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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

令和8年5月14日 参議院外交防衛委員会

投資協定4件(セルビア共和国、パラグアイ共和国、ザンビア共和国、タジキスタン共和国)に対する質疑

【質疑要旨】

1. 投資協定全体の目標と現状
カバー率の拡大:交渉中・署名済みを含めると97の国・地域を対象とし、我が国の対外直接投資残高の約95%をカバー(2016年時点の約35%から大幅増)。

国家戦略としての意義:日系企業の海外展開支援に加え、サプライチェーンの強靱化(重要鉱物・食料等)、グローバルサウスとの連携強化、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」に基づく法の支配と経済秩序の構築を目指す。

2. 対象4か国における質疑のポイント
@ セルビア(東欧・西バルカン地域)
地政学的状況と意義:中・ロの影響力が強まる中、欧州の安定に直結する西バルカン諸国のEU加盟プロセス(西バルカン協力イニシアティブ)を支援。

対日投資・企業支援:投資環境の法的安定性を高め、日本企業の進出遅れを防ぐとともに、2027年の「日・セルビア友好145周年」(横浜国際園芸博およびベオグラード万博)に向け経済関係を強化。

A パラグアイ(南米・メルコスール)
外交・経済的意義:南米で唯一台湾と外交関係を持ち、約1万人の日系社会が存在する親日国。大豆等の食料供給国であり、リチウム等の鉱物資源の可能性も調査中。

中南米政策の課題:

ブラジル:ISDS(投資家対国家の紛争解決)条項が国内で憲法違反とされる懸念があり交渉難航。
アルゼンチン:日本側の手続は完了しているが、相手国側の国内手続完了を働きかけ中。
メルコスール全体:強靱なサプライチェーン構築に向け、戦略的パートナーシップ枠組み等で具体的な関係強化を検討。

B ザンビア(アフリカ)
援助から「投資」へ:銅などの重要鉱物資源国。ナカラ回廊開発(輸送インフラ整備)などのODA支援を活用しつつ、資源サプライチェーン強靱化と日本企業の投資促進を図る。

大臣のアフリカ4か国訪問成果:

南アフリカ:2010年以降、新規の投資協定を結ばない閣議決定方針があるが、現地トップ会談を通じ日系企業(約260社)の投資環境整備・脱炭素・重要鉱物連携で一致。

C タジキスタン(中央アジア)
自由化型投資協定:同国にとって初の自由化型(事前段階からの国民待遇等を規定)投資協定として合意。

紛争解決手段の担保:同国はICSID(投資紛争解決国際センター)条項を未締結だが、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)の仲裁ルール等を規定して実効性を担保。

経済的潜在性:アンチモン・銀等の豊富な鉱物資源や水力発電などの分野で、投資環境の透明性を高め日本企業の進出を後押し。

3. 総括(茂木外務大臣答弁)
今般の4協定は「地球を俯瞰する」バランスの取れた戦略的なものであり、「日本企業の海外展開支援」「資源のサプライチェーン強靱化」「グローバルサウスとの連携強化」「自由で公正な経済秩序の維持」という多角的な観点から極めて大きな意義を持つ。今後も戦略的ツールとして投資協定を推進していく方針



○青木愛

 立憲民主・無所属の青木愛です。本日もよろしくお願い申し上げます。
 投資協定四件について、早速質疑に入ります。
 投資協定とは、海外に投資を行う際の規制をできる限りなくし、投資を自由に行うことのできる環境を整え、投資家及び投資財産を保護するための協定です。
 全世界で署名又は締結された投資関連協定の数は、一九九〇年代から急増し、国連貿易開発会議のデータでは、二〇二六年二月現在で約三千九百八十一件とされています。二〇二六年の三月現在、日本では、発効済みの投資関連協定が五十四本、内訳、投資協定が三十七本、EPAが十七本です。また、署名済み、未発効の投資関連協定が七本、内訳が投資協定五本、EPAが二本となっています。これら六十一本で八十五の国・地域をカバーすることになりますが、これで日本の対外直接投資残高何%をカバーするのかを伺います。
 また、あわせて、二〇一六年に策定されましたアクションプランでは、二〇二〇年までに百の国・地域との投資関連協定の署名、発効を目指すとされていました。現状に対する評価について伺いますとともに、投資協定を国家戦略としてどのように位置付けているのかを確認をさせていただきます。


○股野元貞 外務省経済局長

 お答え申し上げます。
 政府としましては、先ほど委員から御指摘ありました、二〇一六年五月に公表しましたアクションプラン、これにおきまして、二〇二〇年までに百の国・地域を対象として投資関連協定の署名、発効を目指すこととしております。その上で、二〇二一年三月の成果の検証と今後の方針、これにおきまして、こうした目標値が設定されたことを踏まえつつも、戦略的観点や質の確保の観点を考慮した取組を進めることも盛り込まれております。
 こうした経緯を踏まえつつ、我が国としてもその後も精力的に協定の交渉を進めてきました結果、これまで、欧州、アジア、中東などの国・地域を中心に、署名済みや交渉中の協定も含めれば、九十七の国・地域をカバーしております。また、これらの相手国・地域は、二〇二五年時点で我が国の対外直接投資残高の約九五%をカバーしており、二〇一六年時点の約三五%から大幅に増加しているところでございます。
 政府としましては、協定締結後も、経済界からのヒアリングなどを通じて事後の状況をフォローしてきております。企業側からは、おおむねカントリーリスクのある国を含め海外への日系企業の展開に資する内容の投資協定とすることや、今後の締結先として中南米、アフリカ、中央アジア・コーカサス諸国と連携強化を念頭に置くことについて要望を受けております。
 投資協定の締結は、こうした日系企業の海外展開支援といった観点に加えまして、資源国とのサプライチェーン強靱化、グローバルサウス諸国との連携強化といった意義があると考えております。さらに、国際経済秩序が不確実性を増す中で、FOIP、自由で開かれたインド太平洋を通じて我が国が実現を目指す法の支配に基づく国際秩序の構築や経済的な繁栄につなげるとの観点も重要であると考えております。
 いずれにしましても、政府としましては、引き続き、こうした様々な観点も踏まえつつ、日本の国益に資するよう戦略的に投資協定の推進に取り組んでいきたいと考えております。


○青木愛

 御答弁ありがとうございます。交渉中を含めれば、対象国は九十七か国で、九五%カバーをしているという御答弁だったかと思います。
 それでは、衆議院でも様々議論が行われておりますので、本日は、それぞれの対象国に対する質問としてお伺いをしていきたいと思っております。
 まず、バルカン半島に位置いたしますセルビアに関して質問をしてまいります。
 二〇一八年に発表されました日本が主導する西バルカン協力イニシアチブにおきまして、EU加盟を目指す当該諸国の経済社会改革を支援するとされていますが、今回のセルビアとの投資協定もこのイニシアチブの一連の流れなのでしょうか。また、西バルカン地域の安定化、そしてEU統合、これは日本にとってどのような意義があるのかを伺います。


○茂木敏充 外務大臣

 バルカン半島を含めまして、歴史的に半島というのはどうしても、様々な勢力の対立があったりと、こういう地域でありまして、その地域の安定というのは国際社会全体の安定にもつながると考えているところであります。
 その上で、我が国は、西バルカン協力イニシアティブの下でセルビアのEU加盟プロセスの進展に向けた支援を継続してきておりまして、その一環として、日系企業の進出を促す取組を行ってきております。
 本協定の締結後、日本からの投資の促進と保護につながることが期待されます。そして、その日本からの投資は、EUとの経済統合、民間セクターの更なる改革の推進とともに、改革を支える人材を育成することにもつながると、このように考えております。
 セルビアを含みます西バルカン諸国が、欧州の一員として安定と発展、これを実現し、欧州が基本的価値の下で結束すること、これは欧州全体、ひいては国際社会全体の安定と発展にとって欠かせないと考えております。第一次世界大戦を考えても、このバルカン半島から欧州全体の戦争につながったと、こういうこともあるわけであります。
 このような観点で、我が国としては、今後とも、西バルカン協力イニシアティブの下での経済社会改革であったり地域協力の促進への支援を通じて、セルビアを含みます西バルカン諸国のEU加盟、後押しをしていきたいと、このように考えております。


○青木愛

 御答弁ありがとうございます。
 このセルビアなんですが、中国、またロシアの影響が強く、首都ベオグラードには中国の方々が多く住んでおられ、また中国からの直行便も就航しています。セルビアは、質の高い労働力を有し、EU市場へのアクセスが良く、有望な投資先として注目をされています。二〇二四年十月のジェトロの報告によりますと、セルビアの対内直接投資額は年々増加をしており、中国が最大の投資国となっております。
 セルビアが中国、ロシアとの関係を深める中、日本として投資協定を通じてどのように経済的、また地政学的関与を強化しようとしているのか、日本企業進出拡大の意義について政府の御認識を伺います。


○北川克郎 欧州局長

 お答え申し上げます。
 まず、委員御指摘のとおり、セルビアが中国、ロシアとの関係が深まっているということは、我々もそのように認識をしております。そういった中であればこそ、日本との関係が深まること、あるいは日本のプレゼンスが増すこと、これは非常に重要だと考えております。
 また、セルビアでは、中国、ロシア以外の各国から、海外からの直接投資、これも近年増加傾向にございます。こういった中で、日系企業が他国の進出企業に出遅れないよう、法的枠組みを速やかに整備することが重要と判断し、今般の署名に至ったものでございます。
 本協定を締結することにより、セルビアにおける投資環境の透明性、法的安定性及び予見可能性が高まり、日本からの投資の促進と保護及びセルビアからの対日投資の拡大につながることを期待しておりますし、このことによって日本との関係が強化されることを期待しております。


○青木愛

 このセルビアと中国とは、二〇〇九年に戦略的パートナーシップを締結しています。また、二〇一六年には包括的な戦略的パートナーシップへの格上げ、また、二〇二四年には自由貿易協定、FTAが発効されておりまして、関係深化が急速に進められたように感じております。
 しかし、日本とセルビアの外交関係は非常に古く、一八八二年にセルビア国王と明治天皇が親書を交換したことによって始まったとお聞きしております。先ほど茂木大臣からも、この地域はヨーロッパの火薬庫とも呼ばれ、第一次世界大戦が勃発した地域でもあるとの御指摘がございました。来年の二〇二七年は、日・セルビア友好百四十五周年に当たるとお伺いをしております。日本では横浜で国際園芸博覧会が開催され、一方、セルビアではベオグラード国際博覧会が開催されるとのことであります。こうした記念事業を意味あるものとして成功を期待するところでありますけれども、来年に向けた外務省の取組状況についてお伺いをさせていただきます。


○北川克郎 欧州局長

 お答え申し上げます。
 ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、二〇二七年、来年は日本とセルビアの友好百四十五周年に当たります。セルビアからは、横浜でのグリーンエクスポ二〇二七に参加の表明を既に得ているところでありますし、我が国も、二〇二七年ベオグラード国際博覧会の参加を表明しております。
 先ほど申しましたとおり、セルビアは西バルカン諸国中、最大の経済規模を有する非常に重要な国であります。この国との関係で日本企業の更なる進出が期待されているところですが、来年の二〇二七年の国際博覧会を含めて、経済を始めとする様々な分野で日本とセルビアとの連携を更に深めてまいりたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。是非、このまた記念事業をいいきっかけとして、セルビアと日本の両国のまた進展に期待するところでございます。
 次に、南米にありますパラグアイに関する投資協定について質問を行ってまいります。
 パラグアイとの投資協定及び南米政策についてもお伺いしていきますが、パラグアイは、南米で唯一、台湾と外交関係を維持しています。そして、大規模な日系社会を有する親日国でもございます。今回の投資協定が日本とパラグアイの経済、また外交関係をどのように発展させるものと考えておられるのかをまず伺います。


○茂木敏充 外務大臣

 パラグアイと台湾、御指摘のように、一九五七年に外交関係を開設しまして、それ以降、パラグアイは一貫した台湾の承認国であります。また、本年、移住九十周年を迎えた約一万人の日系社会、これ、農業分野を中心に幅広い分野でパラグアイの発展に貢献をしてきております。私も五年前、前回の外務大臣時代にパラグアイ訪問しましたが、大変な歓迎を受けたということが非常に印象に残っているところであります。
 パラグアイは、自由、民主主義、法の支配、自由貿易等の価値や原則を共有する我が国にとっての戦略的なパートナーであります。また、大豆を始めとした国際的な食料供給国であるほか、リチウム等の鉱物資源が埋蔵されている可能性があり、現在その調査行われているところであります。
 今般の投資協定締結を通じまして、戦略的な重要性を持つパラグアイとの間で経済関係を強化させることは日本外交にとっても大きな意義を持ち、こうした観点から、今後も二国間関係、強化をしていきたいと思いますし、どちらかといいますと、アフリカであったりとか、また南米、これ日本から見ると遠い地域のように見えるかもしれませんが、様々なこういう日系社会を通じたつながりであったりとか、今後日本が必要とする、例えば経済安全保障、そして食料安全保障等についても極めて重要な地域ということで、これから更に重視をしていきたいと、こんなふうに考えております。


○青木愛

 地理的には遠いけれども実は近い、こうした南米でありますけれども、その中において、ブラジルなんですけれども、約二百万人以上の日系人が暮らしておられ、また多くの日本企業が進出していますけれども、いまだブラジルとの投資協定が進展していない理由を伺わせていただきたいと思います。また、あわせて、国会において今日の審議のように、承認された投資協定であるにもかかわらず、アルゼンチンがいまだ未発効な理由を併せてお伺いしたいと思います。


○石瀬素行 中南米局長

 お答えいたします。
 まず、ブラジルとの間でございますけれども、貿易や投資を一層拡大していくということでは一致をしておりますけれども、投資協定に関しては交渉開始に至っておりません。
 その背景の一つとして、我が国経済界も重視する、国と投資家との間の紛争解決、いわゆるISDS条項について、ブラジル国内で憲法違反とされ、その規定を含む協定が議会承認を得られず、ブラジルがISDS条項を含む投資協定の締結に消極的であることなどが挙げられると考えております。我が国としては、ブラジル側に対し、日本の経済界が期待する投資協定の内容について累次説明を行ってきているところでございます。
 また、アルゼンチンでございますけれども、日・アルゼンチン投資協定については、我が国は締結に必要な国内手続を完了しておりますが、協定の効力発効に必要なアルゼンチン側の国内作業が現在まで完了をしていないということでございます。我が国としては、アルゼンチン政府関係者、議会関係者に対し、早期に国内手続を実施するよう様々な機会を利用して継続的な働きかけを行っております。


○青木愛

 ブラジルではISDS条項が憲法違反であるということ、アルゼンチンでは先方の国会承認が得られないという御答弁だったと思います。もう少し突っ込んで聞きたいところではあるんですが、ちょっと先に進ませていただきます。
 このような課題を踏まえて、この南米において、ブラジルが中心となっているメルコスールとの早期EPA締結を求める提言が日・ブラジル経済合同委員会や日・ブラジル戦略的経済パートナーシップ賢人会議からなされるなど、経済界からも関係強化に強い関心が示されているとの御答弁が衆議院側でございました。
 政府がこのメルコスールとのEPA交渉を通じて南米地域全体との経済連携をどのように進めようとお考えなのかを確認させてください。


○石瀬素行 中南米局長

 お答え申し上げます。
 まず、今委員御指摘のとおり、メルコスールとの経済関係の強化については、経済界からも強い関心が示されていると理解しております。同時に、日本とメルコスールとのEPAという話もございますが、これにつきましては、国内に様々な声があるということも理解をしております。
 その上で、ブラジル、アルゼンチン、先ほどお話のありましたこの二か国を含むメルコスールとの経済関係を強化することは、重要物資のサプライチェーン強靱化、経済安全保障の強化、こうしたことを含めまして、我が国の経済的基盤の強化、これに寄与するのみならず、国際社会の分断、これが深まっております中で、グローバルサウスとの連携強化といった戦略的な意義も有すると思っております。
 いずれにしましても、昨年末に立ち上げました日・メルコスール戦略的パートナーシップ枠組みの下で、メルコスールとの具体的な経済関係強化の在り方について引き続き検討してまいりたいと思います。


○青木愛

 承知いたしました。
 それでは、パラグアイ関係では最後の質問になりますけれども、このパラグアイとの協定において、通常の投資協定に見られるような詳細なパフォーマンス要求禁止規定ではなく、TRIMs協定の再確認にとどまっております。この理由についても説明をお願いします。


○石瀬素行 中南米局長

 お答えいたします。
 まず、一般論といたしまして、投資協定がカバーする内容、これは幅広く、規定も多岐にわたっております。その中で、特定の規定が含まれるか否かというのは、経済界の要望、相手国の状況、我が国の国益の観点等、様々な状況を総合的に勘案しつつ、交渉を通じて決まります。
 その上で、投資の阻害要因となり得る要求の原則禁止について申し上げれば、WTO協定により、海外投資家が投資を行う際、投資受入れ国が一定の要求を行うことは既に一定程度禁じられております。日・パラグアイ投資協定では、WTO協定のこの当該規定を明示的に再確認する規定を置いております。
 交渉過程についてつまびらかにすることは、相手国との関係もあり、差し控えさせていただきますが、パラグアイ国内の諸制度、それから実際の投資環境、投資協定の全体的なバランスも考慮しつつ、さきに述べました諸点も踏まえながら双方で交渉した結果、今般の内容で合意に至ったものでございます。


○青木愛

 ありがとうございます。
 これでパラグアイに関する質問を終了させていただきまして、次に、アフリカのザンビアとの投資協定について質問をさせていただきます。
 茂木外務大臣は、今般の大型連休中、本日投資協定を審議しておりますザンビア、そしてアンゴラ、ケニア、南アフリカのアフリカ四か国を訪問されました。アフリカ四か国訪問の成果、様々なところで語ってくださっておりますが、日本政府が掲げる自由で開かれたインド太平洋と、そしてアフリカ外交との関係についての手応えについてお伺いしたいと思います。
 また、併せてお伺いいたしますが、ザンビアについては今審議中であります。そして、アンゴラについては二〇二四年、ケニアは二〇一七年にそれぞれ投資協定が結ばれております。訪問された四か国の中で、南アフリカ共和国だけがこの投資協定については手付かずとなっております。
 茂木大臣が現地で行った臨時会見の中で、アフリカで最大数の日本企業が活動する南アフリカとの間で、投資促進での連携、投資協定とはお述べになっておられませんが、投資促進での連携についても一致を見たところでありますと述べられていますが、具体的にどのような一致点、前進が見られたのか、併せてお伺いをさせていただきます。


○茂木敏充 外務大臣

 かなり多岐にわたる御質問をいただきましたので、若干長くなるかもしれませんが。
 まず、今回のアフリカ訪問におきましては、主に三つの目的と、また成果があったと考えております。第一に、国際社会で発信力を増しておりますいわゆるグローバルサウス、この主要な地域の一つでありますアフリカとの連携を強化したこと。第二に、資源や重要鉱物等を豊富に有するアフリカ各国と資源外交を展開し、サプライチェーン強靱化に向けた協力、連携を深めたこと。そして最後に、第三番目としまして、自由で開かれたインド太平洋、FOIPの進化及び日本の対アフリカ外交について発信し、広く歓迎されたことであります。
 今年は、自由で開かれたインド太平洋の提唱からちょうど十年を迎えるわけであります。FOIPの中核的な理念、これは維持をしつつ、地域の国々の自律性、強靱性を高め、地域全体として共に強く豊かになることを目指すという進化したFOIPのビジョンの下で、重要な位置を占めるアフリカ外交を力強く展開をしていきたいと思っております。
 FOIPの発祥の地でありますケニアでの私のスピーチでは、アフリカ外交を展開する三本柱として、一つは、平和大陸アフリカの実現。御案内のとおり、アフリカは様々な民族対立であったりとか地域対立もあるわけでありまして、この平和大陸を実現していくということが極めて重要だと考えております。そして二つ目に、日本とアフリカの成長の好循環を図っていく。一方だけが利益を得るのではなくて、共に成長していくと。そして三つ目に、次の世代、次世代の、共に創る、共創によります誰もが豊かさを実感できる社会の実現。アフリカの諸国もかなり経済格差、これが大きい地域でありまして、誰もが豊かさを実感できるということが極めて重要だと考えております。こういった点について述べさせていただきました。
 スピーチの会場、当初二百五十人ぐらいの方に集まっていただければという設定だったんですが、実際には五百七十人の方に集まっていただきまして、立ち見も出るという形で、非常に熱気にあふれ、そして日本のアフリカ外交への関心の高さ感じたところであります。また、各国要人との議論を通じて、各国がこうした日本のアフリカ外交の姿勢を高く評価していると、このことを感じたところであります。
 今回訪問しました四か国いずれも、我が国と基本的価値を共有し、更なる成長が見込まれる国々でありまして、これまでのTICADの実績であったりとか信頼関係も踏まえて、大統領や外務大臣等の間で率直で有意義な意見交換を行うことができたと考えております。今後も、日本がTICAD等を通じてアフリカ各国と長年築いてきた信頼と協力の実績を基礎に、更に力強くアフリカ外交を展開していきたいと考えております。
 その上で、この投資協定について、既にアンゴラ、ケニアとは締結済みでありまして、ザンビアについてはまさに今御審議をいただいているところでありますが、一方で、南アフリカについては結んでいないではないかというお話でありますが、南アフリカは同国の国内事情から二〇一〇年の時点で新たな投資協定の締結はしないと、こういった方針を閣議決定をしているところであります。
 一方で、今回、ラマポーザ南アフリカ大統領及びラモラ外相との会談においては、日系企業の安定的な活動を可能にする投資環境の整備に向けた協力をこちらから要請をしたところ、先方から、日系企業の一層の投資促進に向けて引き続き協力していきたいと、こういう反応があったところであります。
 また、重要鉱物であったりとかサプライチェーンの強靱化、重要鉱物、サプライチェーンの強靱化、さらに、南アフリカ、かなり石炭使っているんですね。この脱炭素エネルギー移行に関して、両国の官民連携、一層強化することで一致を見たところであります。
 投資協定については、相手のこういった意向もありますが、関係省庁と連携をして、また民間企業等と意思疎通しながら、引き続き日系企業の海外展開、そして南アフリカ、今、二百六十の企業、アフリカ大陸の中で最も多い企業が進出しておりまして、これを更に促進していければと、こんなふうに考えております。


○青木愛

 御答弁ありがとうございます。
 南アフリカには、既にもう二百六十の日本企業が進出しているということで、なかなかほかの国には分からない南アフリカ独特の、特有の、なかなか投資協定を結べない事情があるのだと拝察をいたしました。
 続きまして、本年三月ですが、ザンビアにおいてジェトロとJICAの共催によって、日本企業十八社と、そしてザンビアの政府、企業関係者が一堂に会しました日本・ザンビアビジネスフォーラムが開催されています。
 その際、ザンビアのムレンガ大臣からは、ザンビア経済はこれまで資源の採掘や原材料輸出に依存してきたけれども、これからは付加価値化を通じて産業や雇用を創出していくという方針が述べられ、また三上在ザンビア大使からも、近年の対アフリカ援助方針が援助から投資へと転換しつつある点について言及されています。
 このザンビアにおいて、援助から投資への方針転換が示される中、ODAによるインフラ整備とこの民間投資の在り方について今後政府はどのようなビジョンを持って取り組まれるのか、お伺いをさせていただきます。


○今西靖治 外務省大臣官房参事官

 お答え申し上げます。
 ザンビアは、近年経済成長を続けておりますけれども、一人当たりの国民所得、GNI、これは千二百六十ドルでして、依然として経済社会開発上の課題に直面しております。一方で、ザンビアは高品位の銅を始めとする重要鉱物を産出する国であり、我が国として重要なパートナーの一つであると考えております。
 先般、茂木大臣がザンビアを訪問した際には、先方から、ナカラ回廊開発、それから鉱物分野の人材育成などの我が国の支援に対して感謝の意が表明されるとともに、日本企業による投資を通じた互恵的な経済発展への期待が示されたところです。
 今回の訪問の成果も踏まえまして、二国間関係の強化、それからナカラ回廊開発を通じた資源のグローバルサプライチェーンの強靱化、これを推進すべく、ODAによるインフラ整備も活用しつつ、日本企業の投資促進に取り組んでまいります。


○青木愛

 今、ナカラ回廊のお話がありましたので、続けて質問させていただきます。
 昨年の第九回アフリカ開発会議、TICADにおきまして、ナカラ回廊開発によるグローバル・サプライチェーンの強靱化、立ち上げが発表されました。ナカラ回廊は、内陸国のザンビア、そしてマラウイからモザンビークのナカラ港を経てインド洋へとつながる国際回廊です。
 ナカラ回廊開発の現状、そして今後の展望、また日本の資源外交、サプライチェーン戦略における位置付けを再確認させていただきます。


○今西靖治 外務省大臣官房参事官

 お答え申し上げます。
 ただいま委員から御指摘ありましたように、ナカラ回廊開発、これはザンビアからマラウイ、そしてモザンビークへとつながるナカラ回廊の輸送インフラ整備、それから産業開発を通じまして資源のサプライチェーンの強靱化を目的としており、我が国の経済安全保障の観点からも重要な協力と考えております。
 このナカラ回廊につきましては、昨年のTICAD9において、本件をオファー型協力として発表させていただきました。それ以降も様々な取組を進めてきており、例えば、マラウイの首都リロングウェ市で幹線道路の建設を無償資金協力によって支援させていただいておりまして、本年の二月に完工式が行われたところでございます。
 また、モザンビークのナカラ市ですけれども、ここはいわゆるサイクロンの被害が多発する地域でありまして、本年の二月から無償資金協力によりまして、土砂災害の対策を支援しておるところでございます。このナカラ市は、我が国が円借款で支援、整備しましたナカラ港が所在するナカラ回廊の言わば起点でありますので、この回廊の連結性強化に資するものと考えております。
 引き続き、様々なツールを組み合わせてナカラ回廊に関する協力を推進してまいります。


○青木愛

 御答弁ありがとうございました。
 それでは、四件目になりますが、中央アジアに位置しますタジキスタンに関する質問をさせていただきます。
 タジキスタンは、中国、ロシア、イラン、アフガニスタンに囲まれた、中央アジアという地政学的に要衝な位置にあります。旧ソ連の構成国の一つであり、ソ連崩壊後に設立された上海ファイブの一国でもあります。従来、タジキスタンに対する主な投資国はロシアと中国でありますが、今回の日本との協定がタジキスタン初の自由化型投資協定となったということでございます。
 是非その経緯について伺いたいと思いますし、また、日本政府が同国とどのような関係、タジキスタンとの関係をどのように位置付けているのかを伺わせていただきます。


○茂木敏充 外務大臣

 タジキスタンを含みます中央アジア諸国、歴史的に見ても、中国から天山山脈を越えまして、最終的にはアラブのバグダッドに通ずるシルクロードの最後の中継点がウズベキスタンのサマルカンドになるわけでありまして、歴史的に見ても地政学的な要衝に位置していたわけでありますが、現在も、タジキスタンを含みます中央アジアの国々、諸国ですね、五か国は、中国、ロシア、イラン、アフガニスタン等に囲まれ、アジアと欧州を結びます地政学的な要衝に位置をするわけであります。
 そして、旧ソ連時代の歴史的な経緯を有するロシアとは、政治、軍事を始めとする様々な分野で緊密な関係があると、基地があるということもございます。中国とは、また近年、投資、貿易等の経済分野を中心として関係が深まっております。一方で、日本や欧米諸国等との間でも中央アジアプラス1形式で協力枠組みを通じて関係の多角化を進めているところであります。
 日本とタジキスタン、一九九二年の外交関係樹立以来、二国間及び中央アジアプラス日本対話での協力を通じて一貫して良好な関係を築いております。
 今後の二国間関係につきましては、昨年十二月に東京で開催されました中央アジアプラス日本対話・首脳会合や二国間会談の成果を踏まえて、中央アジアとの重点協力三分野というのがあります。一つがグリーン・強靱化、二つ目にコネクティビティー、連結性ですね、そして三つ目に人づくり、これを中心にしてタジキスタンの産業の高度化であったりとか多角化を後押しし、互恵関係強化をしていきたいと考えております。


○青木愛

 ただいまの御答弁、ありがとうございます。
 自由化型の締結になった経緯については、もう少し御説明いただけますでしょうか。


○北川克郎 欧州局長

 お答え申し上げます。
 まず、委員も御指摘されましたタジキスタンとの協定は自由化型ということですけれども、いわゆる保護型の投資協定、これは実際の投資を行った後のその投資の保護について規定するものであり、これに対していわゆる自由化型投資協定、これは、保護型の投資協定に含まれる規定に加えて、実際の投資を行う前段階からの内国民待遇や最恵国待遇の措置についても規定する協定であります。
 こういった投資協定の内容、各国と交渉するに当たって、いわゆる自由化型とするかあるいは保護型とするかを含めまして、まずは我が国経済界の要望を踏まえる、それから相手国の状況、我が国の国益、これらを踏まえた上で交渉を行って、その中において決まっていくものでございます。
 こういった諸点も踏まえながら交渉いたしました結果、タジキスタンとの投資協定については自由化型の投資協定ということで合意したということでございます。


○青木愛

 ありがとうございます。
 加えて、日本はICSID条約の締約国でありますけれども、タジキスタンは同条約を締結していません。そのため、本協定が発効しても、現状ではICSID条約に基づく仲裁手続を用いることはできないということにはなります。
 世界の各投資関連協定に基づく仲裁手続の中でICSID条約に基づく仲裁手続が利用される場合が多いのは、仲裁判断が自国の裁判所の確定判決とみなされるほか、締約国が仲裁判断に従わない場合には世界銀行による貸付けが停止される可能性があるなど、仲裁判断の実効性を確保する手段が認められていることが挙げられます。
 本協定に基づく投資紛争解決手続、これはどのように担保していくのか、確認をさせていただきます。


○北川克郎 欧州局長

 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、タジキスタンはICSID条約を締結はしておりません。他方で、この日・タジキスタン投資協定におきましては、ICSID条約による仲裁以外にも、国連国際商取引法委員会、その仲裁規則による仲裁、又は紛争当事者が合意する他の仲裁機関若しくは仲裁規則による仲裁に付託することができると規定されております。したがいまして、これらの仲裁を利用することが可能であると考えております。
 したがいまして、タジキスタンとの間で確かにICSID条約に基づく仲裁手続、こういった選択肢はございませんけれども、それ以外の今申し上げた仲裁手続を利用することができるということで担保されていると考えております。


○青木愛

 まだ時間があろうかと思いますので、このタジキスタンが有する銀、アルミ、アンチモン、世界上位の埋蔵量を誇る鉱物資源、また水資源、こうした分野において日本企業進出をどのように後押ししていくのか、お考えを伺います。


○北川克郎 欧州局長

 お答え申し上げます。
 まず、委員おっしゃいますとおり、タジキスタンは鉱物資源、水資源等豊富な国でございます。他方で、日本企業、既に進出はしておりますけれども、まだまだそういった分野に進出してはおりません。今回の投資協定は、締約国の企業等が安定的に予見可能性を持って相手国において投資活動を行うための法的枠組みを定めるものですので、この協定を締結した暁に、日本企業がそういった鉱物資源や水資源分野においても活動ができるようにする基盤を整備したいと考えております。
 改めて申し上げますが、この協定で投資環境の透明性、法的安定性及び予見可能性が高まること、既に進出している日本企業による投資を保護すること、良好な投資環境を整備すること、こういったことで、今後、鉱物資源や水資源関連分野も含めてタジキスタンに進出している、あるいは今後進出する日系企業を後押しする効果を期待しております。


○青木愛

 最後の質問になります。
 今回のこの四件の協定は、東欧、中央アジア、南米、アフリカと、地球を俯瞰した外交政策であると考えます。中国、ロシアの影響圏に対する日本外交、また親日国との関係深化、また各種資源のサプライチェーンの強靱化に資する地政学的にも歴史的にも、また戦略的にも日本にとり重要な協定であると考えます。
 改めて、今回の四件の投資協定の意義と今後に向けた更なる日本の外交戦略と、そして外交姿勢について、茂木大臣にお伺いをさせていただきます。


○茂木敏充 外務大臣

 青木委員の方から、地球を俯瞰する日本外交というお話がありました。かつては地球儀を俯瞰する日本外交、こんなふうにも言っておりましたが、どちらも私は同じ意味ではないかなと思っております。
 委員御指摘のとおり、投資協定の推進に当たっては、日系企業に対する支援等の経済的な観点に加えまして、まさに外交的観点も踏まえながら我が国の国益に資するように戦略的に取り組んできたところでありますし、またこれからも取り組んでいきたいと考えております。
 その上で、セルビア、西バルカン諸国中最大の経済規模を有しまして、良好な経済運営の下、安定的な経済成長を続けておりまして、日系企業を含め、海外からの直接投資も増加傾向にあります。
 また、パラグアイはメルコスール加盟国でありまして、南米地域の中核を占めるブラジルに隣接をするといった地理的な特色もあります。また、大豆の輸出量で世界第三位を占めるなど世界的な食料供給国であるほか、リチウム等の鉱物資源が埋蔵されている可能性、これも指摘をされているところであります。
 また、先般、私が訪問したザンビアは、銅、コバルト等を産出する日本にとっても重要な鉱物資源国でありまして、世界的な銅の需要量を見込んで、鉱業分野を中心に、日系企業の関心も高いと考えております。
 そして、タジキスタンでありますが、先ほども申し上げましたが、地政学的な、重要な中央アジアに位置をし、ここ二十年の実質GDP、年平均で約七%の成長と、こういう高成長を続けております。ダム、そして水力発電の分野において経済的潜在性があるのに加えまして、委員からも先ほど御指摘がありましたが、アンチモン等の鉱物資源が生産されておりまして、注目をされております。
 今般の日本の投資協定、これたまたま地域的にバランスよくというか、地球儀を俯瞰する、地球を俯瞰するような形で四本お願いをしているところでありますが、日系企業の海外展開の下支えや相手国企業によります日本への投資の拡大に加えまして、資源国とのサプライチェーンの強靱化、グローバルサウス諸国との連携強化、ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持強化を含めて、様々な観点から大きな意義があると考えているところであります。
 これらは日本外交にとっても重要な課題でありまして、引き続き、投資協定を含めまして様々な外交ツール活用しながら、戦略的な外交を進めてまいりたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございました。今後、ますます日本の果たす役割が大きくなってくると思います。茂木大臣始め外務省の今後のお取組に期待をして、質問を終わります。ありがとうございました。

青木愛事務所

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