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  | HOME | >活動記録>>発言録2013年4月10日 衆議院予算委員会「教育等集中審議」




○青木愛

生活の党の青木です。
十五分の質問時間、どうぞよろしくお願いいたします。
先日、福島県のいわき市を訪ねてまいりました。いわき市明星大の駐車場用地の提供を受けて、楢葉町の町立あおぞらこども園が、ことし、一年十カ月ぶりに開園をされていました。日赤や民間企業、またタレントさん等の支援でつくられたそうです。保育園と幼稚園をあわせたこども園の形態をとっておりまして、楢葉町に一時帰宅される際の預かりなどの子育て支援センターも園内に設置をされていました。
こども園の玄関には、その日の放射線量が〇・一マイクロシーベルトと表示をされていました。
広いグラウンドには遊具も設置され、その向かいには楢葉の小中学校が建っていました。仮設ながら、園内は大変明るい雰囲気で、給食もつくっておられ、また入園式の準備が進められていました。
三月に卒園した園児たちは、四月からは一年生として向かいの仮校舎に進学をいたします。楢葉の町ごと、学校ごと移転をしておりまして、それも、楢葉の町を守り、立て直すという意思のあらわれなのかなというふうに思いました。二十七年まで、あと二年間、この継続が決まっているそうですけれども、来年の四月をめどに楢葉町として今後どうしていくのか、その方針を決定することになっているということでございました。
楢葉町は二十キロ圏内です。昨日も、中間貯蔵施設の知見を得るためのボーリング調査が行われておりました。情報で知りました。住民が移動を余儀なくされた原因をつくったのはやはり国の方針が大きいかというふうに思っておりまして、今後の楢葉町の皆様の暮らし、また子供たちの教育の保障、国として今の現段階でどういう見通し、計画を持ってその責任を果たしていくお考えか、お聞かせをいただければと思います。


○下村国務大臣

福島県におきましては、仮設校舎や避難先等での学習を余儀なくされている子供がたくさんいる中で、教育現場も復興途上であり、子供たちが以前と同様、落ちついた環境の中で安心して学べるよう継続的な支援が重要だというふうに認識しております。
私も大臣就任直後に福島に参りまして、いわき市に行き、楢葉町の仮設校舎、それから楢葉町の町長と幹部の方々から同様な状況について直接お聞きしました。どんな困難な状況にあってもたくましく育っている子供たちを見て、彼らの夢が実現できるよう全力で応援したいとそのときも改めて感じたところでございますし、それは楢葉町の町長やいわき市の町長、あるいは県の教育長等にもお話を申し上げたところでございます。
文部科学省としては、子供たちの学びたいという思いに応えていくため、福島県からの要望を踏まえつつ、学校施設の復旧、それから就学機会の確保のための経済的支援や心のケアの充実、被災地の教育活動への支援、地域の教育力を活用した子供たちの学習支援等、教育環境の整備を一層進めてまいります。


○青木愛

ありがとうございます。
楢葉町に象徴される避難者の皆様方の今後の暮らし、子供においては教育環境、これはしかるべき時期に国の方針をやはり定めなければなりませんし、またその後の細やかな対応、丁寧な対応が必要なのかなと思っております。
大臣が御訪問されたことも教育委員会の皆様や行政の皆様はお話しされていまして、大変たくましい子供の姿に大臣も大変感激をしていましたということを私も伺いまして、また文科委員会の方でも子供の実態について取り上げていきたいというふうに思っております。またよろしくお願いいたします。
もう一点、福島の教育現場の課題でありますが、教員の確保についてあわせてお伺いをさせていただきます。
福島県において、震災の二十三年、二十四年、そしてこの二十五年度と、約五百人ほどの教員の加配措置、増員を行っていただいています。予算を計上していただいているんですが、要望どおり予算がついても、実際、現場では教員の確保が難しいという現状があるということでございますが、予算がついても執行がされないというこの現状について、どのようにお考えでしょうか。


○下村国務大臣

今、青木委員から御指摘がありましたが、被災児童生徒に対する学習支援等のための教職員定数の加配措置については、これは福島県からの要望どおり、二十三年度に五百十四人、二十四年度に五百十二人の措置を行い、そして、今度の平成二十五年度の予算案においても、前年度同数の一千人、福島県は県からの申請どおり五百十人を措置して、既に内定通知も出しているところでございます。
この加配定数を活用して、例えば、退職教員をフルタイムで使うほか、短時間勤務の形態で任用するということも可能でございます。
また、教職員の給与は、各県の条例に基づき、県教育委員会が決定することになっており、義務教育費国庫負担金を活用して、福島県教育委員会の判断により弾力的に給与を設定することも可能であります。
また、教員への人材確保が困難との今御指摘がございましたが、福島県によれば、平成二十五年度からは教員採用を再開し、小中学校で約十三倍の倍率の選考のもとで必要数を確保しており、臨時講師についても必要数を確保しているというふうに聞いているところでございます。
文部科学省としては、今後とも、福島県を初めとした関係自治体からの要望を踏まえながら、また、弾力的な対応もできるということを御説明も申し上げながら、引き続き、息の長い支援を行ってまいります。


○青木愛

ありがとうございます。
今、給与においても裁量があるというふうに伺ったので、ただ、使い勝手のいい補助金というか財源に変えてあげた方が、給与の臨時措置とか、あるいは教員OBの採用、さまざまな経験者、あるいは住居の手当て等々、現場の自由な裁量の枠を広げれば、予算をもっと活用できるのではないかなというふうにも思いました。
公聴会でも、いわき市は、被災地でありながら放射線量が低いということで、避難者の受け入れも行っていて、これは継続しておりますので、なかなか財源の工夫もされているかと思います。その上に、補助金が使いづらいという御意見もありまして、基準や条件を設けるのではなくて、できるだけ地元が使いやすい形にすることが望ましいのではないかなというふうに思いました。

福島の教育現場については以上御報告をさせていただきまして、最後の質問になります。
前回の予算委員会でも質問いたしました使用済み核燃料の放射性廃棄物の処理にかかわる核変換技術の研究開発の促進について、再度質問をさせていただきます。
使用済み核燃料の処理、これは世界の課題でございまして、それにかかわる人材育成は、今後、継続した課題になると思います。
日本の使用済み核燃料、全国五十四基と再処理を待っているものも含めまして、一万七千トン、世界第三位の保有量でございます。現下での最終処分は数十万年単位での地層処分です。
しかし、この核変換技術は、中性子を長寿命核種に照射することによって短寿命核種に変換し、数十万年の処分期間を百年、二百年に短縮することができる技術でございます。いわゆる最終処分場が必要とはなくなり、中間処理施設を補強するだけで十分になるというふうに言われております。
核変換の方法は二つございまして、加速器を利用したものと高速増殖炉を用いるものです。加速器の方が、加速をとめれば中性子はとまりますので、そうした暴走を防ぐことができ、安全性が高いと考えられております。
ただ、二十五年度の予算案では、加速器には一億、そして高速増殖炉には二百八十九億が計上されております。高速増殖炉は、世界で成功した例はなく、アメリカ、イギリス、またドイツ、主要先進国は既に断念をされています。日本でも事故が続いています。
長年かけても見通しの立たないこの高速増殖炉にばかり巨額の予算をつぎ込むのではなく、既に、中性子を発生させる最先端の加速器が、東海村、J―PARCに設置をされておりますので、より安全な加速器を活用した方式も並行して進めるべきだと考えます。
前回の質問の折、下村大臣は、核変換技術の実用化が可能であれば、これは極めて有意義であると認識を示されました。また、原子力委員会の報告書の取りまとめから五年経過していることも指摘がありました。加速器の方式による核変換技術の研究開発に係る予算は約二百二十億円と具体的に示していただきました。
ただ、下村大臣は、答弁の中で、原子力を利用するに当たってと前置きをされておりまして、私たちは原発に頼らないエネルギー政策を考えておりますが、いずれにしても、使用済み核燃料の処分は必要なことでございまして、世界じゅうが期待する技術でございます。
一刻も早くこの加速器方式の研究に着手をしなければならないと考えています。どちらかを選択するのに時間をかけているよりも、この際並行して進めたらよいのではないかと考えますが、御所見をお伺いしたいと存じます。



○下村国務大臣

高速増殖炉サイクル「もんじゅ」でございますけれども、これは、廃棄物の減容や有害度の低減など、環境負荷低減への貢献が期待されており、現在、科学技術・学術審議会のもとで、もんじゅ研究計画作業部会を設置し、改めて専門家による技術的な検討を行っており、ことしの夏をめどに研究計画を取りまとめる予定でございます。
一方、何度も御質問いただいておりますが、加速器を用いた核変換技術については、二〇〇九年四月に原子力委員会が取りまとめた報告書、「分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方」、この中で、高速増殖炉サイクルによる技術が所定の性能目標を達成することができないと判断されたときは、開発対象として採用が検討される可能性もあるとされているということでございます。
そういうことから、されているところではございますが、技術的な課題も多いため、おおむね五年ごとに基礎データの充足や研究の進展等についての状況を評価することが適当とされている
ところでございます。
文部科学省としては、原子力委員会の報告書が出されてから四年が経過していることから、加速器を用いた核変換技術について、改めて技術的な観点での評価が必要と考えており、それらの結果を踏まえて今後対応を検討してまいりたいと思います。


○青木愛

ありがとうございます。
この際、「もんじゅ」か加速器かという二者択一を迫るものではなくて、一刻も早くこの加速器の方式を進めたいという思いでございます。セシウム135といった課題もございますけれども、そのマイナーアクチノイドとされるものを目的とした研究を早く進めたいというふうに思います。
最後に、できれば安倍総理に一言お伺いしたいと思いますけれども、こうした研究成果は、これから国際社会において、また諸外国との共存を図る中で、日本が貢献できる最大の分野であり、また最大の武器だというふうに考えます。それにかかわる研究者はもちろん、さまざまな人材を育成する教育環境整備にこそ最優先で力を注いでいただきたいと思いますが、安倍総理の御所見を最後に伺って、質問を終わりたいと思います。



○安倍内閣総理大臣

日本原子力研究開発機構において、「もんじゅ」やJ―PARCの利用を想定した基礎的な研究を実施しておりますが、今後とも、引き続き、核変換技術にかかわる研究を着実に進めていきたいと考えております。

○青木委員

ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。