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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

令和4年3月16日 参議院環境委員会

令和4年度予算委嘱審査


有事の際の原子力発電所の安全について

○青木愛

 立憲民主党の青木愛です。
 今日は予算の委嘱審査ということでありますけれども、まず冒頭、直近の課題として二点ほどお伺いをさせていただきたいと思っています。
 まず一問目ですが、ロシアによるウクライナ侵攻、侵略、絶対に許すことができません。子供や妊婦さん、また多くの民間人が無差別に攻撃を受け、犠牲になっております。そして、ロシア軍は原発を攻撃しました。現在、チェルノブイリ、再び停電を起こしていると、また、ザポリージャ原発ではロシア軍が弾薬を爆発させたと、こういった情報も入っているところでございます。
 日本の原子力発電所に関して、去る十四日の参議院予算委員会で岸田総理が、福井県にある原子力施設で実施されている警察の専門部隊による警備について全国展開が検討課題になると、そうした旨の答弁をされておられます。
 原子力規制委員会として、警察が各原子力施設の警備を強化をするということについて、原子力施設の安全性の確保の観点、また核物質防護や原子力災害対策の観点からどのような見解を持っているのか。
 本日大変お忙しい中、更田委員長にお越しをいただきまして誠にありがとうございます。是非、更田委員長のお立場での御意見を拝聴したいと思いまして、今日はお呼びをさせていただきました。この点についてまずお伺いをさせていただければと存じます。よろしくお願いいたします。


○更田豊志 原子力規制委員会委員長 

 お答えをいたします。
 原子力規制委員会は警察の警備の在り方についてお答えをする立場にございませんけれども、一般論としましては、そのテロ等に対する備えをより堅牢なものにする、強化するものであるというふうに考えております。


○青木愛

 お立場が違うということであるんですけれども、今のこの日本にある原発について、原子力規制委員会によるこの安全審査ですね、他国からの武力攻撃、これは想定されていないということなんですが、この点についても問題意識を持っておるんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。


○更田豊志 原子力規制委員会委員長

 お答えをいたします。
 御質問の中にもございましたように、原子力規制委員会の行っている規制の中に武力攻撃は対象として含まれておりません。審査の中でも検討、評価等をしているものではありません。
 これは、一つには、原子力規制委員会は武力攻撃に関する情報にあずかる立場にもありませんし、また、国際的にも原子力の規制というのは民生活動を対象にということですので、国際的に、欧米諸国の規制機関を参照しても、その規制の内容に武力攻撃を含めている例というのは承知をしておりません。


○青木愛

 併せてお伺いします。
 お立場が違うことも重々承知の上でお聞かせをいただいているんですけれども、自民党の一部の議連の申入れといいますか、経産大臣に申入れをしたというニュースを耳にしました。ある意味、原発の安全性を緩める形でこの停止中の発電所を再稼働せよと、そういう求める動きでありますけれども、この点についてはどのような見解をお持ちでしょうか。


○山口壯 環境大臣

 この原子力発電所への攻撃というのは、ある意味で国全体で考える次元の話かもしれません。そういう意味で、今、更田委員長からは所掌の範囲内でお答えいただいたと思いますけれども、我々、どういうふうにこの国民の安全、安心感を確保していくかという観点からは、やっぱりこういうことがやっぱり絶対あっちゃいけないんだと。例えば、ジュネーブ議定書にははっきりとこういう原子力発電所に攻撃してはいけないということで、これ国際法違反なんですけど、こういう今回の事態を踏まえて、若干私の所掌を超えますけれども、国際的な枠組みでもって、こういうことは絶対あっちゃいけないということを国際法の新たな一項目としてどこかでこの国際的なコンセンサスをつくっていくという動きが非常に大事になってきていると思います。
 そういう意味では、青木委員の大事な指摘、これはこの原子力規制の問題を少し超える部分として大事なことだと思いますんで、これは政府全体あるいは国際社会全体でもって取り組むべき課題であろうと思います。


○青木愛

 山口大臣から御答弁をいただけると思いませんでしたので、踏み込んだ御発言をいただいて大変有り難いと思うんですけれども、国際社会との連携という意味では、その方向性はそのとおりだというふうに思います。
 ただ、実際問題、こういう、ロシアという常任理事国でもありながらこういう侵略戦争が現実に起こってしまっているわけでありまして、日本も原発を有している国として、この原発の安全性、これは最大限に今考えなければならない岐路に立っていると思うんですけれども。
 私が今お伺いしたのは、日本の原発の安全性を、要は他国からの武力攻撃をまだ想定されていない安全審査なんですね。他国からの武力攻撃に対する安全審査をこれからどうしなければならないか、これを議論する方が先だと思うんですけれども、この状況の中で、一部自民党の議連の中から再稼働を、要は安全基準を緩めても再稼働するべきだと、そういう申入れが経産大臣に行われた。
 このことについて、是非山口大臣に、閣僚のお一人としてもう一度、再度、この日本の原発の安全性に関わることです、その点について御見解をいただければ大変有り難いというふうに思います。


○山口壯 環境大臣

 ロシアとの関係をどうするかというのが根底にあると思います。その意味で、ロシアからの天然ガスあるいは原油、これをカットしていこうということがアメリカのバイデン大統領のまた提案にもありました。アメリカの場合は三%ぐらいしか頼っていないわけですから、日本の場合は一〇%、二〇%台、そういう意味では状況は全然違う。その中でどういうふうにエネルギーを確保していくのかということがまず一つあろうかと思います。
 そういう中で、去年の十月に電源構成を閣議決定した場合でも、この原発については六%から二〇%ないし二二%まで持っていくと。じゃ、どういうふうに安全を確保していくかと。
 今、青木委員からはこの武力攻撃の想定もありました。この武力攻撃の想定というのは、本来我々議論するのも、何というか、もう言語道断みたいな話ですけれども、確かに現実に起こってしまったと。しかし、そこで我々が考えるべきは、多面的なこれは方程式だと思いますから、このロシアとの関係をどういうふうに持っていくか、原発をそこでどういうふうに考えていくかという中でいろんな考えがあろうかと思います。
 原発再稼働云々というのはちょっと私の所掌を超えますんでこの場でははっきりとしたことは申し上げにくいですけれども、少なくともこの安全性に関しては、更田委員長の所掌の中で今の基準でもって考えさせていただくと。それから、この武力攻撃については、少し、次元が相当違うところにありますんで、まずはこの外交官あるいは政治家でもって対応していく、それができない場合には軍人の仕事になるけれども、絶対に軍人の仕事にしないようにするということが我々政治家の務めだと思っています。


○青木愛

 ありがとうございます。
 私としますと、山口大臣から再稼働はしないというふうに明言をしていただきたかったですけれども、そこまでの御答弁はいただけませんでしたが。
 確かに、大臣がおっしゃるように、警備、この警備部隊、警備、警察警備、これも十二分に大事なことではありますけれども、もう全く規模の違う、次元の違う話になっておりますので、これは、やはり安全性を緩めて再稼働を優先させるよりも、やはり原子力規制委員会によってこの安全審査について十二分に考えていただいて、武力攻撃を想定した、そうした安全対策をまずすることの方が先だということを申し上げておきたいというふうに思います。
 更田委員長、大変お忙しい中ありがとうございました。これで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。


明治神宮外苑の樹木伐採計画について

 次に、二点目の直近の課題についてここでもお伺いをさせていただきたいと思っております。
 明治神宮外苑地区の再開発に伴う樹木の伐採計画でございます。これも直近の問題でありますので、本日取上げをさせていただきました。
 明治神宮外苑地区の再開発に伴いまして事業者が東京都に提出した資料では、再開発区域内にある樹木のうち約一千本を伐採するとされています。伐採対象の樹木の中には樹齢百年に達する木も含まれており、都民から反対の声が上がっており、また、文化遺産保護の提言を行っている日本イコモス国内委員会からは、見直しを求める意見が東京都に提出されています。同委員会理事で中央大研究開発機構の石川幹子教授は、伐採は歴史や文化を傷つける行為だと訴えています。
 この樹木の伐採計画について、自然保護や都市の景観の観点から、都民の見直しを求める声を聞き、慎重に行うべきと考えますが、環境大臣の見解をお伺いをさせていただきたいと思います。


○山口壯 環境大臣

 この東京都が都市計画法に基づいてやっておられることではあるんで、環境省としてその見解を申し上げるという立場にないとは思うんですけれども、確かに、一般的に私の感覚でもやっぱり確かに気になります。その意味でいろいろ調べてみましたら、伐採したものを移植したりとか、いろんな工夫はされるようですね。それから、緑の地区が、二五%、現行が、三〇%に増えるとか、いろんなものもあるんで、ちょっと私も更に詳細を見てみなきゃいかぬなとは思いますけれども。
 そういう一般論を超えて、小池都知事も環境大臣やっておられたわけだし、そこは十分意識は持っておられると思うんですけれども、東京都が、都市緑地あるいは景観等の観点も含めて、関係者の意見をよく聞きながら神宮外苑地区の町づくりとして適切に進めていくことを期待するというのが今の私の考えです。


○青木愛

 所管外だということでの中での御答弁をいただいたことは感謝いたしますが。
 この明治神宮ですね、これは明治天皇が崩御された際に東京市長の阪谷氏、また実業家の渋沢栄一氏らが明治神宮の創建を提唱されたということであります。内苑は国の予算で、外苑は国民の寄附で実現すべきだという方向性が明記されたものであります。
 百年前に全国から寄附された約十万本もの献木ですね、延べ十一万人もの人々がボランティアで一本一本植えて造り上げた、世界でも珍しい人工の森であるということでございます。予想どおりの姿となった現在の森には、予想外の高層ビル、またブランドストリートに挟まれながらも、三千種類もの生物の宝庫となっているということでございます。絶滅危惧種のカントウタンポポやミナミメダカなどが確認され、新種の生物も多数発見されているような森でございます。
 これはやはり東京都に任せるだけではなくて、この経過、歴史を鑑みますと、やはり国として、環境省としても是非ともこれは意見申し上げてもいい立場にあるのではないかなというふうに思うんですけれども、今申し上げた流れの、この歴史があるこの明治神宮のこの森ですね、これを伐採するというのは大変覚悟の要る取組ではないかなというふうに感じるんですけれども、いかがでしょうか。


○山口壯 環境大臣

 国会は国権の最高機関であり、ここでこういう議論がなされていることというのは非常に大事なことだと思います。青木委員のお気持ち、また東京都に伝えさせていただきたいと思います。


2050年カーボンニュートラル達成目標について

○青木愛

 気持ちを酌んでいただいたのは大変有り難い、有り難いですけれども、環境省のリーダーである山口大臣に是非ここはリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思うんです。
 今は東京都の所管ではありますけれども、歴史を鑑みたときには、明治天皇の崩御の際に造られた、そうした人工の森であります。全国の気持ちが献木という形で寄せ集められて造られた森でございます。これは私は国の問題だというふうに思いますので、是非、山口大臣の御覚悟とそしてリーダーシップを是非発揮していただきたいということをこの場でまず申し上げておきたいというふうに思います。
 それでは、予算委嘱審査の方に入らせていただきます。まあ、またちょっと取り上げさせていただきたいと思います。
 二〇二一年八月に、気候変動に関する政府間パネル、IPCCが第六次評価報告書第一作業部会報告書を公表しまして、人間の活動が温暖化の原因であると初めて断定するとともに、向こう数十年の間に温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、二十一世紀中に、地球温暖化は産業革命以前より一・五度C及び二度Cを超えることなどが示されました。
 同年十月三十一日から十一月十三日まで開催された国連気候変動枠組条約第二十六回締約国会議、COP26では、パリ協定で努力目標でありました一・五度C目標が事実上世界の新たな共通目標に格上げをされました。
 そこで、まずお聞きをいたしたいと思います。
 この一・五度C目標と政府が打ち出されている二〇五〇年カーボンニュートラル、この達成は同義と見てよろしいんでしょうか。二〇五〇年のカーボンニュートラルを達成できれば一・五度C目標は達成できるのかという意味合いの質問でございます。よろしくお願いします。


○小野洋 地球環境局長 

 お答え申し上げます。
 一・五度目標と日本のカーボンニュートラル、二〇五〇カーボンニュートラルの関係ということでございますが、委員からも御指摘ございましたように、パリ協定で世界の平均気温の上昇を二度未満に抑えるとともに一・五度に抑える努力を追求するということが位置付けられておりまして、昨年のCOP26のグラスゴー合意におきましては、特にその一・五度に抑える努力を追求する決意ということで各国が合意したということでございます。ですから、まず一・五度に抑えるということがその基本としてまずあるということでございます。
 その上で、IPCCの一・五度特別報告書におきましては、気温上昇を一・五度に抑えるためには、二〇五〇年前後の世界全体の人為起源のCO2排出量が正味ゼロになることが必要という、こういう知見が科学的に示されております。こういった、我が国はこういった科学的知見も踏まえて二〇五〇年カーボンニュートラルを表明し、さらにこの目標と整合的なものとして、二〇三〇年度に二〇一三年度比四六%削減、さらに五〇%の高みに向けて挑戦を続けるということを表明したということでございます。
 IPCCでも示されておりますけれども、こういった二〇五〇年に向けた排出経路をたどっていけば一・五度に抑えることが可能であるということかと思います。


○青木愛

 それから、ちょっと用語についてもお聞きしたいと思っているんですけれど、岸田総理も、また山口大臣も、所信表明演説の中で脱炭素という言葉と炭素中立という言葉を混在して使っておられるんですけれども、この意味の違い、あるいは同義なのか、また、この炭素という中にいわゆる温室効果ガス、メタンとかフロンとか、これが含まれているのかどうなのか。大変基本的なことで恐縮なんですけれども、その辺の整理をまずお願いしたいと思います。


○小野洋 地球環境局長

 お答え申し上げます。
 確かに、脱炭素でございますとか、炭素中立あるいはカーボンニュートラルといった用語が使われております。
 まず、地球温暖化対策推進法におきましては脱炭素社会の定義を置いておりまして、ここでは、若干長いですが読み上げますと、「人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会」というふうにしております。つまり、カーボンニュートラルということと、あるいはカーボンニュートラル、日本語にすると炭素中立ということになりますけれども、これとその脱炭素ということは法律上も同義であるということでございます。
 また、この法律の定義の中で温室効果ガスというふうに言っておりますので、対象となるのは、CO2に加えまして、メタン、一酸化二窒素など全ての温室効果ガスが含まれているということでございます。


○青木愛

 じゃ、炭素という中には温室効果ガスであるメタンとかフロンもCだけではなくて含んでいるということ、その上で脱炭素そして炭素中立という用語を使っていらっしゃるということなんですけれども、カーボンニュートラルといいますと炭素中立という方が同義なのかなというふうに分かるんですけれども、あえて脱炭素と使うのは分かりやすく表現されているという意味合いでよろしいんでしょうか。


○小野洋 地球環境局長

 お答えいたします。
 はい、委員の御指摘のとおりかと思います。元々、脱炭素社会という言葉を使っていたということもあって、カーボンニュートラルあるいは炭素中立という言葉が比較的国民にまだなじみのなかったということもあり、この言葉を分かりやすさという観点から同じ意味で使っているということかと理解しております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 COP26では、全会一致が難しいテーマについて賛同国だけで声明を出す手法が多数取られました。議長国英国は、日替わりでテーマを設定しイベントを主催し、自治体や企業等も含む多様な主体による自主的な制約を演出をしました。
 その中で、世界の石炭からクリーンパワーへの移行声明、すなわち、主要経済国は二〇三〇年代までに、世界全体で二〇四〇年代に排出削減対策が講じられていない石炭火力からの移行達成に、石炭依存度の高い韓国やインドネシアを含む四十六か国が賛同をしております。しかし、日本は参加をしておりません。日本はなぜ参加をしなかったのかをお聞きいたします。
 また、エネルギー基本計画には、二〇三〇年度電源構成において、石炭一九%の活用を見込んでいます。日本は石炭政策に関して消極的と判断されても仕方がない数字でありますけれども、政府はこの石炭政策をどう位置付けているのか、また今後どのように削減する見通しなのかをお伺いしたいと存じます。


○小澤典明 経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官

 お答えいたします。
 エネルギーにつきましては、それぞれの国の事情、これ様々でございます。化石燃料などの資源が乏しく、周囲を海で囲まれた我が国におきまして、Sプラス3Eを満たす単一の完璧なエネルギー源がない現状では、エネルギー、電力の安定供給を確保するには、石炭も含めまして多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要でございます。もちろん、エネルギー基本計画でお示ししましたように、再生可能エネルギーの最優先、最大限の導入を進めてまいりますけれども、現状ではやはり石炭を含めた選択肢が必要ということでございます。こうした背景がございまして、日本は、委員が御指摘の、世界の石炭からクリーンパワーへの移行声明には賛同していないということでございます。
 また、石炭火力の現状でございますけれども、二〇二〇年度の速報値では電力に占める割合は三一%でございます。したがいまして、直ちに石炭火力の廃止あるいは強力な抑制策を講じることとなれば、電力の安定供給に支障を及ぼしかねないという状況でございます。
 このため、石炭火力につきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、安定供給を大前提に、できる限り発電比率を引き下げていく方針で政策を進めてまいります。委員御指摘のように、二〇三〇年度は一九%まで引き下げる方針でございます。
 具体的には、二〇三〇年に向けて、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めてまいります。さらに、二〇五〇年に向けましては、水素、アンモニアやCCUS等を活用いたしまして、石炭火力を脱炭素型の火力に置き換える取組を加速してまいります。


○青木愛

 石炭を燃やすのが一番CO2が発生するわけでありますですね。CO2を削減しなければならないときに石炭を燃やし続けるということが果たして世界にどう映るのかというところを大変懸念するわけでございます。
 今、新規石炭火力発電、計画中、建造中、これ七基ございます。神奈川、愛知、兵庫、島根、山口、愛媛県にそれぞれ計画中、建設中だということであります。
 非効率なものについてはフェードアウトしていくということでありましたけれども、これは削減をしていくという意思とは、やはりこの計画がありますので、これどういうふうに整合したものとして捉えればよろしいんでしょうか。石炭火力をなくしていくというふうにはとても思えないんですけれども、よろしくお願いします。


○小澤典明 経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官

 お答えいたします。
 委員御指摘の石炭火力につきましては、七基ございますけれども、これはエネルギー基本計画の改定時点で既に建設中でございました。
 したがいまして、今回の改定の中では、それらも踏まえまして全体を二〇三〇年に一九%まで引き下げる方針としてございます。この一九%に向けまして着実に政策を進めてまいりたいというように考えてございます。


○青木愛

 じゃ、この七基について建設を進めていっても二〇三〇年には石炭は一九%になるということでよろしいですか。


○小澤典明 経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官

 お答えいたします。
 二〇三〇年度に一九%まで引き下げることで政策をしっかりと進めてまいりたいというように考えてございます。


○青木愛

 先ほど審議官のお話の中にもありました、この石炭政策に関して、石炭火力発電にアンモニアを混ぜて燃焼させるということでCO2の排出を削減するということであります。
 この際、ただ、大量のやはりアンモニアが必要となるわけでございまして、このアンモニアを製造する際にCO2が発生するのではないかという指摘がございますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。


○定光裕樹 資源エネルギー庁資源・燃料部長

 お答え申し上げます。
 アンモニアの活用に際しましては、まずは安定的かつコスト競争力のあるサプライチェーンを構築していくということが必要になってまいりますので、当面は化石燃料由来、これCO2が製造時に出てしまいますが、そのアンモニアの利用が中心となってきます。
 一方で、CCSなどの二酸化炭素を削減、除去する技術との併用を推進していくとともに、将来的には再生可能エネルギー由来のアンモニアの利用を進めていくということによりまして製造段階でもCO2の排出をできるだけ抑える方向でアンモニアの活用を進めていきたいというふうに考えてございます。


○青木愛

 アンモニアを製造するには、再生可能エネルギーで作るということですね。そうするとCO2は発生しないということになるわけですか。もう一回お願いします。


○定光裕樹 資源エネルギー庁資源・燃料部長

 再生可能エネルギー由来のアンモニアは、まだ直ちに導入するにはコスト面での課題がありますので、そこはこれから研究開発を進めていく必要があるんですけれども、将来的にはこの再生可能エネルギー由来のアンモニアを活用することによって製造段階でCO2の排出は極力抑えられるものになるというふうに想定してございます。


○青木愛

 このCO2のその際の処理技術なんですけれども、話を聞きますと、オーストラリアで製造して、日本との合弁という形でオーストラリアで製造して、それを日本に輸入するというふうに聞いているんですけれども、なぜ日本で製造しないのかということもありますし、地中にそのCO2を埋めるのはそうしますとオーストラリアに任せっ切りになるのか、その辺のところはどうなんでしょうか。


○定光裕樹 資源エネルギー庁資源・燃料部長  

 これは、将来的には、日本でCCS、地中にCO2を貯留することによって国内でも製造時にCO2を排出しないアンモニアの製造ということも可能になるというふうに考えておりますけれども、まず、その場合、原料は天然ガス等の化石燃料ということになりますけれども、まだやっぱりそのCCSでありますとか化石燃料の調達に関するコストが、やはり当面はオーストラリアに比べて日本の方が高く付くということがございます。
 まず、ある種需要を拡大して市場が広がれば、それに応じてこのサプライチェーンも広がってコストも低下していくということがあると思いますので、将来的には国内でも、CCS等の活用を進めて国内でもCO2を出さないアンモニアの利用ということを推進していきたいと考えておりますけれども、当面は、オーストラリアですとかその他再生エネルギーや化石燃料からCO2を除去する技術を安く利用できる地域からの輸入というのが当面の展開であるというふうに想定してございます。


○青木愛

 いろいろ考えられているんだなというのは率直に感じますけれども、オーストラリアにそのCCS、CO2を埋めるというその道義的な部分と、また、国内に、その地中に埋めるということ、CCSの技術を確立すると、日本で製造するということになればまた日本に雇用が生まれるという、そういうプラスの面もあるのかなというふうに感じてはおります。いずれまた、前向きに進めていただいて、御指導いただきたいというふうに思います。
 それから、COP26で日本が積極的に提案されました二国間クレジット制度、JCMを含む市場メカニズムの活用、これが盛り込まれたということなんですけれども、二国間クレジット制度というのはどういう制度であるのか。自国内でのCO2削減目標達成をおろそかにしてJCMに逃げると、いわゆるグリーンウオッシュではないかとの批判の声もありますけれども、この制度とこうした批判の声に対してお答えをお願いいたします。


○小野洋 地球環境局長

 お答え申し上げます。
 まず、二国間クレジット制度、JCMの制度の内容でございますけれども、これは途上国等への優れた脱炭素技術等の普及や対策実施を通じまして実現した温室効果ガス排出削減、吸収への我が国の貢献、これをJCMのクレジットとして定量的に評価するとともに、パリ協定六条に基づいて、我が国、それから相手のパートナー国の排出削減目標の達成に活用すると、こういう制度でございます。
 このJCM、二〇一三年から実施しておりまして、現在十七のパートナー国との間で二百件以上のプロジェクトを進めております。
 二点目の、これ、JCMを含む排出削減クレジットがグリーンウオッシュという批判があるのではないかということでございますけれども、まず、JCMそのものがグリーンウオッシュであるという批判については特に環境省としては承知はしておりませんけれども、より広く排出削減クレジット全般ということでお答えをさせていただければと思いますが。
 まず、その四六%削減という二〇三〇年度目標ございますが、これにつきましては、ほぼといいますか、大宗が国内における排出削減で行うという想定でございます。決して海外のクレジットに頼って国内の対策をおろそかにするということではございません。その上で、パリ協定の下で、COP26で合意されました国際ルールにのっとりまして、そのJCMを中心とする排出削減クレジットについても活用していくということでございます。
 そのCOP26の交渉におきましても、例えばそのクレジットを移転する国と獲得した国の間で排出削減の二重計上のようなことが生じて、いわゆるグリーンウオッシュという批判を招かないように、日本からもそれを防止する仕組みを、考え方を提案しまして、それに従って合意したところでございます。
 ということで、我々といたしましては、COP26で合意されたこういった国際ルール、さらには日本とパートナー国との間で定めたルールに従って、委員御指摘のような批判を招かないように、しっかりとした対策を進めていきたいと考えております。


○青木愛

 明確にお答えいただいたので良かったと思います。
 発展途上国などを脱炭素技術で支援をした分、CO2削減した分、日本ではCO2を出していいということに捉えられかねないなというふうに思ったので、そうではないということでありますので、二〇三〇年の四六パーというのは、そういう意味でいいますともっと数字が高くなるというふうに認識をさせていただきました。
 このJCMなんですけれど、令和四年度予算にJCM資金支援事業として百二十五億円、百二十五億円が計上されています。具体的にどのようなプロジェクトを想定しているのか是非お伺いをしたいと思いますのと、また、それは日本企業の製品あるいは技術の海外への設備導入のための補助金ということと聞いてはおりますものの、実質的にはWTOで禁止されている輸出補助金に当たるのではないか、そういう懸念の側面もありますけれども、これについてはいかがお考えでしょうか。


○小野洋 地球環境局長

 お答え申し上げます。
 まず、百二十五億円の中でのどういうプロジェクトかというところでございますが、これは、個別には、応募、公募いたしまして、その中で審査して採択いたしますので、その具体的内容についてはいろいろと変動ございますけれども、これまでの実績で申し上げますと、再生可能エネルギーでございますとか省エネあるいは廃棄物発電といった脱炭素技術をこれまで対象にしてきているというところでございます。
 また、このJCMの設備補助でございますけれども、日本の補助金でございますので対象は日本の事業者ということになりますけれども、資金支援の対象となる技術を導入する設備そのものは日本製に限定されるというものではございませんので、委員がおっしゃったような御懸念は当たらないものと考えております。


○青木愛

 脱炭素に向けた支援、国際貢献というのは大変良いことだというふうに認識しております。ただ、かつてのODA時の負の側面なども聞き及びますと、何か問題がないのかなというふうに思ったものですから質問をさせていただきました。
 そういうことではないと、WTO違反にはならないということで明確に御答弁いただいたということでよろしいですね。もう一度お願いします。


○小野洋 地球環境局長

 おっしゃるとおりでございます。WTO違反等にはならないということでございます。


地域脱炭素移行・再エネ推進交付金について

○青木愛

 そして、令和四年度予算の目玉と言われております地域脱炭素移行・再エネ推進交付金として二百億円が計上されているところでございます。
 大臣所信の中で、政務三役全員で、地域の脱炭素化に関して地域のニーズ把握などのための全国行脚をしたということが語られておられました。具体的にどのような意見が地域から出されたのか、特に地域再エネの普及に向けた課題としてどのような指摘があったのか、お聞きしたいと存じます。


○山口壯 環境大臣

 全国行脚という趣旨は、これから地域脱炭素に関するいろんな意見を吸い取っていきたいという気持ちで始めたわけですけど、まだ一都一道二府四十三県全部は回り切っていません。地方環境事務所のある九ブロックを中心に回っている。また、それプラス、副大臣の方々にも手伝っていただいて、あるいは政務官の方々にも手伝っていただいて、十道県、今回らせていただいているところです。九プラス十。
 それ全国行脚で、脱炭素の今世界的な潮流のこと、あるいは地域脱炭素の必要性などについて、こちらから説明を行うと同時に、自治体を始めとする様々な関係者の方々と意見交換を進めさせていただいています。その意味では、この地域脱炭素の実現に向けて非常に強い意思を、意識を持っていただいている、そういう意欲的な自治体が多いことを改めて実感しているところです。
 また、地域によって様々な課題を抱えておられます。そういう意味では、例えば、あるところでは製鉄あるいは化学、いろんな意味でこのCO2を出す企業がこの町を、あるいはその市を支えていると、そういうことをどういうふうに考えたらいいだろうというようなこともありました。そういう意味では、水素というものを活用したいけどそのためのイノベーションのためにお金が掛かる、そういう支援も是非お願いしますと、そういうこともありました。
 それから、この専門人材、要するに、この地域脱炭素の申込みをしようとした場合にこのエクスパティーズが要るわけですね、専門的な知識。それについて、村の役場あるいは町の役場、なかなかそういう人材もいないので助けてくれというような話もありました。そういう意味では、この環境省としても是非サポートさせていただこうということで今やっているところです。
 そしてまた、再エネの乱開発ということが問題になっているというような意見もありました。そういう意味では、私も先般、この乱開発について、地元の合意形成というのを非常に大事にするようにと、そしてまた環境配慮を適正に行っていただくようにと、そうでなければ抜本的な計画の見直しというのをお願いしたいというようなことを意見で述べさせていただいたりもしました。経済産業大臣の方でもそれを受けて同旨の意見を言っていただいたということで、この政策的なことも含めて全国行脚でもっといろいろ意見を吸収させていただいて、それを生かしていきたいと。
 特に、これからの方向としてはカーボンプライシング、こういうことについてもこちらからも説明させていただき、あるいはその自治体の首長さんからもいろいろ意見を聞かせていただいています。
 そういうことも含めて、これから地域脱炭素を全国的に脱炭素ドミノと言われるぐらいまで持っていかせていただきたいなということで、全国行脚を更に続けさせていただこうと思います。


○青木愛

 脱炭素を進めていくにおいてやはり地域の理解というのは大変重要でありますので、是非、今後とも全国行脚を是非続けていただきたいというふうに思います。
 この地域脱炭素移行・再エネ推進交付金についてなんですけれど、地域脱炭素ロードマップに基づいて、二〇三〇年度までに少なくとも百か所の脱炭素先行地域をつくるための支援策などに充てられています。当該支援対象の選考が現在進められていて、近々、支援地域の公表がなされるものと承知をしています。
 山口大臣は二月二十二日の記者会見で、脱炭素先行地域の応募件数七十九件あったと説明されておられますが、この支援地域の絞り込みに当たって課題となった点は何なのか、二百億円との予算規模で十分であるとの認識なのか、その点についてお伺いをさせてください。


○山口壯 環境大臣

 脱炭素先行の地域は、この脱炭素への意欲と実現可能性の高い地域において二〇五〇年を待つことなく二〇三〇年に前倒しでカーボンニュートラル達成を目指す、そういう全国のモデルとなっていただく、そういう地域です。
 今選定中ですけれども、既に公表している選定要件としては、例えば脱炭素先行地域にふさわしい再エネの導入量、あるいは地域の課題解決への貢献等の観点から、学識経験者で構成する評価委員会において評価を行い、そして環境省において選定していくと、そういうプロセスをたどらせていただきます。
 この脱炭素先行地域については、今おっしゃっていただいた二〇二五年までに少なくとも百か所というふうなことを思っています。今回、春に選ばせていただいて、大体二十から三十選ばせていただければなと思いますけれども、また、秋にもまた応募させていただいて、年二回を目途にこれからいろいろと働きかけを行っていきたいと思います。なかなか、申込みにおいて、先ほど申し上げたようにその専門的知識も必要なものですから、それぞれの役場の方々、お手伝いさせていただきながら、やはりこの地域の町おこしと両立するような脱炭素をプロジェクトとして上げていただけるようにしていきたいと思います。
 そしてまた、今回二百億円、今補正のことも含めると相当額をこの脱炭素の関連で国会からお認めいただいているわけですけれども、この二百億円プラス、これからの地域脱炭素の関連では、地球温暖化対策の改正法でもって財政投融資の関係の二百億円も今相談させていただいているところです。
 そういうことを全部合わせると大体一千億円ぐらいのことが目に見えるんですけれども、これからさらに、これから年度を重ねるにつれて、これきちっと行うことによってこの額についてもまたいろいろと増やしていくことを相談させていただければと思っています。


○青木愛

 この百か所、今後の絞り込みについては、是非、透明性、客観性、公平性という観点で今後きちんとした説明をしていただけるようにお願いをしておきたいと思います。
 予算規模のお話もいただいたところでございますが、時間がありません、委嘱審査なので、もう一点だけ、ではお伺いをさせていただきたいと思います。
 この脱炭素事業に民間資金を呼び込む新たな出資制度の創設として、これもやはり二百億円が計上されています。出資制度の収益性確保、また民間投資への呼び水効果についての見通しをお伺いしておきたいと思います。
 これ、脱炭素化推進機構というのが立ち上がるわけですけれども、果たして本当に機能するのかどうなのか。前身のグリーンファイナンス推進機構ですね、これは二〇一九年時点で累積十二億円の赤字が、赤字を抱えているということもございます。果たしてこの機構は本当に機能するのかどうなのか。その点について最後お聞かせをいただきたいと思います。


○山口壯 環境大臣

 この御指摘のグリーンファイナンス推進機構については、二〇二〇年度の末時点で十億円、十四億円の累積損失はありますけれども、最初投資が行われて、最初マイナスになることになりますね。それで、だんだんだんだんそれが稼働していくに従ってプラスになっていくわけですけれども、少なくとも出資案件のいずれも毀損は生じていません。また、今後設備が稼働することで収益を回収する段階に入っていくわけですけれども、大体、令和十一年度、二〇二九年度に黒字化するものというふうには見込んでいます。
 そして、今、二百億円の資金供給に対してですけれども、これ呼び水として民間の投資を大体八百億円呼び込ませていただいて、事業規模一千億円程度の脱炭素投資の実現にこの脱炭素化支援機構でもって貢献していきたいなというふうに考えています。


○青木愛

 時間が来ましたので終わります。
 また大臣所信に対する質疑でまたお伺いさせていただきたいと思います。ありがとうございました。




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