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  | HOME | >活動記録>>発言録2014年2月4日 衆議院文部科学委員会


平成25年度補正予算案に関わる法案審議
    

○青木愛

 生活の党の青木愛でございます。ことしもどうぞよろしくお願いいたします。
 早速質問に入らせていただきます。
 平成二十五年度一般会計補正予算におきまして五百五十億を基金として科学技術振興機構に設けまして、いわば官邸主導で、総合科学技術会議の司令塔のもと、実現すれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出を目指し、ハイリスクだけれどもハイインパクトな革新的研究開発促進プログラム、ImPACTを実施するということでございます。
 そして、取り組むテーマは、我が国の産業競争力を飛躍的に高めるものであり、我が国の深刻な社会的課題を克服するものという二つの観点から、革新的進歩、新たな価値、新たな市場の創出につながるもの、国民の理解、応援を得られるものを設定するという方針が立てられていると認識をいたしております。
 産業力を飛躍的に高めるものであり、特に、この深刻な社会的課題を克服するテーマというものはどういうものを想定されているのか。例えば、原発の中であったり瓦れきの下であったり、捜索するような何かそういう技術であったり、あるいは、高齢社会における介護、医療現場の何か新しい技術であったり、そういうものを想像するのでございますが、どういうテーマを想定されているのか。これから設定されることはわかっておりますけれども、ある程度具体的に教えていただければと思います。


○倉持政府参考人

 御説明申し上げます。
 繰り返しになりますが、ImPACTで実施される研究開発プログラムというのは、総合科学技術会議で設定したテーマのもとにプログラム・マネージャーがみずから構想して提案していただくというものでございまして、あらかじめ具体的な対象を決めているわけではございません。
 先ほど、次の総合科学技術会議で御議論いただきたい、大くくり化したテーマについて御議論いただきますけれども、そういったものを参考に、プログラム・マネージャーがみずから構想するプログラムの提案をお待ちするというものでございます。
 ただ、これまでのいろいろな制度設計の中で、これはあくまでも例えばでございますけれども、これは、去年の十一月に総合科学技術会議で検討の状況を報告したときにプログラムの例として紹介させていただいたもので、例えばでございますけれども、極限の環境下における高度で知的な行動力を実現するということで、例えば、生物機能を応用した瓦れき内の探索ロボットであるとか、高度に自律化した無人航空機による自動捜索システム等々が想定もされます。
 ただし、これはあくまでも我々が関係省庁等と議論しながら想定したものでございまして、具体的には、プログラム・マネージャーの方が提案していただくその構想をお待ちしている、こういう状況にございます。



○青木愛

 年度明けからスタートをするということでありますので、そうそう時間が残されているわけでもないとは思うんですけれども、五百五十億と経費の方は設定されているわけでありますので、この設定した根拠を教えていただけますでしょうか。


○倉持政府参考人

 これも、ImPACTにつきまして具体的には、公募する際にプログラム・マネージャーが提案されるプログラムを厳正に審査して実施する内容が決定されるため、あらかじめ個別に所要額を積算しているということではございません。
 ただ、制度設計に当たりましては、このImPACTの前身となる最先端研究開発支援プログラム、FIRSTを参考に、五年間で一人のプログラム・マネージャー当たり約五十億円、すなわち、全体で十人程度のプログラム・マネージャーの規模というものを想定して、予算を計上させていただいているものでございます。



○青木愛

 前回の最先端研究開発プログラム、FIRSTは、二十一年度のやはり補正で組まれまして、五年間で一千億円の基金を日本学術振興会に設立をして、現在も研究が進行中であります。この前回のFIRSTの成果と課題について御質問をいたします。


○倉持政府参考人

 最先端研究開発支援プログラム、FIRSTの成果でございます。
 FIRSTの各研究課題、三十課題ございますけれども、それぞれの研究目標の達成に向け、進捗している状況にございます。
 私ども総合科学技術会議では、平成二十四年度に中間評価を行っております三十課題のうち多くの研究課題が、まさに世界の最先端をリードする研究開発成果を上げているというふうに評価されています。
 例えばでございますけれども、平成二十四年にノーベル生理学・医学賞を受賞された京都大学の山中伸弥先生は、より安全で高効率なiPS細胞を世界に先駆けて開発するとともに、得られた細胞の評価系、これをFIRSTで構築されております。
東京大学の片岡一則先生は、高分子を化学的にコントロールしたウイルスサイズのナノカプセルによる革新的な治療法を開発し、今、副作用の少ないがん治療薬の臨床試験を実施する段階まで来ています。
 それと、東京大学の荒川泰彦先生は、光と電子を融合させた高速で小型かつ低消費電力な集積回路の開発を進めておられまして、世界最高性能を達成する、こういった成果が得られているところでございます。
 一方、中間評価におきましてFIRSTの各プロジェクトは、これは、基礎研究から実用化までさまざまなフェーズのものに取り組んでいるわけでございますけれども、創出した成果をまさに次のステージに円滑に展開、発展していくことが、今後の我が国の科学技術の向上、産業化の促進の観点から極めて重要であるということが中間評価において指摘されているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 今のFIRSTの成果の部分を捉えて、今後そのFIRSTの継続性についてお伺いをしたいのですが、来年度に予算が切れるわけですけれども、FIRSTの予算で得た成果や人材をさらに活用、育成するシステムの構築について国として取り組む必要があろうかと思いますけれども、何か行われている検討はありますでしょうか。


○倉持政府参考人

 委員御指摘のとおり、FIRSTの研究資金である先端研究助成基金、今年度で終了になるわけでございます。
 このFIRSTの制度の趣旨に沿って創出されたすぐれた研究成果、研究資源につきましては、先ほども申しましたけれども、有効かつ円滑に次の段階の研究開発につなげていくことが重要だと認識しております。
 このFIRSTが終わりますと、三十課題、いろいろございますけれども、例えば、共同研究をしている企業と研究を継続して実用化を進めようと考えておられるもの、あるいは、ベンチャー企業を立ち上げて成果の実用化を目指すもの、あるいは基礎研究の分野では、新たな知の創造に向け基礎研究を継続するもの、この研究課題の内容に応じさまざまな方向性がございます。各研究課題の内容や進捗に応じた対応が必要であるというふうに認識しているところでございます。
 私どもといたしましては、FIRSTの研究成果を実用化、産業化につなげるために、関係省庁等への研究成果の情報の提供、例えばですけれども、FIRSTの研究成果の概要と今後の道筋につきまして、各関係省庁であるとか産業革新機構等に情報提供をさせていただいております。
あるいは、産業界への研究成果の広報活動、FIRSTの研究成果ビジネスマッチングシンポジウムなどを開催させていただきまして、その研究成果をお知らせすることに努めております。
 あるいは、各研究課題側に対して関係省庁の広報事業等に関する情報提供を行う等によりまして、関係省庁とも連携して、次のフェーズに円滑につながるよう努力をしているところでございます。



○青木愛

 ぜひ、予算が切れておしまいではなくて、次へつなげる御努力をお願いを申し上げておきたいと存じます。
 そして、このFIRSTでは、研究者を募集して、研究者の自由な発想に基づく仕組みでした。このたびのImPACTでは、米国の国防高等研究計画局、DARPAの仕組みを参考にして、プログラム・マネージャーの選任を特徴としていると伺っています。
 これからの研究開発は、社会還元できるもの、社会の課題解決につながるもの、国民の理解が得られるものという方向性が示されています。この研究成果と市場、研究成果と社会、研究成果と国民生活、これをどうつないでいくか、これがこのImPACTの最大の使命なのではないかと捉えています。
 そういう意味から、このプログラム・マネージャーの果たす役割、そしてその処遇についてお伺いをしたいのと、あわせて、このImPACTの成果をどのように実用化をし産業化をして世の中に役立てていくのか、その具体的な方策についてお伺いをいたします。


○川上政府参考人

 このプログラム・マネージャーでございますが、科学技術振興機構に所属をさせ、そのプログラム・マネージャーの能力に合った処遇を考えていきたいというふうに考えてございます。
 そして、そのプログラム・マネージャーが全責任を負って、裁量権を持って本プロジェクトを進めていくわけでございますけれども、得られた成果につきましては、先ほどからるる御説明を申し上げていますように、破壊的なイノベーションを起こすものであるということを目指すわけでございますので、すぐれた成果については、きっちりと、社会へ、産業へ、国民へというふうに返さなければいけないというふうに考えてございます。
 科学技術振興機構に基金を預け、そこでPMをサポートするということをしましたのも、科学技術振興機構がすぐれた技術シーズを企業家まで持っていく豊かな経験と実績を有しているということであるわけでございまして、この力を最大限活用していくことが必要であると考えてございますが、これに加えまして、今回は、政府を挙げてこの問題に取り組むわけでございますので、総合科学技術会議とも連携をいたしまして関係省庁等にも働きかけをいたしまして、実用化、産業化について、具体的な方策についてさらに検討してまいりたいというふうに考えてございます。



○青木愛

 ぜひよろしくお願いします。その辺がFIRSTの課題として残された部分であり、ImPACTの最大の課題であるというふうに考えています。
 実は、昨年の科技特の視察で、このFIRSTに参加をされた筑波大学山海先生の介護用装着型ロボットHALを視察いたしまして、その実践と説明を受けました。筋肉を動かそうとするときに脳が発生する微弱な電気信号を読み取って、装着者の身体機能を改善、補助するロボットということで、どうしてそんなことが可能なのかと、ただただ感心をしながら見ておりました。ところが、その際の山海先生のお話では、日本では薬事法の壁が高く、実用化が難しいということをおっしゃっていました。
 一方、ドイツでは既に現場で使用されており、スイスやオーストリアなど欧州では、医療機器として認められて、普及体制ができています。
日本で生まれた技術でありながら、日本では実用化がおくれ、ヨーロッパに先行されておりました。FIRSTの成果が社会に生かされていないのはなぜか、誰もが疑問に思うところでございました。
 昨年の百八十五回臨時国会で薬事法の改正が行われましたけれども、この介護用ロボットHALの実用化のおくれに象徴される国内的課題についてお伺いをさせていただきます。


○小渕委員長

時間が来ておりますので短目にお願いします。


○倉持政府参考人

 委員御指摘のとおり、筑波大学の山海先生、ロボットスーツHALで国際臨床試験を進められておられます。
 また、国内においても、昨年三月から神経難病患者に対する臨床試験が行われているところでございますけれども、その際、先生の御指摘は、諸外国と比較すると臨床試験の計画書の作成にとても時間を要する、あるいは保険適用に時間を要するなどの課題があるというふうにおっしゃっておりまして、我々もその問題を認識しているところでございます。



○青木愛

 時間でございますので。この法案審査において各委員から先ほど来主張もされておられるように、なぜ補正でやらなければならないのか、また、当初予算でスタートをさせないのか、その根本的な問題は、再びこの概算要求基準による縦割り行政の弊害があらわれている結果だと考えております。
 ここについては、今後やはり下村大臣のお力を発揮していただくことの御要請を申し上げなければならないと思いますが、下村大臣の、このImPACTも含め、今後の科学技術振興に向けての御決意をお聞かせいただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。


○小渕委員長

一言でお願いいたします。


○下村国務大臣

今の青木委員の意見を私もしんしゃくして対応したいと思います。



○青木愛

よろしくお願いします。ありがとうございます。