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  | HOME | >活動記録>>発言録2014年4月17日 衆議院消費者問題に関する特別委員会


景品表示法改正案に関わる参考人質疑
    
参考人の方々は以下の通りです
中山弘子 (新宿区長)    池本誠司(弁護士)    樋口恵子(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長)


○青木愛

 生活の党の青木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、消費生活相談員の資格試験についてお伺いをさせていただきます。
 今回の改正案の柱の一つでございますが、消費生活相談員の資格試験を登録試験機関がとり行うこととされました。登録試験機関といたしまして、現在、三つの関連団体が候補として考えられていると伺っております。
 今後、それぞれの登録された団体の間でその特色を競い合うことになることも考えられるわけでございますが、相談員のレベルは一定以上に保たなくてはなりませんが、この登録試験機関に対してどのようなことを望まれるか、まず、三名の参考人各位の御意見をお伺いさせていただきたいと思います。


○中山参考人

 登録試験機関については、先ほど来申しておりますように、消費生活相談員の必要な知識や、知識ばかりでなくコミュニケーションスキル、また交渉力等々がちゃんと認定できるような内容となること、そうしたことを望みます。


○池本参考人

 私は、国民生活センターとか日本消費者協会とか全相協とかNACS、それぞれ研修その他でおつき合いがある立場ですが、この問題については、どの団体に肩入れするという問題ではなくて、全国の相談体制がきちんとしていく、質を保てるためにどうするかということで考えているつもりであります。
 その意味で、これまで四十年にわたって、三つの資格によって各地で相談員が確保されてきた。それでも不十分である。特に地方で不十分である。そういう中で、相談員をきちんと確保する。そして、全体として、新しい人たちがこの相談員を目指せるようにという意味で、相談員の国家試験を導入するというときに、一部の団体では、いや、それは必要ないという意見もありましたが、私は、やはり将来像を考えれば導入すべきだということで、そういう人たちにはむしろ説得してきたつもりです。
 他方で、この制度が入ったときに、せっかく国家資格にするんだから、一本化して、中身も高い水準にしたらどうかという意見もあります。ただ、地方で相談員を十分確保できていないところを視野に置くと、余り難しい試験にして、これまで以上にその方々が資格が取れなくなってしまうのでは、これは元も子もない。やはり現場の実情を見ながら、全国総体として相談員が確保できる。
 そして、その相談員の質を高めるのは、実は、一発試験だけではなくて、それ以上に、先ほど申し上げたコミュニケーション能力は、継続的な実務研修なわけです。その部分こそ、国からきちんと予算を配分して、全国の自治体で進めていけるようにということ。
 それから、相談員になってからだけではなく、これから目指そうとする人の学習の機会が、例えば、首都圏とか関西であればさまざまな団体がやっていますが、地方にはないわけです。そういう、これから目指そうという人のための学習機会をきちんとつくっておかなければ、国家資格化しただけではとても人が集まってこない。
 さらに言えば、どんなにすばらしい資格試験であったとしても、資格がすばらしくても、その後の、その仕事が魅力的なものでなければ人は集まってきません。その意味では、処遇をきちんと改善し、相談員の役割をもっともっと高めていただくこと。そういったものの総体として、今後取り組んでいただきたいと思います。
 以上です。


○樋口参考人

 ありがとうございます。私どもは相談をする立場でございますから、当たり外れがあっては困ると思っております。三つの資格のどれを持った方であれ、一定の標準化された能力をお持ちになって、コンサルタントに当たったからこうだった、相談員に当たったからこうだったということのないように、国家は、きちんと一定の資質を備えた方を相談員に命じていただきたいと思っております。
 また、私どもは、相談窓口へ行きますれば、相談員の方も、二枚看板、三枚看板で、両方の資格をお持ちの方もたくさんいらっしゃるわけでございますけれども、名刺を出して、あなたは何の相談資格をお持ちですかなんということは全くございません。
 ですから、もうひたすらこちらは資質の向上をお願い申し上げるだけでございますし、今回、長年の消費者行政をおぶさってきた相談員の方たちが、きちんと法制化した資格になりますことは御同慶の至りでございます。
 ただ、私どものように、相談員養成について全く知見のない、一消費者、一利用者として見ますと、今一段階であった、やがて次の段階へは、一定の国家資格と一定の共通の研修というふうにまとめる段階が、次の段階としてはあっていいんじゃないかというふうに理解しております。



○青木愛

 ありがとうございます。一定のレベルを保つということと、そのためにはやはり実務研修が必要だ、そのための国の予算、そして、何よりも地方の視点が必要だ、大事だということを伺ったというふうに思います。
 重なりますが、消費生活相談員の資質というものについて、どのようにお考えになっているのか。
 この資格試験を経ることによって、またその資質が向上するだろうと。それに対して、また今度はその処遇改善につながっていくかと思いますが、この資質というものと、今後の仕事につながるための処遇改善について、再度御確認をさせていただきたいと思います。


○中山参考人

 消費生活相談員の資質ということですが、知識を持つことは大切です。あわせて、先ほど来から、各先生方からもいろいろお話ありましたように、相手の立場への想像力をしっかり持って聞くことができること、そしてまた、それを解決していくために一緒に考えてあっせんまで行えるような、そういったコミュニケーション能力、それから交渉力、そういったものが資質として重要であると思っております。
 そのことは、資格を取って以降、お話にもありましたような、実務経験を積み、かつ、研修等、常に努力をしていくということが求められていると思います。


○池本参考人

 私は、研修などの場で、相談員養成の際、あるいは実務研修の中で申し上げていることですが、まずは、きちんとした事情聴取ができる聞き取り能力、そして法律に照らした判断能力、そして事業者あるいは消費者を説得する調整能力、そしてカードに記載し、伝達していくカード作成能力、こういうものが必要だということを申し上げております。
 ただ、もっと本質的なところで言うと、こういう例えを出します。
 裁判官は、今の法律に照らしてその人が救えるかどうかを判断して判決を書けばいい。しかし、消費生活相談員は、日々新しく起きている事案、そのまま形式的に当てはめたら救えないかもしれない事案をもう少し掘り下げて、相談者の事情を聞き、事業者に対しても、適正な観点で考えてくださいという踏み込んだ説得をしなければいけない。裁判官以上の、本当のみずからの判断力を高めていき、説得力を高めていく、そういう力が必要なんですよということを申し上げております。


○樋口参考人

 ありがとうございます。私は、やはり専門的なことはもちろん大切でございますが、同時に、国民の生活それぞれを、また個性に満ちた生活に対応するのですから、人生百年社会のそれぞれの年代に対する問題の理解と、それから横の協力ですね、その縦と横の軸をしっかりと持った方であってほしいと思っております。いい機会でございますので、ちょっと言わせていただきますと、やはりこれまで、消費者行政の一番最先端である相談員、一括して相談員と申し上げますけれども、その方たちの女性比率というのは非常に高いものでございます。
 先ほどお話がございましたような待遇が、現在の給料に、相場に比べて高いか安いか、専門性に合っているか合っていないかは別といたしまして、はっきり言って、家族を養わねばならなくて済む女性の有識者の善意というものを出発点にこの行政が行われてきて、ようやく、三十年ほどの間を経て、今ここで日の目を見ているということで、どうも樋口の最後っぺと言われそうでございますけれども、ここら辺も、明らかに、女性に対する、女性の労働に対する軽視した傾向というものが出てきて、その割によく頑張ってきたじゃないかというのが私の評価でございます。
 これからは、消費者被害も、いわゆる敵方に暴力的な人たちもいっぱい、今でも多重債務などはそうですけれども、控えている時代になり、私は、男性の方々のこの分野への御参画もとても大切なことだと思っております。
 ただ、赤ちゃんから年寄りまでその生活をずっと見てきた経験を持つ女性がまた非常に活躍する分野でもあろうと思っておりますので、幸い、安倍総理大臣も女性の活躍ということに対して大変御理解があるようでございますので、この際、女性の確固たる地位を持った、資格を持った活躍できる相談員、そして、男性もまた、それぞれお力をかして参加していただける職場として発展させていただければ、この上の望みはございません。
 ありがとうございます。



○青木愛

 最後にもう一点、樋口参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほどの足立区のプロジェクトについてぜひお伺いできればというふうに思うんですが、消費者安全確保地域協議会というものに対して、もう既に新宿区では先進的な取り組みを行っていただいているわけなんですけれども、中山区長さんを先頭に行っていただいているんですが、足立区も実は女性の区長さんで、恐らく孤立ゼロプロジェクトのことを大変評価されているのではないかと思います。
 せんだっては、もう一年ぐらい前になりますか、横浜市の市長さんがやはり女性の方で、待機児童をついにゼロにされたということで、本当に女性の先頭に立つ先生方の活躍が目覚ましいんですけれども、そうした中において、先ほど足立区の例を少し触れていらっしゃったものですから、大変すばらしいという評価をしている点を最後にお伺いさせていただければというふうに思います。


○樋口参考人

 ありがとうございます。そういうことでしたら資料を持ってくるのでございましたけれども、足立区の資料は、実は、今度、安全法改正のことなども踏まえて、消費者庁の中に地域安全に関する検討会というのがつくられまして、数カ月議論いたしました。座長は東大名誉教授の大森彌先生で、私が副座長を務めさせていただいて、法曹界から池本先生、それから自治体の方々が多くて、県では富山県、北海道というあたりで、区として足立区が御参加になりました。
 そのときにいただいた資料が非常に、何といいましょうか、目も鮮やかにというか、先生がおっしゃいますとおり、孤立ゼロプロジェクトが大変よくできておりまして、この辺がどうというのはちょっと資料を持ってこなかったので申しわけございませんけれども、もし御必要でございましたら、消費者庁に設置された検討会の中に足立区から提出された資料でございますので、お取り寄せは大変簡単ではないかと思いますし、ぜひ、そういう地域ごとの好事例というものを取り上げて広く国民に広げていただきたいと同時に、失敗例というものもしっかりと分析していただきたいなと思っております。
 ありがとうございました。



○青木愛

 大変貴重な御意見をありがとうございました。
 こうした本当に先進的な取り組みが全国の自治体に広がりますように期待をし、また先生方の御活躍も期待をさせていただきます。
 どうもありがとうございました。