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  | HOME | >活動記録>>発言録2013年11月27日 衆議院文部科学委員会


文部科学行政に関する一般質疑
    

○青木愛

 生活の党の青木でございます。本日も、どうぞよろしくお願いいたします。
 きょうは、科学技術研究開発の分野について、この間視察に伺ったところを中心に一つ一つ質問させていただきますので、御見解を伺わせていただきたいと思います。
 まず、海洋立国である日本の海洋開発についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 日本は、四方を海に囲まれた小さな島国国家でありますが、東京の南、千キロメートルの太平洋に浮かぶ小笠原諸島や、そこからさらには南西へと千キロメートルのところにある沖ノ鳥島、そして九州から台湾の手前まで点在する南西諸島がございます。そのために、日本の排他的経済水域、四百四十七万平方キロメートルということで、国土のおよそ十二倍に相当し、世界六位の広さであります。また、広さだけではなくて、全体の六割以上が水深三千メートル以上となっておりまして、海水の体積も世界四位というボリュームを持っております。
 せんだって、小笠原・西之島に新しい島が、海底火山の噴火で誕生いたしております。気象庁の発表がございました。これから活動がさらに続いた場合は、この島もさらに大きくなる可能性もあり、それによってまた領海が広がることも考えられるわけであります。
 海洋立国日本として、この海をこれから活用していく潜在的能力がまだまだ秘められているというふうに考えています。
 この閉会中に、新造船の「新青丸」と、そして海底探査船の「ちきゅう」を視察させていただきました。
 この「ちきゅう」が一躍脚光を浴びたのは、一つには、メタンハイドレートの掘削に成功したという発表がございました。現在、「ちきゅう」は、南海、東南海沖の震源予想区域の深海底調査の任務についているとお聞きをいたしています。
 また、「新青丸」は、東北マリンサイエンス拠点形成事業として、震災による東北沖の海洋生態系の変動などを調べて、研究成果は被災地に還元をし、漁業振興につなげる方針だと伺っております。
 このような地震、地殻変動のメカニズムの解析や、あるいは予知、気候変動、メタンハイドレートなどエネルギー資源開発、さらにはレアメタルやレアアースなどの資源発掘、さらには豊富な魚、貝、海藻など安全な食料供給等も含めて、こうした大きな役割を担う海洋研究開発、これは、資源小国と言われる日本にとって最も重要な分野であると考えています。
 島国の利点を最大限に生かした、海洋国家としての海洋政策を積極的に推進していく必要があると考えています。
 そのためには何よりも人材の育成確保であり、技術の開発が重要だと思われます。海洋に関すること、海底の地質に関すること、陸上にも増して多岐にわたる人材が必要であろうかと思います。
 視察の際に、海洋工学に関する学部が大変少なく、人材不足であるというふうに伺ってまいりました。このような海洋開発の現状と、そして成果を踏まえて、日本の今後の海洋研究、海洋資源開発に関する可能性、開発推進にかかわる法整備、また予算的な措置、人員のあり方などについて御見解をお伺いできればと思います。


○下村国務大臣

 青木委員御指摘のように、世界第六位の広さを誇る我が国の領海及び排他的経済水域には、メタンハイドレートや海底熱水鉱床などさまざまな資源の存在が確認をされております。また、洋上風力発電など再生可能エネルギーの開発も期待されており、これらを最大限に活用していくことは国家的課題であると考えます。
 このため、我が国は、地球深部探査船「ちきゅう」などの世界最先端の海洋研究開発基盤を駆使し、海洋の持つポテンシャルの把握や利用技術の開発に努めてきているところでもございます。
 最近では、南鳥島周辺で通常鉱山の十倍の濃度のレアアースを含む泥の存在を確認したほか、関係機関と協力して、メタンハイドレートの海洋産出試験を実施するなどの成果が上がってきているところでもございます。
 今後とも、大いなる可能性を秘めるフロンティアである海洋分野の研究開発を進めることによりまして、その成果を社会につなげていき、官民を挙げて、海洋立国の実現を目指していきたいと考えております。



○青木愛

 ありがとうございます。下村大臣の海洋における開発に向けての意気込みを伺えて、まず大変よかったなというふうに思います。
 まだまだ探査もほんの一部しか行われておりませんので、どれだけの可能性があるのかというふうに本当に夢が膨らむわけでございます。ぜひ、引き続きの積極的なお取り組みをお願い申し上げておきたいと存じます。
 今、大臣からも、海洋の風力のお話がございました。続いての質問はそちらとも関する質問でありますけれども、これはいろいろな先生方が恐らく視察にも伺っていらっしゃると思いますし、政党によっても取り上げている課題でありますけれども、洋上浮き島式メガフロートを使ったエネルギーファームの開発、これは九州大学が行っている研究でありますけれども、今、世界的にエネルギー問題、CO2 削減を背景に再生可能エネルギーの開発に注目が集まる中、原子力発電の安全性の認識、今後の展開が抜本的に見直されつつある現在におきまして、この再生可能エネルギーの有効活用に真剣に取り組むべきときが来ているということであります。
 九州大学では、新型の高出力レンズ風車を含む新エネルギー開発に取り組んでおられるとのことです。この取り組みは、日本の広範な海域を利用した、浮体式の複合発電ファームの実現を視野に入れています。
 洋上に設置した浮体、メガフロートに、風力、太陽光、そして潮力、波力、アンカーケーブルに働く張力といったエネルギー源を利用した複合的な発電システムを備えたファームでございます。
 国家が打ち出す大型の浮体洋上風力に比べて数メガワットタイプで中規模でありますが、日本の沿岸、漁港の近くに多数普及することを期待するものであります。
 ところが、浮体洋上風力の技術だけでは事業性が成立をいたしません。ですので、養殖業と合体をさせて、漁業組合が運営の主体ともなって事業を展開することが考えられます。コスト的にも、漁業権の問題、環境アセスの問題も解消しますし、今少子化でなかなか後継ぎもいない、また、所得も減収をしている漁業といたしましても、先進的な漁業の形態のアイデアの提供ということからも、九州大学が今頑張ってこの提案をしているわけであります。
 沿岸ばかりではなくて、少し外洋に出ますと、魚も締まって、大変生きがよいということであります。発電も、風が出て効率がよくなるということでございます。台風が来れば、メガフロートでありますので、移動して避難もできる。
 このような海上の沖で行われる太陽光や風力発電は、陸まで電線を引くのではなくて、海水を電気分解してまず水素をつくり、その水素を陸に運んでから燃料電池などで発電するという構想だそうです。将来は、ガソリンスタンドは当然ですが、コンビニでも電気を購入できる時代が来るのではないかと、この研究をなさっている大屋教授がおっしゃっておられました。
 関係する研究者の方々は背水の陣で開発に臨むことを決意されています。政府では、国家戦略特区構想を検討されています。また、JSTという科学技術振興機構と文科省関係の産学共同実用化開発事業というものにもチャレンジをされているそうであります。このメガフロート、浮き島式洋上発電設備についての見通しと御見解をお聞かせいただければと思います。


○木村政府参考人

 お答えいたします。
 御指摘のとおり、海の活用の観点からは、再生可能エネルギーにむしろポテンシャルがあるのではないかというふうに考えてございます。
 我が国では、今後三年間で最大限、再生可能エネルギーの普及を加速するということにしてございますが、この中で、特に洋上での、まずは風力発電に私どもとしては注目をしておるところでございます。
 洋上風力の導入は、陸上風力に比べまして、立地制約から解放される、あるいは、風況のよいところを選んで立地できますので、発電効率が高まるといったメリットがあると考えてございます。
 経済産業省といたしましては、まずは福島県沖で、現在、これはメガフロートではございませんけれども、浮体式の洋上風力について実証事業を行っておりまして、本事業は、本格的な事業化を目指した世界初となる取り組みでございます。日本の浮体構造物、風車、鋼材、あるいは電線やケーブルといった、その一線級のメーカーが結集した世界最先端の技術開発、実証を進めておるということでございます。
 御指摘のような複合ファームにつきましても今後視野に入れながら、いずれにいたしましても、海洋エネルギーについてしっかり目配りをしていきたいと考えておりますし、それから、御指摘いただきました水素をそのまま用いた再生可能エネルギーの貯蔵といいますか、そういったものについても大きな可能性があると考えてございまして、私どもとしては、そういった面にも目配りをしていきたいと考えてございます。



○青木愛

 ぜひ積極的なお取り組みを私からもお願いさせていただきたいと存じます。
 続きまして、若い世代の研究者への支援という視点から御質問させていただきます。
 ユーグレナを御存じかと思います。ミドリムシのことでございますが、ことしの八月、このユーグレナを社名に持つ会社の研究室をお訪ねいたしました。東京大学の敷地の中に研究室がございました。まず驚きましたのは、このユーグレナ社を共同で立ち上げた研究開発者の鈴木さん、またその取り巻くスタッフの方々の若さでございました。
 日本におけるユーグレナの研究は、これは藻の一種でありますけれども、一九七〇年代から活発に行われてきたそうで、一九九〇年代には環境技術としての研究が主だったようです。具体的には、火力発電所等から排出される二酸化炭素をユーグレナの培養槽の中を通して光合成させることで二酸化炭素を削減させて、培養槽で成長したユーグレナを食料としても利用することを検討していたというふうに伺いました。
 ユーグレナは、食品として含有する栄養素の種類が多く栄養価が高いことから、消化吸収を妨げる細胞壁もないので、消化率も高いと伺っています。その特徴を生かしたお菓子や健康食品も製品化をされているということで、ミドリムシクッキーもいただいてまいりました。
 また、培養方法次第では、ジェット燃料への加工が可能なワックスエステルという脂質を多く含有させることができるそうで、ミドリムシでジェット機が飛ぶ時代が来るかもしれないという夢も語っておられました。つくり出すエネルギーの視点ということからも大変可能性が広がるのではないかというふうに思います。
 この研究のように、大学連携の強みは、イニシャルコストが軽微で済むこと、また、不足する経営資源については、東大とは藻類の脂質成分の研究、近畿大とは藻類の遺伝子の研究、さらに大阪府立大とは食品、化粧品の機能性の共同研究を進めることができたそうです。今後は、環境やエネルギー分野の共同研究で大企業とのパートナーシップを強めていくということで、この日も大手企業との研究の進捗状況の話し合いの場が持たれていました。
 こういった一例を御紹介しますのも、教育そして研究は、途方もない道のりを経て、努力が報われるのはほんの一部かもしれませんけれども、こうした研究、特にこういう若い方々の可能性について、国を挙げて支援する体制も必要なのではないかというふうに思ったからであります。
 このような若い研究者、起業家に向けての支援体制の構築について、またユーグレナの研究者の方々について、もし具体的に御存じであれば、今後の文科省としての御見解についてもお伺いできればと思います。


○田中政府参考人

 ただいま先生御指摘のユーグレナ、ミドリムシでございます。
 葉緑体を持ちながら動き回るという、大変ユニークだろうと思いますけれども、それにつきましては、まさに夢のある技術というふうに考えてございます。
 生物機能ということを工業製品の生産に活用できるのではないだろうかというようなことから、その重要性は認識してございますけれども、一部商品化をされているというところもございますけれども、全体としては、まだ少し基礎的な段階の研究等々を積み重ねる必要があるのではないだろうかというふうに考えているところでございます。
 このため、文部科学省といたしましては、科学技術振興機構の研究支援制度、具体的には、戦略的創造研究推進事業、その中の先端的低炭素化技術開発、これはALCAというふうに言っておりますけれども、あるいは新技術創出、これはCRESTというふうに言っておりますけれども、こういうような制度を通しまして、ミドリムシの生物的機能を利用した研究開発ということを官民挙げてできるようなということで、支援を申し上げているところでございます。
 文部科学省といたしましては、大学を中心としてこういう基礎研究がどんどん進んで、基礎研究を進みながら、あるいは人材の育成に貢献がされるということを注視していきたいというふうに考えているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 時間がありませんが、最後に一点だけお伺いをさせていただきます。iPSについてでございます。
 これは科技特の方でやはり京都大学に視察に伺いまして、山中伸弥先生から御講義をいただきました。その中で、再生医療用のiPS細胞のストックがこれからの課題であるというお話がございました。患者御本人からiPS細胞をつくれば拒否反応を回避できるのですが、そのためにはお金と時間がかかります。一人一人あらかじめストックできればベストではありますが、ドナー一人当たり五千万から一億円、これはアメリカの試算でございますが、費用がかかるとのことでございました。
 そこで、iPS細胞のストックが必要となります。拒絶を減らすには、HLAという細胞の血液型でございますが、の一致が重要であるとのことでした。HLAは血液型とは違って何万ものタイプがあり、親子でもきょうだいでも違うんだそうです。ただ、まれに何百人に一人の割合で、父母、父、母それぞれから同じ型のHLAを受け継ぐ場合があり、その方はHLAホモドナーと呼ばれ、このホモドナーが百四十名いれば日本人の九〇%をカバーするiPS細胞のストックができるとのことでございました。ただし、そのためには約二十万人のHLAを調べる必要があり、一人調べるのに約三万円、二十万人で六十億円必要になるとの試算を提示されていました。これを高いと見るか必要と考えるかでございますが、現在は日赤や骨髄バンクなどとそのストックの協力が進められているということでございました。
 概算要求を拝見しますとiPS細胞のストックの構築というふうに明記をされておりますので、前向きに進んでいるのかなというふうには思いますけれども、このiPS細胞ストックの必要性、また、今後についてお聞かせをいただければと思います。


○下村国務大臣

 iPS細胞に関しては、いち早い再生医療への実用化が期待されているところでございます。安全性の高い再生医療用iPS細胞の製造には非常に高い技術やコストを要するため、研究機関ごとに作成するのではなくて、中核となる機関が集中的に樹立、ストックした上で、iPS細胞を用いた再生医療の臨床応用を実施する大学、研究機関に提供する体制を構築することが必要であるというふうに認識しております。
 このため、京都大学iPS細胞研究所におきまして、再生医療用iPS細胞の樹立、ストックに向けた取り組みを進めており、文科省としては積極的にこれを支援しております。
 今後とも、iPS細胞を用いた再生医療がいち早く患者のもとに届けられるよう、関係府省とも連携して取り組んでまいります。


○青木愛

ありがとうございました。
ぜひ下村大臣におかれましても、この科学技術研究開発の分野におきましても御尽力いただきますようお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。