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  | HOME | >活動記録>>発言録2013年6月21日 衆議院科学技術特別委員会(参考人質疑)





○青木愛

本日は、貴重なお話をいただきまして、大変ありがとうございました。生活の党の青木でございます。
何点か御質問をさせていただきますが、まずは野依先生にお伺いをしたいと思います。
先ほどもお話の中に出ておりました、野依先生の幹といいますか、第四期科学技術基本計画というものが幹にあるんだろうというふうに拝察をいたしますが、五月十四日に発表された自民党の政務調査会の科学技術・イノベーション戦略調査会の中の「わが国の研究開発力強化に関する提言(中間報告)」ということでございますが、これの内容を超党派でも推進すべきだというお話をいただいておるんですけれども、なかなか、野党におりますと、この中身がどういうものなのかというのをうかがい知ることができないのですが、超党派でもこれを推進すべきだという自民党政務調査会のこの中間報告の中身をもし教えていただければ助かるのですけれども。


○野依参考人

いや、それは私がお配りするものではなくて。


○渡海委員長

私は、現在、委員長の立場でございますので、これは、そうしますと、三原筆頭に宿題としてお願いをさせていただいて、もし可能でしたら、要点を少しお話を。参考人はよく御存じだと思いますので。


○野依参考人

これは十六ページぐらいあるんですが、よろしゅうございますか。


○渡海委員長

限られた時間ですから、では、改めてお持ちしましょうか。それでは、当委員会ではそのように取り扱いたいと思います。



○青木愛

よろしくお願いいたします。
野依先生は、さまざまな御発言力も大変重いものがあろうかと伺っておりますけれども、率直に言って、どういった研究分野、どういう分野を今後開拓すべきだと野依先生は今お考えになっておられますでしょうか。


○野依参考人

科学技術が何のためにあるのかということにやはりさかのぼらなければいけないと思っております。
昔は、科学技術というのは、軍事と申しますか、安全保障あるいは平和維持のためにあったと思います、西欧では。最近は、経済成長のために非常に大きな貢献があったと思います。しかし、こういった傾向は今後とも続くと思いますけれども、これからは間違いなく、やはり、人類の生存、存続のために貢献する科学技術をつくっていかなければいけないと思います。その方向に日本も進まなければいけない、貢献しなければいけない。
具体的に何をしなければいけないかといいますと、これは前の国連の総長であったコフィ・アナンが言っていることですけれども、水、エネルギー、ヘルス、健康医療ですね、アグリカルチャー、食料ですね、それからバイオダイバーシティー、生物多様性、そして貧困の解決、このために科学技術は進むべきだということでございます。
もちろん、これは日本の国内だけでできることでもありませんし、科学技術だけでできることではありませんけれども、これが新しい科学技術の進む道だろうと思っております。



○青木愛

ありがとうございます。
そうしますと、野依先生のさまざまな講演の記事など、資料等を拝見しますと、新しい社会的な価値の創出が大事だというふうにおっしゃられていまして、全米工学アカデミーのフォーラムでも、今一番大事なのは、教育された国民を最大限に確保し、多くの人々が価値を創造できるよう、自由と資金を与えることだという記述も拝見をいたしました。
これからどう生存していくかというお話もあったんですけれども、オバマ大統領が二〇一四年の予算の中でクリーンエネルギーにも重点を置かれたという資料も拝見をいたしまして、この場では恐縮ですけれども、今課題になっています原発についてどんなふうにお考えかというのは、これもまた新しい価値の創造のきっかけになるのではないかというふうにも思うのですけれども、そのあたり、お伺いできれば、よろしくお願いいたします。


○野依参考人

原発の問題は、たくさん政治的な問題も含んでおりまして、私が個人的に答えられることは限られております。
しかし、いずれにしましても、電力というのは、今人間が生きていく上で一番大切なもので、これを何とか確保しなければいけない。先ほど二十のイノベーションシステムを申し上げたけれども、一番トップにあるわけですね。ですから、これがなければ現代文明は成り立たないということです。
そのためにどうするかということでありますけれども、もちろん、原子力発電が理想的だとは申しかねますけれども、しばらくはつなぎで、やはり使っていく必要はあろうかと思います。そのために、安全について、やはり最大限の努力を払わなきゃいけない。そして、軽減していくならば、新しい再生エネルギー等、本気でやるという覚悟を、国、国民が持たなければいけないんじゃないか。そこには、人材の養成、そして資金の投入、こういうことがあろうかと思います。そういうことがセットになって、新しいエネルギーをつくっていくことが初めてできるかもしれない、そういうことだろうと思っております。



○青木愛

ありがとうございます。大変貴重な御意見をいただいたと思っております。
本当に、新しいエネルギーにかえていくという、国としての、国民としての覚悟といいますか、そこがまず第一にあって、そういう方針を定めていければこれにこしたことはないなと、私も現段階では思っているところでございます。
最後に一問、白石先生にお伺いをさせていただきたいと思います。
先ほどリニアコライダーのお話に触れられまして、私も何度か質問の方に取り上げさせていただいております。さまざまな効果はそれぞれから指摘をされているところでございますが、やはり日本に希望と活力を与えるまさに第三の矢の象徴的な役割を果たすのではないか、その予算もめり張りを持ってつけるべきではないかというふうに思っておるのでございます。
白石先生として、リニアコライダーの誘致ということについてどのようなスタンスでいらっしゃるのかということをお伺いしたいのと、先ほど、国会としてのもっと合理的な調査が必要ではないかというふうなお話もありましたので、ちょっとその辺も含めてお伺いできればというふうに思い
ます。よろしくお願いいたします。


○白石参考人

経済学に、オポチュニティーコスト、機会費用という考え方がございまして、例えばリニアコライダーは、現在のエスティメートで見ますと八千億円くらいで、仮に日本に誘致するとすれば四千億円くらい日本政府が負担する、そういうプロジェクトだと理解しておりますけれども、機会費用の考え方を使いますと、この四千億円をリニアコライダーに投資するのがいいのか、投資すればそのときの経済的効果は例えばどれだけあるのか、再生医療に投資すればどのくらい効果があるのか、あるいは粒子線治療に投資すればどのくらいの効果があるのか。これを、幾つかのグループに試算させてみるというくらいのことをやれば、それだけでも随分、政策決定者にとっては参考になるんじゃないかと。
そういうことを、特に大型のプロジェクトについてはぜひ調査するような機関、これはアメリカの場合にはコングレショナル・リサーチ・サービスというのがございますので、そういうものをぜひこういう機会につくることを考えていただければどうでしょうかというのが実は私が申し上げた
かったことで、リニアコライダーについては、ぜひこのオポチュニティーコストという考え方を入れていただきたいということでございます。



○青木愛

大変よくわかりました。具体的なアドバイスをありがとうございました。終わらせていただきます。