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  | HOME | >活動記録>>発言録2014年6月18日 衆議院文部科学委員会


一般質疑
    

○青木愛

 生活の党の青木愛でございます。きょうは、スポーツを中心に質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以前、委員会でも質問をいたしましたが、総合型地域スポーツクラブについて伺わせていただきます。
 子供から高齢者まで誰もがいつでもどこでも気軽にスポーツに親しめ、そして、住民がみずから、会費や寄附金で自主的、主体的に運営をする地域密着型のスポーツクラブでありまして、各市町村に少なくとも一つはこの総合型地域スポーツクラブを育成するということが、スポーツ基本計画に定められた目標でございます。
 クラブの数は、昨年七月現在で三千四百九十三、設置率が約八〇%という御答弁をいただいたところでございます。ただ、システムはできつつあるものの、本来の趣旨に照らしますと、その機能が十分に至っていないという現場の声もございます。
 平成二十一年の有識者会議がまとめた七つの提言を参考に質問をいたします。
 まず、この活動拠点の確保でございますが、活動拠点については、学校開放を含む借用施設が八七・三%ということで、借用施設での活動が中心になっています。実際、ほかの団体とも同一の施設を利用するために活動場所の確保は困難だということで、いつでも誰もが親しめる環境にはなりにくいという意見がございます。
 総合型地域スポーツクラブの趣旨を実行し得る活動拠点についての御認識と、クラブがこの拠点を独自に活用する、また所有できるための支援状況はどのようになっているか、まずお伺いをさせていただきます。


○久保政府参考人

 今御指摘ございましたように、かなり総合型地域スポーツクラブの自己所有率は少ないという実態がございます。
 これに関しましては、大部分のクラブは地域住民が主体的に設立し運営を行っておりますので、運営財源の確保を課題としておりますことから、自前の施設の所有にまで至っていないということによるものと考えております。
 この提言の中では、クラブの活動場所が十分に確保されるようにどういうことが必要かという意味で、施設を円滑に確保できるような、施設管理者が調整することが大事だ、それから、コミュニティー体育館や多目的運動広場などのスポーツ施設の整備、あるいは廃校となった学校施設や余裕教室をもっと活用することが必要だ、さらに、学校施設などに夜間照明設備を設置し、利用可能時間を拡大することが必要であるなどが指摘されているところでございます。
 こういったことを踏まえまして、具体的に活動場所を所有するための支援策なりでございますけれども、総合型地域スポーツクラブの中には、施設の所有までは至っておりませんけれども、例えば、中学校の敷地内に市立体育館として整備された施設の指定管理者として入って、学校と地域住民の利用に関する業務を主体的に担うことを通じて、クラブの活動場所を主体的な立場で確保している事例、それから、民間企業が地域貢献の一環として整備された体育館の管理運営業務を担うことによりましてクラブの活動場所を確保している事例などがございまして、文部科学省といたしましては、こうした先進事例を集めてその普及啓発を図っていきたいというのが一つでございます。
 それから、加えまして、総合型地域スポーツクラブの地域コミュニティーの核となる機能を充実強化しますために、スポーツ振興くじの助成を通じまして地域住民の交流の場となるクラブハウスの整備も支援しているところでございまして、年間数件でございますけれども、こういったものの充実も今後図っていければということを考えているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。今後さらに魅力ある地域スポーツ空間となるために、温水シャワーや、今御答弁にございましたクラブハウス、そして会議室や託児所などの整備も望まれています。
 特に、地域住民の交流の場となりますクラブハウスの併設が大変求められているかというふうに思っております。二十一年度のデータではございますが、今併設をされているスポーツクラブは五六・四%ということです。
 そして、ここで言われているクラブハウスが単なる事務所となっているケースも多々あるということで、スポーツの合間、またスポーツの後に仲間たちと余暇を過ごすための地域コミュニティーとしての機能が果たされていないという現場の声もございます。ヨーロッパのスポーツクラブでは、飲食を含んで、ビールなどもいただきながら余暇を過ごすという位置づけでクラブハウスが併設をされています。
 日本国内の中で、このようなヨーロッパ型のスポーツクラブ、クラブハウスのような位置づけで運営をしているクラブはございますでしょうか。


○久保政府参考人

 御指摘のとおり、欧州のスポーツクラブでは、地域を基盤としたスポーツクラブにおきまして、余暇活動も含めスポーツライフを満喫していると聞いております。
 我が国の総合型地域スポーツクラブにおきましては、スポーツ活動を行う場の提供はもとより、クラブ会員同士あるいは地域住民の交流の場を提供する役割も担っているところでございまして、御指摘のような場を整備するというのは大事なことでございます。
 具体的に、国内におきましては、例えば愛知県半田市のNPO法人ソシオ成岩スポーツクラブなどにおきましては、クラブハウス内に会員がスポーツ活動の前後に団らんできるカフェスペースが設置されたりしております。また、そのカフェ内には食堂やカウンターバーも併設されておりまして、飲食しながら一階アリーナのスポーツ活動の様子を見ることが可能となっているところもございます。



○青木愛

 ありがとうございます。そして、中でも高齢者の方が、スポーツクラブあるいはクラブハウスで一日のどれだけの時間を過ごしていらっしゃるのか、もし把握されているデータがあれば教えていただきたいと思いますが、スポーツを福祉として捉えるクラブ活動の広がりも今期待されておりまして、実際に福祉施設との連携プランを持っているクラブもございますが、このような視点について今後どのようにお考えをお持ちか、伺わせていただければと思います。


○久保政府参考人

 総合型地域スポーツクラブは、子供から高齢者までの誰もがいつでもどこでも気楽にスポーツを楽しむことができる地域密着のスポーツクラブでございますので、このクラブの活用によりまして、高齢者の健康増進、地域住民の交流の活性化などの効果が大変期待されているところでございます。
 今御質問がございました具体的な割合等についてまだ詳細な把握はしておりませんけれども、平成二十五年に文部科学省が総合型クラブに対して行った調査の中では、クラブを設立した効果といたしまして、約五割が、元気な高齢者が増加した、それから、約六割が、地域住民間の交流が活性化した、そして、約七割が、世代を超えた交流が活性化したなどの回答をいただいております。また、約三割のクラブにおきましては、行政の健康福祉部局から受託して地域住民の健康づくり事業を実施していると回答しております。
 今後とも、スポーツ活動を通じた地域住民の健康増進や地域コミュニティーの活性化に重要な役割を担う総合型クラブへの支援を行ってまいりたいと考えております。



○青木愛

 さらに、質の高い指導者、また経営能力を有するクラブマネジャーの確保も課題に上がっております。総合型地域スポーツクラブの五二・九%がスポーツ指導者の確保をクラブ運営の課題と挙げておりまして、クラブマネジャーを配置しているクラブは六一・四%ということでございます。クラブマネジャーを職業として確立させていくことや、体育指導委員がクラブマネジャーとして活動できるような研修の機会、こうしたことをこれまで求められてきたかというふうに思っております。
 また、全国四十三都道府県に六十あります広域スポーツセンターに対して、スポーツ指導者、またクラブマネジャー等の派遣または紹介を期待する声が四一・六%ある一方で、この広域スポーツセンターを利用したことがないクラブが七六・六%と、この支援体制の連携が図られていないという現状がございますけれども、今後、スポーツ指導者、またクラブマネジャー等の派遣また育成についてどのように対策を打っていかれるのか、お伺いをいたします。


○久保政府参考人

 クラブマネジャーは、総合型地域スポーツクラブなどで核となってさまざまな運動を展開する欠かせない方でございますので、その確保、質の向上というのは大変重要な課題であると思っております。
 具体的な例といたしましては、神奈川県川崎市の総合型クラブでは、中学校の校舎や体育館を活用しながら、さまざまなスポーツ教室の開催や学校イベントへの参画など、学校や地域と密着した活動を行ったりしている例もございます。そういう意味で、さまざまな事業をマネジャーが活用していただく余地なり、工夫の余地はいっぱいあるわけでございます。
 私ども、その辺の課題につきましては、クラブマネジャーに関する課題につきましては、毎年実施している調査を通じまして一定程度把握しておるところでございまして、クラブマネジャーの設置につきましては、スポーツ振興くじ助成でその補助を行いますとともに、今年度からは、総合型クラブ同士のネットワークをつくってスポーツ指導者の共有化を図る取り組みを支援しているところでございます。
 できる限りいろいろな工夫をしながら、クラブマネジャーの質と、それから場をつくるような工夫をしてまいりたいと思っているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。クラブ運営といたしますと、適切な会費設定を基本としながら、多様な財源の確保を図る視点も重要で、地域の商店街の協賛ですとか、スポンサーや寄附金の獲得、また特産品の販売など、さまざまな工夫が民間に求められています。また一方で、スポーツ振興くじや各省庁の多様な助成金なども、また国としてできることがあるというふうに思っております。
 いつでもどこでも仲間たちとスポーツを楽しむことができる、これは当然のことながら、クラブハウスでは会話や飲食などでくつろいでクラブハウスを満喫できるような、魅力ある地域スポーツ空間になるように、今後とも地域住民と、そして行政、民間企業、関係団体が協議の場を設置するなど、十分な連携を図ることも大切だというふうに思っております。
 地域の活性化をスポーツからも発信できるように期待をしておりますので、ぜひ今後ともお取り組みをよろしくお願い申し上げます。
 それでは、質問をかえさせていただきまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けまして、関係者の皆様は大変準備に御努力をしているというふうに思っております。先日、舛添知事がオリンピック会場全体についての見直しを表明されました。この見直しの中身とこれまでの経過、そして今後の運び等について、御所見をまずお伺いさせていただければと思います。


○下村国務大臣

 六月の十二日に行われました組織委員会の調整会議におきまして、出席者は森組織委員会会長、それからJOC会長、JPC会長、私でありますが、舛添都知事の方から、東京都に関係する施設についての見直しに着手したいという話がございました。
 この調整会議において、二〇二〇年東京大会の質のさらなる向上を目指すこと、それから、よりよいレガシーを残すこと、また、都民、国民の生活への影響、それから、建築資材等の整備コスト、こういう観点から、立候補ファイルの段階で作成した会場計画を改めて検討し、見直しが必要であるとの認識で全員一致したところであります。
 このような観点から見直しが行われるものということでありますが、これは東京都の関係でございまして、国立競技場については既にもう見直しに着手しておりますので、その見直しにのっとって建てかえをしてまいりたいと思います。



○青木愛

 この見直しについては、仮設ですとか既存施設の活用、あるいは環境に配慮をした見直しなど、私自身もこの計画の見直しには賛成の立場でございますが、やはり立候補ファイルの重みを理解しながら、関係機関、団体への説明も必要でしょうし、また、拙速な協議の中で意思決定がなされることのないよう、よりオープンな形で進められることをお願いしておきたいというふうに思います。
 そして、あわせて、地元の建設業界の方から御意見をお伺いしたのですが、今の建設業を取り巻く環境は、消費税アップもありながら大変厳しく、仕事はあっても薄利でもうからない、資材や関連機器の納品に時間がかかる、人手不足の解決策が見つからないなどという現況をお聞きいたしました。
 東日本大震災の復興と相まって、今後も公共工事の需給のアンバランスは厳しさを増して、今全国的にその影響が及んでおります。特に、地元の中小零細企業にも配慮をした公共工事の受注システムを早期に確立しなければ、末端の作業を請け負う方々がますます疲弊するというふうに思われるのでございますけれども、この施設整備のあり方の基本的な考え方について、下村大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。


○下村国務大臣

 先日も、国立競技場の取り壊し工事につきまして、事業主体である日本スポーツ振興センターが先般行った入札において、契約の相手方を選定するには至らなかった、入札不調であったというふうに報告を受けております。
 これは、今御指摘のように、建築関係分野の資材それから労務コストが非常に高騰しているということであります。また、東京都が見直しをすることになった理由というのも同様の理由で、予想よりも相当、トータル的に言うとコストもかかる、それだけではなく、もちろん環境問題とか地盤の問題等、トータル的な中からもう一度見直すべきだということであります。
 受注、発注については、これは文部科学省で決めるということではありませんが、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの関連施設が、日本は余裕を持って、二〇一九年には例えば国立競技場ではラグビーのワールドカップもあるわけでありますし、また、選手の、アスリートの、パラリンピアン、オリンピアンの訓練、練習等を考えると、一年以上前から整備し完成しているということが重要でありますから、その前提の中で、より発注や受注についてスムーズな方式でいくよう、関係機関にも働きかけをしてまいりたいと思います。



○青木愛

 ありがとうございます。建築にかかわる人手不足が大変心配されますので、地元中小零細企業にも配慮したシステムについてもまたぜひお考えをいただきたいというふうに思っております。
 東京オリンピック・パラリンピックが、ブラジルのワールドカップで報道されたような施設工事のおくれがないよう、万全の体制で臨まれることを願いまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。