▲TOPへ戻る

  | HOME | >活動記録>>発言録2014年3月25日 衆議院消費者問題に関する特別委員会


大臣所信に対する質疑
    

○青木愛

 生活の党の青木でございます。
 本日は、森大臣の所信に対する質疑ということで、どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず、消費税増税に当たりましての消費者庁としての体制についてお伺いをさせていただきます。
消費税増税に当たりまして、生活の党といたしますと、これまで消費税増税には反対をしてまいりました。残念ながら、そのときが迫っているというところでございます。
 昨年の十月に施行されました消費税転嫁対策特別措置法、これは主に、大規模小売事業者等による消費税の転嫁拒否の行為から中小企業を保護するためのものでございました。税抜き価格の表示が認められるなど、事業者にとってはプラスの面もありますけれども、消費者の立場からすると、誤解を招きやすい表示が可能となるかと思います。
 税抜き表示の誤認防止措置について、消費者の目線に立って、わかりやすい表示となりますように、財務省を初めとする関係省庁において、事業者への指導、監視の徹底をまずお願い申し上げておきたいと思います。
 また、消費税増税の折に懸念されることといたしまして、便乗値上げ、また、景表法上の不当表示の問題もございます。例えば、増税後、内容量を減らしたにもかかわらず、価格は据え置きと表示するような場合ですとか、二重価格表示といったことも考えられるわけでございます。
 こうした不当表示の問題は今に始まったことではありませんけれども、特にこの四月の消費税増税の折には、価格の不当表示が多発する可能性も考えられます。
 そこで、お伺いをさせていただきますけれども、景表法を所管する消費者庁といたしまして、特に四月以降、消費税増税に関する不当表示について、全国でどのように監視を行っていくのか。また、この件に従事する消費者庁の職員は何名ぐらいの方が当たられるのか。それは通常よりも増員されているのか。されているとすれば、その体制はいつまで続ける予定なのか。そうした具体的なことについて、まず森大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。


○山崎政府参考人

 お答え申し上げます。御指摘の消費税の引き上げに関しましての消費者庁の体制等でございます。
 御指摘のように、便乗値上げの防止、さらには公共料金の適正な転嫁の確保、さらに消費税の転嫁を阻害する表示の是正、そして表示の適正化といった問題について、消費者庁としてしっかり対応が必要だと。
 そのための体制でございますが、消費者庁自体、小さな役所でございますが、その中で、現在の生活情報課、さらには表示対策課の課員、この人たちに加えまして、本年度からは、この消費税関係で四名の定員のプラスを確保してございます。
 さらに、来年度、消費税の転嫁の阻害に関します特別措置の事務ということで、六名をさらに確保していくことを考えている次第でございます。
加えまして、消費者庁以外の全体にわたる、特に地域、地方における監視体制ということもございます。
 その点で申し上げますと、これは予算の事業でございますが、例えば物価全般にわたります物価モニター、これは四千名の方にお願いをしようということでございますが、この物価モニターに関します予算でありますとか、さらに、今年度からは、一般の消費者の方に消費税転嫁阻害表示調査員をお願いしまして、転嫁阻害の表示を監視していくシステム等を検討しているところでございます。
 また、景品表示法全般にわたりまして、今回法案を出させていただいてございますが、地方自治体におけます体制、さらには事業所管大臣との連携をとって、こういった監視体制についてもしっかりしたものを検討してまいりたい、このように考えている次第でございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 今の御答弁を伺って、職員の方が四名、あるいは六名という一桁の数字が出てきましたので、率直に大変驚いております。
 経済活動が失速するかどうかの瀬戸際かと思いますので、これは消費者の立場に立った体制づくりが本当に早急に行われないとまずいだろうなというのを、今の御答弁を伺って率直に考えたところでございます。
 そうした中において、景表法等の改正案に絡んでお伺いをするわけですけれども、今国会に提出をされました景表法等改正案では、政令によって、都道府県知事に措置命令等の権限が委任される予定と伺っています。
 しかし、現行法の中でも可能な指示についても活用している件数も大変少なく、また積極的に取り組んでいる自治体も限られているのが現状でございます。
 これは、やはり専任職員の不足、ノウハウが十分ではないといった課題も挙げられるわけでございますが、そもそも、この不当表示の是正ということが、地方だけではなく、国においても軽視されているのではないかというふうに思われます。
 この景表法等改正案では、他省庁にも権限を委任できる旨の改正がありますが、消費者庁職員の少なさを補うための苦肉の策と存じます。本来業務ではないものに各省庁がどれだけ力が割けるのか、その実効性に疑問が残るところでございます。
 そこで、私は、この不当表示の是正につきまして、やはり適格消費者団体に期待するものでございます。
 この件に関しては今はまだ実績は少ないですが、不当表示問題という大変グレーゾーンを含んだこういう大きな問題に対して、やはり専門性の高い適格消費者団体であれば有効に機能するのではないかというふうに考えるものでございます。ただし、そのためには、より大きく、これから適格消費者団体がさらに国民から信頼されるようにしていかなければならないと考えるところでございます。
 景表法につきましては、適格消費者団体からは、景表法第四条第二項に準じました立証責任転換の規定や、不当表示が存在すると思料する場合に、その不当表示の存在を消費者庁または都道府県に対して申告をした場合、消費者庁または都道府県、行政は、一定期間内にこれに対する評価そして対応を回答しなければならないという、いわゆるスーパーコンプレイン制度の創設を求める御要望がございました。財政支援とともに、こうした制度面での支援が必要かというふうに考えます。
 景表法等改正案の立案に当たりまして、こうした適格消費者団体への支援ですね。国の、消費者庁のなかなか手足も少ないという中で、この適格消費者団体への支援についてどのように検討をされているか、ここはぜひ森大臣に御所見をお伺いさせていただきたいと思います。


○森国務大臣

 まず、適格消費者団体に対する御質問でございますけれども、景品表示法第四条第二項の規定は立証責任転換の規定ではございますけれども、これは、法的効果を伴う行政処分を行うということを前提として、合理的根拠を有していないことのみをもって違反とみなすという行政行為でありまして、そのような行政行為を行う機関ではない適格消費者団体に対して付することというのはなかなか難しいのではないかというふうに今考えられます。
 事業者は、当該表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料をあらかじめ有した上で表示を行うべきという判決がございますけれども、それを前提とすれば、適格消費者団体による差しとめ請求の場面において、事実上、事業者は合理的根拠の手続を負っているとも言えることから、さらに進んでこのような適格消費者団体の立証責任を軽減する制度を導入する必要があるかといった問題点があろうかというふうに思います。
また、スーパーコンプレイン制度についても御質問がございました。これについては、情報提供者のみ開示とする場合の理論的根拠をどうするのかという問題でありますとか、情報提供者以外にも開示する場合には、風評被害等が懸念されるといった問題もございます。また、執行力を阻害するおそれがあるという実務上の問題点もございます。他の消費者保護法との法制上の整理といった課題もございまして、この点をさまざま検討していく必要があるというふうに思います。
 委員の方は、適格消費者団体の支援としてスーパーコンプレイン制度を引用されたかのように私は受けとめましたけれども、その点についても、諸外国の制度とはちょっと異なるのではないかというふうに思います。
 なお、現在、適格消費者団体に対する情報面での支援としては、消費者契約法に基づき適格消費者団体から行われた所定の申請に対して、国民生活センター及び地方公共団体からいわゆるPIO―NETを提供しております。
 今回の景表法改正については、さらに、消費生活協力団体等による適格消費者団体に対する情報提供の規定を新設いたしまして、適格消費者団体に対する情報面での制度的支援策を拡充しているところでございます。
 このような制度的支援によって、今後は、適格消費者団体による景品表示法に基づく差しとめ請求がより積極的に活用されることを期待しているところでございます。



○青木愛

 前向きな御答弁とは受け取れませんでしたけれども、適格消費者団体に立証責任転換の規定を預けることは適正ではないというお話でございました。これは、どこがこの役割を担うことになるのでしょうか。


○山崎政府参考人

 お答え申し上げます。
 御指摘は、今の景品表示法第四条第二項の立証責任の転換、この関係だと思います。
 これ自体は、大臣からも申し上げましたように、行政として、まさにその表示に関します合理的な説明といいましょうか、根拠を求める、そういう形になってございます。
 したがって、これ自体は、行政処分というものを前提とした行政庁のいわば行為といいましょうか、その前提という形になってございまして、一つの考え方としまして、適格消費者団体にこれを与えてはどうかという議論がございますが、現行制度の関係でいきますと、やはり行政庁という形のものという形で今整理されている、こういう趣旨でございます。



○青木愛

 行政が行うものとすれば、やはり消費者庁あるいは都道府県の地方消費者行政に対する体制をもっとしっかりしませんと、なかなかこれは現実的には対応できないのではないかというふうに考えます。
 適格消費者団体の方からの御意見を伺いますと、やはりなかなか証拠をつかむのに大変時間がかかると。その間に悪質事業者が逃げてしまうということも考えられるわけでありまして、より専門性の高い適格消費者団体をぜひ役立たせる形にして、抑止力あるいは実効性の高いものにしていく必要はあるのではないか。
 森大臣も答弁の中で、必要性については今後検討していくという御答弁もございましたので、ぜひ消費者の立場に立って、適格消費者団体への財政支援のみならず、権限が行使できるような形で新たな制度面での支援もぜひお願いをし、また検討を今後していただきたいと思いますが、もう一度御答弁をいただけますでしょうか。


○森国務大臣

 適格消費者団体が現在有しております差しとめ請求権、これがより積極的に活用されて、消費者被害の救済そして抑止に効果が出ますように検討を進めてまいりたいと思います。



○青木愛

 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、地方消費者行政活性化基金についてお伺いをさせていただきます。
 先般の森大臣の所信表明の中で、平成二十六年度予算案におきまして、地方消費者行政活性化基金を当初予算でこれまでよりも増額の三十億円を措置されたということでございました。そして、この基金を活用して、どこに住んでいても質の高い相談と救済を受けられる地域体制を目標に、地方消費者行政強化作戦という計画も打ち立てられております。
 基金を当初予算化して、その実施期間を平成二十九年度まで延長し、最長で三十九年度まで活用できるとしたことについて、地方にとっては経費を計画的に使用できるということでございまして、地方消費者行政の推進に向けた実効性という観点から大変評価をできるところだと思います。ぜひとも来年度も引き続き同様の財政支援を行っていただきまして、消費者行政が脆弱な地域であっても、全ての消費者が質の高い消費生活相談を受けられる体制を強くお願いしたいところであります。今回は当初予算化ができました。今後の計画も立てられましたが、その一方で、地方公共団体からは、将来的にどこまでこの予算確保ができるのか懸念の声もあることも事実でございます。来年からも、ことし同様に財政支援とともに、この基金制度の措置ということについて、今後の森大臣の展望を伺わせていただければと思います。


○川口政府参考人

 お答え申し上げます。地方消費者行政活性化基金でございますけれども、平成二十年度より措置してきたところでございます。交付金を措置し、都道府県に造成された地方消費者行政活性化基金を通じて地方公共団体の取り組みを支援してきたところでございます。
 二十五年度までに合計三百十九億円を措置してきたところでございますが、ただいま御指摘いただきましたように、二十六年度予算において当初予算の大幅な増額を図ったところでございます。
 基金の活用により着実に地方公共団体では成果が出ている一方で、小規模な地方公共団体を中心に、消費生活相談体制の実質的な強化に課題が残っております。また、基金への依存度も高く、地方消費者行政の充実強化は道半ばという状況もございます。
 このため、当面は、基金を通じた政策目標を設定しつつ、地方における取り組みを支援するということで、ただいま御指摘いただきました地方消費者行政強化作戦によりまして、地域の相談体制の底上げを図ると。と同時に、地方公共団体の自主財源化計画を策定することによりまして、将来にわたって地方消費者行政の充実強化に向けた計画的な取り組みを促すこととしているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。この基金については賛否が分かれるところかもしれませんけれども、まずは、この基金が具体的にどのように活用されてきたのかという活用状況を検証することが今後につながるというふうに思いまして、どのように評価をされているか、お伺いをさせていただきます。


○川口政府参考人

 お答え申し上げます。これまで、平成二十一年度から二十三年度までの三年間を地方消費者行政強化のための集中育成・強化期間と位置づけまして、地方消費者行政強化に取り組む地方公共団体を集中的に支援してきたところでございます。その後、基金の取り崩し期間を延長いたしまして、先ほど申し上げましたように、二十五年度までに三百十九億円を措置してきたところでございます。
 具体的な活用状況についてお答え申し上げます。消費生活センターの設置等、あるいは消費生活相談室の増加、増員など、どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくりに向けた取り組みが実施されているところでございます。
 この結果、消費生活センター数の増加、具体的に申し上げますと、平成二十一年四月、五百一カ所であったものが、平成二十五年四月、七百四十五カ所ということで、増加をしているわけでございますが、その他相談窓口の未設置率も大きく低下をいたしております。
 どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくりに向けて、着実な成果を上げているところと承知しております。



○青木愛

 そのような評価を踏まえながら、この基金を活用し、地方消費者行政強化作戦という計画の中で、今後、平成三十九年度まで活用できることとされています。
 しかしながら、これらは当該事業の活用期間が終了をしたものから自主財源化されることとなっています。消費生活相談員の養成、あるいは消費者教育・啓発事業、あるいは消費者相談やあっせん事業など、消費者行政の基幹的な部分について、果たして本当に自主財源でやっていけるのかどうかという懸念が残ります。
 我が党といたしましても、自主財源化というのは地方分権を目指す中で否定をするものではないんですが、やはり、限られた財源の中で、どうしてもこの消費者行政、後回しにされるのではないかという懸念があるわけでございます。
 この基金終了後、その後の財政支援の必要性について、どのように現時点でお考えになっているか、お考えがあればお伺いをしたいと思います。


○川口政府参考人

 お答え申し上げます。当面の期間は、それなりに期間があるわけでございますので、当面につきましては、先ほど申し上げましたような地方消費者行政強化作戦により地域の相談体制の底上げを図るということで、幾つかの数字、目標を立てまして、各都道府県にそれを達成していっていただくということでございます。
 同時に、自主財源化計画を策定することによって、将来にわたって地方消費者行政の充実強化に向けた計画的な取り組みを促すということでございます。
 その後の問題でございますが、将来的な財政支援の必要性などにつきましては、地方公共団体における自主財源化の動向等も踏まえながら検討してまいりたいということでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。最終的にこの自主財源化を目指すということであれば、やはり各自治体の消費者行政に対する意識を高めることが重要と考えます。そして、その自治体に生活する国民一人一人の消費者問題に対する意識、関心を高めることがどうしても必要になってくるだろうというふうに思います。
 これに関連をいたしまして二点ほど質問をさせていただきますが、午前中の質疑でもありましたが、消費者庁が公表いたしました消費者被害額推計値が約六兆円、GDPの一・二%に相当するという公表がございました。この数値は、消費者被害、消費者問題が経済活動に及ぼす影響について看過できない規模であるということを示すものになりました。まずは、この推計値について、国民に広く情報提供することが必要であろうかと思います。消費者庁のホームページあるいは白書だけではなくて、より工夫した形で、わかりやすい情報提供、広報活動をまず求めたいと思います。そのことが一点です。
 そして、もう一点御要望したいのは、地方の現場で、まさに消費者行政の担い手として、消費生活相談、事業者とのあっせん事業を行っている消費生活相談員の活動が、どれほどまでに消費者の被害回復、消費者被害の未然防止に役立っているのか、一方で、その貢献度も数値化をして整理されてはいかがかと存じます。被害回復の貢献度を数値化して示すことで、行政や消費者の意識を変えることによって、それが各自治体による主体的な地方消費者行政の体制整備へとつながっていくのではないかと考えます。そして、そのことが社会全体における消費者被害の抑止力ともなり、経済的損失の取り戻しを図るとともに、地方の経済のそもそもの活性化にもつながるのではないかと考えます。
 この二点について御所見をお伺いさせていただきたいと思います。


○森国務大臣

 委員おっしゃるとおりであると思っておりまして、先ほど、この基金の問題についても、地方自治体のその後の自主財源化というふうに持っていくためには、地方自治体の意識を促して優先順位を上げていただく、そのために、当初予算化を昨年度、今年度とさせていただいて、その中で、先進的な取り組みとしてテーマを限らせていただいて、高齢者の被害等について取り組む場合には、裏負担を軽くして地方自治体のインセンティブをつけたというふうにしているわけでございます。
 そして、御指摘の消費者被害額、こちらの方も、今までこういったものの数値がなかなか出ていなかったという中で、一つの数値をお示しするという意味で、現在これを取りまとめ中でございますが、今回の推計結果は暫定値でございまして、まだこれは最終的な結果ではないということをここで確認をさせていただいた上でお答えをいたしますと、委員御指摘の消費生活相談員の活動による被害の回復というものがどのくらいあるのか、地方で、そういった地方自治体の取り組みによってどの程度の消費者被害の救済がなされていたかということがある一定の数値によって指標をお示しすることができれば、地方自治体の政策の参考にもなりますし、取り組みをさらに積極的に促すということもできると思いますので、これを今後の最終発表に向けて取りまとめをいたしまして、わかりやすい形で国民にお示しをしてまいりたいと思います。



○青木愛

 今、被害額の方の最終的な取りまとめが行われているということでございますが、その被害回復、消費者センター、消費生活相談員の皆さん、あるいは適格消費者団体などなど、これに携わっている皆様方の貢献度をぜひ数値化していただいて、国民の理解を得られるような形にすることが必要だというふうに思います。
 ぜひ、地方消費者行政を根づかせて、国民生活の安全、安心に寄与していただけますように、森大臣を初め国、地方一体となって、今後とも精力的な取り組みをお願いさせていただきまして、質問を終了いたします。ありがとうございました