛

 済みません、重ねて大変恐縮なんですが、その手段、方法については十分理解できるんですけれども、嶋津参考人がおっしゃる客観性という部分はどのように担保されていくべきだというふうにお考えでしょうか。


○吉原祥子 公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

 客観性におきましても、都道府県の中あるいは適切な部局において審議が尽くされるものであると考えます。むしろ、それができなければこの法案を適用することはできないわけであります。
 そうした具体的な議論の検討の方法などにつきましては、これから、基本方針それからガイドライン、そうしたところにおいて丁寧に規定されていくものであると、政令などですね、そうしたものにおいて丁寧に規定されていくものであるというふうに考えております。



○青木愛

 大変ありがとうございます。
 その客観性を担保する仕組みをより具体的に今後の基本方針ですとかガイドラインあるいは政令で定めていく必要があるということで、これはまた私たちの仕事でもあろうかというふうに認識をさせていただきます。
 それでは、嶋津参考人にお伺いをいたしますけれども、今のお話についてでも結構ですし、また、今日は九州の事例も取り上げていただいておりますが、地方の方では、土地収用が途中までで終わってしまっていて、公共事業が途中でストップしてしまっているケースが多々あり、何億、何十億も税金をつぎ込んでおきながら、計画は止まったまま、途中まで公共事業が進み、そこで中止されているというケースがあるんですけれども、嶋津参考人の資料を拝見しますと、時のアセスメントというんでしょうかね、時の視点から公共事業を見直すという視点を御提案されているんですけれども、こういった地方で途中で止まってしまっている公共事業等についての御意見なども伺えればというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。


○嶋津暉之 水源開発問題全国連絡会共同代表

 止まっている方は非常にまれでありまして、ほとんどはとにかくもう事業者が強引に押し切ってしまっているのが現状なんですね。ところが、それの評価がされていない。一応公共事業評価制度はあるんですけれども、それも先ほどの事業認定と同じように形骸化しちゃっているんですよ。一九九七年から国の公共事業評価制度始まりまして、行われているんです、実際に。ですけれども、それによって止まるというのは、事業者自らもうやめようという判断をしたときだけなんですね。合理的な判断がされた、いや、そういう評価をした結果じゃないんですよね。
 だから、今の公共事業評価制度、これそのものを見直していただきたいと考えており、ここは国土交通委員会ですので、今の公共事業評価制度そのものを抜本的に見直すよう、是非この委員会でも審議をしていただきたいと思います。



○青木愛

 承知しました。
 両参考人、貴重な御意見を本当にありがとうございました。参考にさせていただきます。
 ありがとうございます。





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