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  | HOME | >活動記録>>発言録2013年3月5日 衆議院本会議代表質問




【質問項目】

働くお母さん方が本当に困っている二歳未満の予算の拡充を
待機児童対策について

復興の妨げとなっているひもつき補助金制度を、ただちに一括交付金に
被災地の復興、地方分権

いつまでにどれだけ所得がふえるのか、この場で国民にお約束を
国民の所得増加について

食料自給率・食の安全・国民皆保険制度・交渉の体制
TPP

脱原発を即断し、自然再生エネルギー世界一を目指すべき
原発

国際リニアコライダーの積極誘致を
ILC

世界一の日本にするためには、人にこそ光を当てるべき
締めのことば



待機児童対策について 【戻る】

○青木愛

 先月、杉並区や足立区で、二歳未満の待機児童を抱えるお母さん方が、区役所前で、もっと保育所をつくってほしいと抗議デモをし、行政不服審査法に基づく異議申し立てをしました。杉並、足立それぞれで、千五百人以上のお母さん方が、子供を四月から保育所に入れられないという区からの通知を受けたからです。働くお母さん方が、待機児童の解消に向けて、ついに立ち上がったのです。
 安倍総理は、施政方針演説で、保育所の受け入れ児童数を拡大すると言われましたが、肝心の、保育所をふやすことには触れられませんでした。認可外でもいいから身近な場所に保育所をふやしてほしいという待機児童を抱えるお母さん方の切実な声が、安倍総理に届いていますでしょうか。
 私は、待機児童の解消に少しでもお役に立てばとの思いから、二年半前、地元足立区で、小さな小さな保育所を開設いたしました。お母様方の御協力をいただきながら、何とかやりくりをして、地域のお子様をお預かりしております。
 しかし、区の抱える課題の解決には、やはり政治の力が必要です。前政権で子ども手当をやり切れなかったこと、子育てのしやすい社会へのさまざまな改革にこれからというところで、政権を失い、地方分権を初めとする、より大きなこの国の改革に取り組めなかったことは、残念でなりません。改革の歯車をもう一度前へと回していきたい思いです。
 政府は、三歳から五歳を軸に、幼児教育の無償化の実現に向けた協議会を設置する方針と伺っております。幼児教育の無償化を否定するものではありません。ただ、課題である待機児童の対象年齢は、ゼロ歳から二歳がその八割を超えており、政策優先順位は、待機児童の問題の解決です。
 なぜ、働くお母さん方が本当に困っている二歳未満の予算がふえないのでしょうか。小規模保育所や保育ママの増設、無認可保育所への支援に加え、育児休業制度の大胆な拡充が求められます。来年度予算案を見ますと、国民一人当たりの少子化対策予算は、先進国の平均の半分以下です。申し立てをするほどに要望の高い、今、目の前にある問題に予算をつけず、幾ら景気対策とはいえ、いずれ人が住まなくなるのではと思われるようなところにまで、なぜ、また道路をつくり始めるのでしょうか。
 総理は、子供に係る予算の優先順位をどうお考えでしょう。少子化が今のペースで進めば、五十年後には日本の人口は九千万人を切り、百年後には五千万人を下回ります。そして、千年後に人口はゼロになると、社会保障・人口問題研究所が試算をしています。
 高齢化で滅ぶ国はありませんが、少子化を放置すれば、国力が落ちて、いずれ国は滅びます。仮に、今日、出生率が人口維持水準の二・〇五を回復できたとしても、実際に人口減少がとまるのは五十年後と言われています。たびたび引き合いに出されるフランスでは、手厚い、きめ細やかな財政的支援を柱に、同じ所得でも子供の数がふえるほど所得税の負担が少ない大家族優遇の税制に切りかえ、出生率は二を回復いたしました。 予算配分や税制のかじを今大きく切らなければ国の存亡にかかわるという危機意識を、安倍総理は持っておられますでしょうか。直ちに少子化対策に本気で着手しなければ、幾ら公共事業をふやして道路をつくっても、それらを使う人々がいなくなってしまうかもしれないんです。
 かじを切る方向性が間違っていませんでしょうか。御認識をお伺いいたします。

安倍晋三内閣総理大臣

 青木愛議員にお答えいたします。
 保育所の待機児童対策と子供に係る施策の優先順位についてお尋ねがありました。我が国における少子化の進展は、国民生活に深刻かつ多大な影響をもたらすものと認識しており、少子化対策は待ったなしの重要課題であると考えております。
 また、身近な場所で保育を受けたいという母親たちの声に、私も全力で応えていきたいと考えております。政府として、保育所の整備、保育士の確保を進めるなど、待機児童の解消に向けて、全力で取り組むこととしております。
 なお、今年度補正予算においては、国民の命と暮らしを守るインフラの再構築や子育て支援などのさまざまな施策が盛り込まれており、これらはいずれも重要なものであると考えております。また、幼児教育の無償化については、関係府省の連携のもと、子ども・子育て支援新制度との関係、財源確保の観点等を踏まえ、検討を行ってまいります。



被災地の復興、地方分権 【戻る】

○青木愛

 被災地の復興は、大幅におくれています。地元関係者からは、地元の要望に沿った事業に予算がつかないとか、復興予算がついても、さまざまな規制や省庁の縦割りの弊害があって執行が難しいとの不満の声をいただいています。例えば、政府が五省庁四十事業という枠を決めたら、それに当てはまる事業しか承認されません。また、土地の移転や造成、住宅の建設のように、幾つもの省庁にまたがっている事業は、一向に進みません。これらは、ほんの一例です。
 先日、本院の予算委員会の質疑で、総理は、福島の復興が進まない理由を聞かれ、予算がついても、結局、ひもつきになっていて、その執行において、地元の方々の声を十分に吸収しながら、縦割りを排してその執行ができていない点もあると、率直に答弁されておられました。補助金がひもつきになっていて、縦割りの弊害があると総理自身が御認識しておられながら、二月に成立した十三兆一千億円の補正予算や平成二十五年度予算案は、中央省庁主導による従来型のひもつき補助金による公共事業で埋められています。
 私たちは、地方分権を進める立場から、ひもつき補助金を自由に使える一括交付金にかえ、地方自治体が地元の要望に沿った事業を効果的に実施できる仕組みづくりに努力をしてまいりました。しかし、総理は、地方分権化に逆行するかのごとく、従来の補助金制度に戻されています。復興の妨げとなっているひもつき補助金制度を、一括交付金に直ちに改めるべきと考えます。
 なぜ、総理は、権限をお持ちになりながら実行に移せないのでしょうか。その理由をお伺いいたします。

○安倍晋三内閣総理大臣

 いわゆる一括交付金の廃止についてのお尋ねがありました。地域自主戦略交付金については、地方から、窓口の一元化や手続の簡素化、総額の確保などの課題が指摘されていました。これらの課題を解消するため、本交付金を廃止し、各省庁の交付金等に移行することとしました。その際、地方六団体からの意見を聞き、各省庁における交付金のメニューの大くくり化や、継続事業の着実な実施に必要な総額の確保など、地方の意見を反映した施策を推進しております。
 なお、福島の復興については、今年度補正予算及び来年度予算案において、帰還加速や長期避難者の生活拠点形成などのため、新たな現地のニーズにきめ細かく対応する施策を、福島ふるさと復活プロジェクトとして盛り込んでいるところです。



国民の所得増加について 【戻る】

○青木愛

 アベノミクスが成功するかどうかは、それによって国民の所得がふえるかどうかの一点にかかっていると思います。円安のため、既に、ガソリンや食料は値上がりをしています。インフレ二%が達成されれば、さらに物価が上昇をいたします。年金や医療も、保険料は上がります。今や、値上げラッシュで国民負担がふえるのに、それに見合って所得がふえなければ、国民の生活は貧しくなる一方です。多くの国民がそのような状況下にあっても、総理は、消費税を増税されるのでしょうか。
 かつて、この本会議場で、国民の所得を倍増すると約束して、実現した総理もいました。いつまでにどれだけ所得がふえるのか、この場で国民にお約束をいただけませんでしょうか。

○安倍晋三内閣総理大臣

 消費税と国民の所得についてのお尋ねがありました。政府としては、三本の矢により、企業の収益機会をふやし、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていきますが、この過程では、物価のみが上昇するのではなく、企業の収益力向上の成果が適切に労働者にも配分されることが重要です。このため、私から、可能な限り報酬の引き上げを行ってほしいと産業界に直接要請したところであり、また、平成二十五年度税制改正においては、利益を従業員に還元する企業を支援することとしております。
 消費税率の引き上げについては、本年秋に、附則第十八条にのっとって、経済状況等を総合的に勘案し判断をしていくこととなります。その際、さまざまな経済指標を確認する中で、賃金など、雇用情勢も見てまいります。いずれにしても、三本の矢で、長引くデフレから脱却し、働く意欲のある人たちに仕事をつくり、頑張る人たちの手取りをふやし、日々の暮らしを少しでもよくするため、日本経済を全力を挙げて再生してまいります。



TPP 【戻る】

○青木愛

 日米首脳会談で、安倍総理は、TPP、環太平洋戦略的経済連携協定の交渉参加に一歩を踏み出され、近く正式に決断されると聞いております。グローバル時代の中で、自由競争の妨げとなる関税や非関税障壁を撤廃し、人、物、金、サービスを自由に行き来させれば、新しい可能性が切り開かれることは事実です。しかし、それぞれの国は、独特の気候や風土、そして固有の歴史、文化、習慣を持っています。そのことを十分に考慮しなければなりません。
 まず、農業問題についてお聞きいたします。TPP参加により、我が国は食物の自給率が大幅に下がり、農林水産省は、一三%に低下すると予測をしています。異常気象のために農産物輸出国が凶作の事態に見舞われたとき、日本は十分な食料を確保できるのでしょうか。不測の事態に備えるため、日本国民の食料は、一定程度、自国で賄う体制を整備すべきです。自給率向上の方策についてお答えください。

○安倍晋三内閣総理大臣

 TPPと食料自給率についてお尋ねがありました。食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国民に対する国家の最も基本的な責務であり、国内農業生産の増大を図り、食料自給率を向上させることは重要であると考えております。このため、TPP交渉への参加いかんにかかわらず、農業の活性化を図っていくことは極めて重要な課題であり、攻めの農政に力を入れていきたいと考えております。

○青木愛

 食の安全の問題もあります。食のルールを統一するという名目のもとで、日本の厳しい残留農薬基準が国際基準に合わせて緩められたり、日本で禁止されている収穫後使用農薬の許可を求められたり、遺伝子組み換え食品の輸入が拡大したりすることが懸念をされます。これは、消費者にとって、極めて懸念する事態であります。総理はどのように対処されるおつもりか、お答えください。

○安倍晋三内閣総理大臣

 TPPと食の安全についてお尋ねがありました。食品の輸入について、科学的根拠に基づき食品安全に関する措置を実施する権利は、WTOの衛生植物検疫措置に関する協定で、我が国を含む各国に認められています。これまで得られた情報では、TPP協定交渉では、現在のところ、残留農薬基準等、個別の食品安全基準の緩和は議論されていないと承知しています。いずれにせよ、仮に交渉に参加する場合、食の安全が損なわれることのないよう、国際基準や科学的知見を踏まえつつ、適切に対応してまいります。

○青木愛

 医療制度も直撃します。
 我が国の国民皆保険制度は、全国一律の比較的安い料金のため、安心して治療に通うことができます。世界に誇る制度です。現在は保険診療と保険外診療の併用は制限されていますが、TPPに参加すると、この制限や現行の保険制度は自由診療の妨げだと主張して、制度の撤廃ないしは縮小を強要してくるおそれがあります。そうなれば、公的医療保険の適用範囲が縮小され、高額で利益の高い保険外診療が拡大し、その結果、医療費が高騰します。自由診療枠の保険は、民間保険会社が対応します。この分野はアメリカがすぐれており、日本の一千兆円を超える個人資産を目的としていると言われています。
 総理は、国民皆保険制度の堅持についてどのようにお考えか、お聞かせください。

○安倍晋三内閣総理大臣

 TPPに参加した場合、国民皆保険制度への影響についてのお尋ねがありました。これまで得られた情報では、公的医療保険制度のあり方そのもの等については、TPP協定交渉において議論の対象となっていないと承知しています。国民皆保険制度は、日本の医療制度の根幹であり、この制度を揺るがすことは絶対にないということを申し上げたいと思います。


○青木愛

 交渉に際し、我が国の省庁縦割りの体制で臨んで、果たして国益を守れるのでしょうか。
 米国は、USTRという貿易交渉専門の組織が交渉窓口で、全ての役所の利害を調整した上で交渉してきます。もし交渉参加するというのであれば、日本版の通商代表部をつくって臨むという覚悟がおありかどうか、総理に伺います。
 また、この交渉には、参加者に協定締結後四年間を含む守秘義務が課されていますが、国民に交渉経過の情報をどのような方法で随時開示をするおつもりなのか、お聞かせください。

○安倍晋三内閣総理大臣

 TPP交渉に臨む際の体制についてお尋ねがありました。TPP交渉に参加するかどうかということについては、党内や米国との協議も踏まえて、私が最終的に判断することとしており、交渉参加後の具体的な体制といったお尋ねにお答えすることは困難ですが、いずれにせよ、TPPについては、国益にかなう最善の道を求めていくこととしております。
 TPPの交渉経過の情報開示についてお尋ねがありました。国民への情報提供については、外交上のやりとりでもあるため、公開できることとできないことがありますが、今後とも、公開できることは、状況の進展に応じて、しっかりと国民の皆様に提供してまいります。



原発 【戻る】

○青木愛

 福島の原発事故についてお伺いをいたします。
 今なお、不都合な情報が隠されたままです。ようやく東京電力は、昨年の九月に、福島第一原発から、九月時点でも、毎時一千万ベクレル、毎日二億四千万ベクレルの放射性セシウムが大気中に放出されていると発表しました。現在も放出が続いています。
 さらに深刻なのが、汚染水の処理の問題です。汚染水の貯蔵量は現時点で二十六万トンに達しており、近々、多核種除去装置で放射性物質を除去することになっていると聞いていますが、トリチウムは除去できません。トリチウムを含む汚染水をどのように最終処分するのでしょうか。そのまま海に放出することを総理は容認されるのでしょうか。御答弁をお願いします。
 加えて問題なのは、一日約四百トンの地下水が建屋に流れ込んでいるという事実です。これは、地下水脈と建屋とがつながっているということであり、逆に、建屋内の汚染水が地下水脈に流れ、そのまま海に流れ出ている可能性を否定できません。
 先月、福島第一原発の港湾内で捕獲したアイナメから、規制値の五千百倍ものセシウムが検出をされました。汚染水の漏えいが影響しているのではないでしょうか。その辺の実情を調査し、公表することをお約束いただきたいと思います。いかがでしょうか。

○安倍晋三内閣総理大臣

 東京電力福島第一原発の汚染水の処理についてお尋ねがありました。東京電力福島第一原発のトリチウムを含む汚染水については、増加の原因となる地下水の流入抑制を図るとともに、放射性物質の除去などの処理を行った上で、タンクに貯蔵しております。最終的な処理方針については未定ですが、海への安易な放出は行わないこととしております。
 汚染水の海への流出についてお尋ねがありました。建屋内の汚染水については、建屋の外に流出しないよう、その水位が地下水の水位を上回らないように管理しているところです。また、発電所付近の地下水や海水について、定期的に放射能濃度の測定を行い、東京電力が公表しております。引き続き、関係者の皆様の御理解を得るべく、汚染水の管理に万全を期してまいります。

○青木愛

 福島県は、二月十三日、事故発生時に十八歳以下だった三人が甲状腺がんと診断され、七人に疑いがあると発表しました。チェルノブイリ事故の例を見ますと、発症は五年ごろから目立ってふえています。痛ましいことですが、今後、発症事例がふえることが予想されます。政府は、どのような対策を講じているのでしょうか。お聞かせください。

○安倍晋三内閣総理大臣

 福島県の甲状腺検査についてお尋ねがありました。御指摘の、福島県の甲状腺検査に関する結果については、専門家の見解では、原発事故によるものとは考えにくいとされています。一方、福島県の子供たちの生涯にわたる健康を見守ることを初め、住民の方々の長期的な健康管理を行うことは重要なことと認識しています。これまでも、政府としては、福島県が行う甲状腺検査を、財政面、人材面で支援しているところです。引き続き、真に必要とされる健康管理に対する支援に取り組んでまいります。

○青木愛
 総理は、世界一安心な国、世界一安全な国を掲げておられます。しかし、同時に、原発の再稼働を明言されました。原発を再稼働して、世界一安心で安全な国をつくると言い切れる、その根拠を教えてください。

○安倍晋三内閣総理大臣

 世界一安心な国、世界一安全な国と原発再稼働についてのお尋ねがありました。
 原子力発電所に関しては、何より安全確保を最優先すべきものと考えています。東京電力福島第一原子力発電所事故も踏まえ、独立性の高い原子力規制委員会が設置されており、安全性についてはその専門的な判断に委ね、安全と認められない限りは、再稼働はありません。妥協することなく、たゆまぬ安全性、信頼性の向上を目指していく、安全規制、安全文化をつくっていく、そのために全力を挙げてまいります。

○青木愛

 あらゆる技術が世界最高水準にあり、事故の経験を持つ日本は、脱原発を即断し、自然再生エネルギー世界一を目指すべきだと考えます。
 再生エネルギーの開発と普及は、地域密着の新たな産業を創出し、そこに住む人々に、雇用と、安心で美しいふるさとを提供します。また、その技術は、世界に貢献します。今こそ、自然再生エネルギー世界一を掲げ、世界を脱原発へリードすべきだと考えますが、総理の御意見をお聞かせください。

○安倍晋三内閣総理大臣

 再生可能エネルギーの普及と脱原発についてのお尋ねがありました。再生可能エネルギーの普及は、エネルギー安全保障の強化、低炭素社会の創出に加え、新しいエネルギー関連の産業創出、雇用拡大の観点からも重要です。 このため、固定価格買い取り制度を着実に運用することに加え、予算、税制措置、規制改革などにより、今後三年間で、最大限、再生可能エネルギー普及を加速させてまいります。
 原子力を含むエネルギー政策については、まず、いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提であります。この点、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという前政権の方針はゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点を含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。その際、できる限り原発依存度を低減させていくという方向で検討してまいります。


ILC 【戻る】

○青木愛

 一九四九年、湯川秀樹博士は、日本人初のノーベル賞を受賞し、敗戦で自信を失った日本人に誇りと自信を与えました。山中伸弥博士は、ヒトiPS細胞を世界で初めて開発し、昨年、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。これにより、画期的な再生医療の道が開かれました。従来型の公共事業に多額の公的資金を投資しても、社会や経済への波及効果は、昔ほど期待できません。インフラがある程度整備された成熟社会においては、投資の対象を、道路や建物ではなく、人に移すべきなのです。その代表的なものは、子育てと教育、そして福祉、さらには研究開発だと考えます。
 総理は、国際リニアコライダーを御存じのことと思います。ヨーロッパと北米とアジアが協力し、地下に四十キロメートルにも及ぶ直線型の加速器を構築し、高速に加速した電子と陽電子を互いに衝突させ、ビッグバン直後の状況を再現し、宇宙誕生の瞬間を解明しようという、夢の巨大プロジェクトです。ここから生まれる技術は、IT、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、医療、そして環境など、さまざまな先端研究分野に応用が可能であり、成長産業の創出や雇用の拡大が期待されます。四兆円以上の経済効果があると試算されています。世界で六カ所が候補地に挙がっており、そのうち二カ所が日本で、東北の北上山地と九州の脊振山地です。もし日本に誘致されれば、世界じゅうから科学者が集まります。被災地となった東北であれば、夢と誇りの国際研究都市となり、総理が発信された、若者たちが希望に胸を膨らませることができる東北となるでしょう。九州であれば、アジアに位置する世界中心都市として浮上するのです。誘致に関して、総理の前向きな御答弁を期待いたします。

○安倍晋三内閣総理大臣

 国際リニアコライダーの誘致についてお尋ねがありました。我が国は、世界最先端の加速器技術で世界のイノベーションを牽引していきます。その一環である国際リニアコライダーについては、大きな夢のある構想である一方、巨額の経費を必要とすることなどにも留意が必要と考えています。政府としては、まず、研究者レベルでの国際的な設計活動の進捗状況等を見定めながら検討していきます。


締めのことば
 【戻る】

○青木愛

 最後に。日本全国津々浦々を元気にする秘訣は、国民生活と密着し、地元事情に一番精通している地方自治体に、中央政府が握っている予算と権限を大幅に移譲することです。そうすれば、各地域の創意工夫が生かされ、互いに切磋琢磨し合って、特色ある元気な日本が創造されます。そして、希望と誇りに輝く世界一の日本にするためには、人にこそ光を当てるべきです。子供たちの笑顔があふれる国は栄えます。未来は子供たちの中にあります。

 以上、私たち生活の党の基本的な考え方を申し述べ、私の質問を終わらせていただきます。