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  | HOME | >活動記録>>発言録2014年2月25日 衆議院予算委員会


中央公聴会 公述人質疑(午前)
    
公述人の方々は以下の通りです
増田寛也 (株式会社野村総合研究所顧問 東京大学公共政策大学院客員教授)       神津里季生 (日本労働組合総連合会事務局長)
藤田実 (桜美林大学リベラルアーツ学群教授)       山下一仁 ( 一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)


○青木愛

 よろしくお願いします。
 公述人の皆様それぞれ、地方の視点を大変大切にされた貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 まずお伺いをいたしますが、安倍総理は、これは国際公約になっておりますけれども、日本は女性に輝く機会を与える場でなくてはならないということで、二〇二〇年までに指導的地位にいる人の三割を女性にしますということをおっしゃっています。女性の労働参加者率が男性並みになったら、日本のGDPは一六%伸びるとヒラリー・クリントンさんがお話しになっているという御紹介を安倍総理がされていました。
 先ほど来から御意見をいただいておりますように、しかしながら、日本の都市部は、やはり待機児童の問題で、安心して子育てと仕事ができる状況にはないということでございます。増田さんからも御指摘がございましたが、出生率は東京では一・〇九という大変な状況でございます。
 そして、地方は地方で、自治体は何とか女性をつなぎとめなければならないという意識とともに、女性は女性で、何らかの理由で地方を離れられないという事情を持っている女性もいらっしゃるわけです。一方で、女性が地方にいながらキャリアアップができる、そうした仕組みをつくることも大切ではないかというふうに考えます。これは決して、所得を上げるということだけではなくて、御自身の地位向上という部分もありまして、ぜひ、地方にいながら女性がキャリアアップできる、そうした仕組みをつくっていただきたいと願っているところでございます。
 まだまだ、こうした環境整備も、そして意識改革も追いついていない状況だというふうに思うんですが、これで国際公約が何とか果たせるのかどうなのか、その辺のところと、今後の取り組みに対する何か御示唆がございましたら、お願いいたしたいと思います。公述人皆さんにお伺いをさせていただきます。


○増田公述人

 お答え申し上げます。まず私の方から申し上げますが、やはり、女性の皆さん方が生きがいを感じ、そしてきちんと社会で重要な役割を果たしていくというのは大変大事なことであります。そのためには、私は知事をしばらくやっておりまして、率直に申し上げますが、まだまだ私自身も力足らず、不十分なところがございましたが、女性の皆さん方というより、むしろ男性の視点というか意識というか、男性のいろいろな事柄、物の見方を根底からやはり変えていかないと、この問題の解決につながらない。
 そして、やはり、例えば、地方の場合に、いろいろな会合に地域の女性が出ていくことだけでも、家をあけるということだけでも実は大変大きな、大変なことであって、そこに大きなバリアがあるということを多くの女性の皆さん方、意欲のある女性の皆さん方から聞いたことがございます。同じようなことは、都市部においてもさまざまな面であるというふうに思っております。
 この問題の解決のためには、特に地方部においては、女性の皆さん方が働きやすい環境づくり、それから子育て環境等々、さまざまなことを解決しなければいけないわけで、国が三〇%、三割という大変高い目標、たしか現状は三%かそのぐらいじゃないかと思うので、大変高い目標でありますが、そういうメッセージを出すことは大変私はプラスに評価をしておりますが、それに続く政策、これはお金もかかるでしょうし、それから、具体的な政策を、子育てとかそういう部分だけじゃなくて、全体として、社会全体として盛り上げるための意識改革などにぜひつなげていただきたい。
 地方もまだまだそういう意味で努力が足りないところが多々ありますし、大きなメッセージを出していただいたことについては、私は大変高く評価をしているところであります。


○神津公述人

 二つの観点で申し上げておきたいと思います。一つは、先ほど来るる申し述べたとおりでありますけれども、やはり若者、子育て世代、そこのところの働き方、これは実際に現場の声を聞くと、とてもじゃないけれども、将来を展望して、安心した形で結婚ができて子供をつくるというようなことができない、こういうことでありますから、まずそこのところの前提をどうやって反転させるのかということに意を砕くことがなければ、とてもとても男女共同参画社会ということは展望できないなというふうに思います。私どもとして、男女共同参画ということについて、一つの部局を持って力を入れております。
 もう一つの観点は、そこが中心となって、これまでもそれぞれその政策の関係の政府、各政党にも要請をしてきておるわけですけれども、今国会において、パート法について改正案の取り扱いが予定をされているというふうにお聞きをします。
 三月の十二日に、私ども、春季交渉の中で、主要な製造業のところ、大どころが回答をすると思います。世の中、春闘は、高度成長期、成長期においてはそこでやれやれという感じであったかと思いますが、肝心なのはそこからでありますから、ぜひ、国会においても、そういった、本当の意味で男女の賃金格差の是正に非常に大きい意味を持つパート法の早期の成立に意を砕いていただきたいなというふうに思います。


○藤田公述人

 私も、基本的に、やはり女性が生き生きとして働ける社会をつくることが日本経済の将来を左右する問題じゃないかと思っております。
 ただ、そのために、幾つか私が考えることは、やはり女性も働きやすい職場をどうつくっていくかということが必要なんじゃないか。
 といいますのは、先日、私のゼミの、同じ会社に行っている卒業生が数人集まりまして、先生、久しぶりに飲み会をやりましょうとやったときに、女性の教え子も来たわけだけれども、結婚していて子育てしながら働いていると言っていたけれども、ともかく大変だと。
 神奈川なんですけれども、認可の保育所に入れられないから無認可のところに入れていると、給与の半分近くが飛んじゃうんだ、それでいて、なおかつ、子育てがあるから早目に帰らざるを得ない、夫は自動車部品メーカーに勤めているので非常に帰りが遅い、したがって自分がやらざるを得ない、そうすると評価が低くなってくるというようなことを訴えていまして、だから、こういう社会は、先生、おかしいよねというふうに言われた。
 そのとおりだというふうに思ったんですね。だから、そういう意味で、やはり企業の働かせ方の問題も僕は非常にあるんじゃないかというふうに思っておりまして、女性が生き生きとして働けるような働かせ方をどうつくるか。そのためには賃金格差も、男女賃金格差は日本の場合非常に多いわけですから、そういう観点からいうと、日本では依然として均等待遇という原則がないわけですよね。基本的には均衡待遇ですよね、いろいろなところで決まるのは。
 そういう意味では、やはり均等待遇原則をいかにつくるかということが僕は必要なんだというふうにも思っております。政治でやれることというのは、そういう環境をどうつくっていくかということだと思いますので、ぜひ御努力いただきたいというふうに思っております。以上です。


○山下公述人

 通商交渉なんかをやると、今回も、テレビで、フロマン通商代表の横は女性が二人いて、日本側は、通訳の人だけが女性で、あとは全部男だということで、やはりおかしな関係だというふうに思います。
 農業についても、実際やっているのは女性が多いわけですね。ところが、農協の役員とかそういうことになると、必ず男性になってしまう。
 そういう現象面をとっておかしいというのはあるんですけれども、やはり、どうしたらそういうことができるのかということを、方策を考える必要があるんだと思います。
 実は、昨日までアメリカに、ワシントンにいたんですけれども、有名な某シンクタンクの日本部長と夜、二人で食事をしながら、二時間、三時間ぐらい、TPPとかいろいろなことで議論していたんですけれども、彼女に言わせると、いや、これからうちに帰りますと。だけれども、もう夜の九時か十時ぐらいなんですね。子供は、十五歳と十二歳、二人の子供がいるということなので、そういうふうな人たちが生活できるような環境がやはりアメリカにはあるんだと思うんですね。
 そういうふうな環境をやはり日本でも取り入れる必要がある、アメリカに学ぶことはまだ随分あるのではないかなというふうに私は思います。



○青木愛

 公述人の皆様方には、本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 我が党といたしましても、国会でしっかりと取り組んでまいりますので、今後とも御指導のほどよろしくお願いします。
 ありがとうございました。