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  | HOME | >活動記録>>発言録2014年11月7日 衆議院文部科学委員会


一般質疑
    

○青木愛

 生活の党の青木愛でございます。まず、前回質問いたしました高等学校等就学支援制度について、二点ほどお伺いをいたしたいと思います。
 前回の御答弁で、小松局長より、就学支援金の辞退者数、また申請書の未提出者数については、母数が確定して、その中の何%という計算ができないので、その数自体は示すのは難しいという御答弁がございました。
 何もパーセンテージではなくて、届け出書も、また確認書も辞退書も何にも提出をしていない未提出の数というのは、学校で把握ができて、また県の方で集約することも可能ではないかというふうに考えております。
 といいますのも、やはり、こうした未提出者の中にこそ、本来、手当てが行くべきところに支援金が届いていない生徒がいる、そういう実態があるわけでございます。ぜひ、この制度を改善するためにも、やはり実態把握は必ず必要だというふうに考えますが、いかがでしょうか。


○小松政府参考人

 前の御質問に対しまして御答弁いたしましたとき、公立高校では、今年度から、授業料不徴収制度から就学支援制度に変更したということから、生徒が就学支援金を受給する場合には申請を行っていただく必要があるということから生ずるお話として御説明を申し上げたところでございます。
 それで、例えば今の話で考えますと、全員の中から、原因はわからないけれども出していらっしゃらない方を一つの数値としてつかまえて、それをもとに何らかの政策を立てるということになりますけれども、実際には、これを、公の財政負担を伴う政策との関係で使用しようといたしますと、もう少し詳しく見なければいけない点が出てくると思われます。
 例えば、この中で、高額所得、高額というか、この基準にはまらないだけの所得があるので出さなかったという方はどう数えるか。かなりの数いらっしゃいますけれども、そういうことを除いて、そして残りの生徒さんについて、場合によっては個別の事情をまた聞いていかなければいけない。これは、現場で申し上げますと、プライバシーなどのことも含めまして、なかなか難しい点があるなというふうに思っております。
 しかしながら、先生御指摘のように、生徒の家庭の事情等を把握しながらやっていくということが重要だというのも、そのとおりだというふうに私ども認識をいたしております。この事情を最もよく把握していただいている、適切に対応していただける、あるいはいただいているのは、現場の先生であるということも事実でございます。
 それらを考えますと、いわゆるその把握のための数値の調査というようなことで全国的に事務を生じるよりは、今後とも、どうした事例があるかということをよくお聞きしながら、これも一つの把握の方法だと私ども思うのでございますが、そういったことが生じないように、そういったことというのは、受け取れるはずの方が受け取れないような事案が生じないように、工夫をして、丁寧に申請を受け付ける。あるいは、それが難しい場合は、学校から、都道府県にも私どもにも必要に応じて御報告をいただいて、随時御相談にも乗っていくというような対応でしていくのが一番いいのではないかというふうに考えております。



○青木愛

 やはり、この制度の改善のためには、実態把握というのは必ず必要だというふうには考えておりますが、政府、文科省の方でも、さまざま是正、工夫をしているということも伺っています。
 この申請主義というところに問題はありますが、最終的に本人の申請で構わないということでありまして、その際、本人の所得証明が必要になりますが、高校生でなかなか所得を得ているというのは考えにくいわけでございまして、その本人の所得証明があれば、これは確実に受け付けていただけるものなのか。
 例えば、両親が、その所得制限以上の高額の収入が仮にあったとしても、本人が本人の所得証明をつけて申請をすれば、それは受け付けていただけるのでしょうか。


○小松政府参考人

 ただいまの御疑問は、収入の捕捉の問題だと考えますけれども、御両親なり親権者の方が高額所得であるということで、それが家計をともにしているというようなことが、事実があるということをわかっている場合は、これは、御本人が自分に収入がないといってもそれは難しいというのは御理解いただけると思います。
 御指摘のことは、従来の御質問にもございますけれども、御家庭にさまざまな事情がございます。
 一番極端な例は、ドメスティックバイオレンスとか養育放棄とかそういったことで、手続が現実問題として困難であるというようなことが最も極端な例だと思いますけれども、こうした場合につきましては、その方々を所得確認の対象外とすることができるようにしております。そういった場合において、では、生徒本人の所得により判断をする。これは、今おっしゃられたように、その所得の証明によって判断することができる。
 さらに、つけ加えて言わせていただきますと、先ほど申し上げましたように、さまざまなケースがありますので、担任の先生とか学校が一番その状況を把握しておりますから、生徒本人の所得により判定する場合にも、本人が就労していない、収入がないということが確認できれば、課税証明書等の提出も不要としてそれを支出できるというような取り扱いにして、これを文書で地方公共団体に発出しているところでございます。



○青木愛

 そうなんですよね。もしかすると両親が養育放棄で子供との連携が図れていない場合、申請書が両親から出されない場合、本人の判断で自分の所得証明書をつけて申請するということが、この制度のいい面だというふうには思うんです。考えられている面だとは思うんですけれども、一方、両親の所得が制限以上か以下かというのはどこで判断をするのか。後でわかった場合、例えば裁判とかという状況になってしまうのかどうか。中には所得制限以下の子供も当然いるわけでありますので、最終的にはその子供をどうやって救えるのかというところがあって質問させていただいたんですけれども、その辺はどうでしょうか。


○小松政府参考人

 ただいまの御質問は、さまざまな実態を持ちます個別事例の運用に係ってくる面がございますので、ちょっと一般的、抽象的にはお答えしにくい面がございますけれども、ポイントは、公の財政をもってこの制度に支出するということについて、最低限のきちっとした確認は責任を持って行われなければならないけれども、他方で、個別の事例、とりわけ教育や生徒の発達段階、そういったさまざまな状況を勘案して、要は、この制度の本来の目的である教育の機会がきちっと確保されるということに資するような方向で事柄を解釈するということが望ましいと考えられます。その両者のバランスの中で、できるだけ柔軟に解していくということが至当かと考えます。



○青木愛

 私も、今後のさまざまな現場の状況等もお伺いしながら、また質問させていただく機会はあるかと思いますけれども、実態把握はやはり必要だというふうに申し上げておきたいと思います。
 この点について、もう一点だけお伺いをしたいのは、この申請書なんですけれども、各都道府県によって形式が異なっております。中には、この期間の授業料を納付しますといった誓約書のような形式をとっている自治体もあります。
 国として、今後、できれば統一した形式にする方がいいのではないかというふうに考えますし、少なくとも、保護者に対する精神的な圧迫を与えるようなものにしてはならないというふうに考えますが、この点についてお伺いをいたします。


○小松政府参考人

 御指摘のようなケース、実は、私どもの方にも、申請手続の際にそうした様式について問題があるのではないかというような報告がございました。
 具体的にそういうところへ、都道府県にお伺いをしてみますと、意図といたしましては、申請漏れが生じないようにするために生徒全員に対して意向確認をする、それが確実だし、かえって本人のためにもいいということで行っているということでございましたけれども、他方、その様式ややり方につきましては、物によって生徒あるいは保護者の方の御負担になる、そういうことがあるということも事実でございますので、方法としては、その辺は慎重にしていただくように、私どもとしても要請したところでございます。それぞれの実態を見まして、引き続き、都道府県、学校に対しましては、同様の事案が生じないよう、あるいは、そういうものがあります場合は改善が図られますように、周知に努めてまいりたいと存じます。



○青木愛

 ぜひ、さまざまな面から改善を図っていただけますように、不断の御努力をお願いしておきたいというふうに思います。
 次に質問を移らせていただきますが、ICT教育についてお伺いをいたします。
 平成二十五年の六月十四日に閣議決定をされました「日本再興戦略 JAPAN is BACK」では、世界最高水準のIT社会を実現するとしておりまして、そのために、二〇一〇年代に一人一台の情報端末による教育の本格展開に向けた方策を整理し推進するとともに、デジタル教材の開発や教員の指導力向上に取り組むとしています。
 情報技術の飛躍的な進歩によりまして、教育分野においても、デジタル媒体を活用したあり方が、既に実証研究等が行われているところでございます。そこでは、子供たちの学習に対する興味や理解が深まるといった有用性、また、不登校や遠方に通う生徒が遠隔授業を受けられるなどの利点が示される一方で、また、課題があることも指摘をされております。その点について、何点か質問をいたします。
 まず、自治体によっては、既に、先進的な取り組みといたしまして、タブレット等を活用した教育の推進が行われています。推進に当たっては、機器操作の習熟はもとより、デジタル教材等の準備、また作成は不可欠でございます。相当の体制がなければ、現行の体制に機器だけを持ち込むということだけでは、なかなか現場の教職員の対応がし切れないという声が上がっておりまして、本来の目的を達成できないと考えられます。
 そこで、今後、このICT支援員を初め、教職員の配置等をふやす計画は想定されていますでしょうか。まず、その点からお伺いをいたします。


○下村国務大臣

 学校におけるICTの活用を普及、定着させるためには、御指摘のように、ICT支援員を配置し、情報端末等のトラブル及びネットワーク障害への対応等の技術支援や、教員に対する、ICTを活用した授業支援等を行うことが効果的であると考えます。
 第二期教育振興基本計画では、地方公共団体に対し、ICT支援員の配置を促すこととしており、所要の経費について、地方交付税措置が講じられていることとされております。
 文科省としては、ICT支援員の配置が促進されるよう、地方公共団体に対し、地方交付税措置の内容の周知も含め、積極的な活用を促してまいりたいと思います。



○青木愛

 ありがとうございます。ある県の県立高校で、生徒にタブレットを導入するに当たり、保護者に五万円の負担を強いているという実態が報告をされています。
 五万円というのは、大変その負担は大きいというふうに考えておりますけれども、それでなくても、教育における私費負担の割合が高いと言われている我が国において、国が進める政策であるにもかかわらず、結果として保護者に負担を強いる政策になっているということは、やはり避けなければならないというふうに思います。
 ICT教育の推進にかかわる人件費ですとか、あるいは施設整備を含めた経費というのは、少なくとも国が措置すべきであって、保護者負担の軽減を図るということを同時に進めていかなければならないと考えますが、この点について、御所見を伺いたいと思います。


○下村国務大臣

 教育の情報化について、昨年六月に閣議決定された、御承知、御指摘のように、日本再興戦略において、「二〇一〇年代中に一人一台の情報端末による教育の本格展開に向けた方策を整理し、推進する」こととされました。
 また、第二期教育振興基本計画においては、計画期間の平成二十九年度までに、教育用コンピューター一台当たりの児童生徒数を三・六人までに進めること等を目標としており、現在、段階的に整備を進めているところであります。
 このため、現在、教育振興基本計画に定められた目標水準を達成するために必要な所要額として、単年度一千六百七十八億円、四年間、これは平成二十六年度から二十九年度まででありますが、総額六千七百十二億円の地方交付税措置を講じることとされているところであります。
 文科省としては、今後とも、各地方公共団体が地方財政措置を活用しながらこの目標水準を達成できるよう、それぞれの取り組みを促し、教育の情報化の取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えております。



○青木愛

 地方に丸投げではなくて、国としても交付税という形で予算を組んでいるということでありますが、今お話をしたとおり、一方の地域では、副教材だからといって、その負担を保護者に任せているという実態があり、一方で、例えば東京などは、比較的潤沢な財政事情があって、無償で提供しているということでありまして、自治体によって国が進める教育方針の中で個人負担の違いがあって、地域の中で格差があってよいのかという点なんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。


○下村国務大臣

 御指摘は佐賀県でありますけれども、今年度から県立高校一年生全員を対象にタブレット端末を活用した教育を開始するに当たり、端末を個人で所有するため、保護者から五万円の負担を求めているというふうに承知をしております。
 タブレット端末等の導入に当たり、保護者負担にするかどうかについては、保護者や住民の理解を得ながら、学校の設置者である地方公共団体において判断いただくことであります。
 今回の佐賀県の取り組みについて、これは実際は八万円ぐらいかかるところを、県の方も負担をされているというふうに聞いております。ICTの活用による新たな学びの実現のため、佐賀県が判断されたことであるというふうに思いますが、国としても、できるだけ早く一人一台タブレット端末が子供たちに行き渡るような施策という意味では、先進的な取り組みの自治体はそれぞれの判断でありますが、個人負担をできるだけない形で努力をしていく必要があると考えております。



○青木愛

 ぜひよろしくお願いいたします。
 大臣から先ほど御説明がありましたように、交付税、四年間で総額六千七百十二億円ということでございまして、交付税でありますので、自治体の判断で使える財源ではございますけれども、やはり国が方針として示していることでもありますので、先ほどお話をいたしましたICT支援員や、またこの施設整備費等々、自治体の中でしっかりとそのために使われるように、本来の目的が、成果が出るように計画を進めていく必要があるのではないかなというふうに思っておりますので、ぜひ国としても、また現場への目配りも忘れることなく、取り組んでいただきたいというふうに思います。
 もう一点、このことについて、子供の健康への影響についてお伺いをしておきたいと思います。スマートフォン等の普及と相まって、子供たちのネット依存が指摘をされています。平成二十三年度から二十五年度にかけて、学びのイノベーション事業という、全国二十校のモデル校を指定して、実証研究が行われたと承知をいたしております。電磁波ですとか、姿勢、視力、中毒など、子供たちの健康への影響について、どのような指摘がなされているのかをお伺いしたいと思います。


○河村政府参考人

 今御言及のありました学びのイノベーション事業の成果の一つとしまして、「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」というものを平成二十五年度末に作成いたしております。
 その取りまとめに当たりましては、実証校における調査結果を踏まえていろいろな分析をしておりますけれども、眼科や脳科学の専門家の委員からは、現在の学校の授業の中での使用のような短い時間であれば、特段の影響が使用後に生じてはいないというふうに考えられるけれども、一方で、もし長時間集中してタブレットPCなどを見続けるということがありますと、ドライアイになりやすくなるというような、目に障害を及ぼすおそれもあるという健康面への影響についての知見が得られたところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。例えば、小学校一年生で午前中いっぱい使用した場合の検証なども行われているかと思うんですけれども、こうした成長段階また発達段階に応じた適正な授業時間の設定等々、具体的なガイドライン的な対策というものは国の方で用意をしておられますでしょうか。


○河村政府参考人

 このガイドブックにおきましては、全般的な注意事項として、例えば、遮光カーテンの使用や照明環境の工夫によって、状況に応じて教室内の明るさを調整することや、机や椅子の高さ、適切な姿勢への配慮、それから、長時間にわたり画面を注視することにならないような授業の実施方法を工夫するということを、全体の教育指導に対して指摘、助言しているところでございまして、個別に、何学年ではこうというような示し方はいたしておりません。
 また、ICT使用による児童生徒への健康面の影響に対する配慮につきましては、ガイドブックでも触れていることでございますけれども、学校における取り組みだけでは十分ではなくて、家庭との連携が重要ということもあるわけでございます。
 そのために、少し付言して申し上げますと、文部科学省では、ことしの四月に、当時の西川京子副大臣、この委員会の委員長でいらっしゃいますけれども、西川副大臣を主査として、子供のための情報モラル育成プロジェクトチームというものを設けまして、スマートフォンの利用について、スマートフォンだけではございませんが、そうしたIT機器の利用について家族で考えるということを提案するスローガンとロゴマークを作成いたしました。ちなみに、そのスローガンは「考えよう 家族みんなで スマホのルール」というものでございます。
 現在、これを教育委員会や関係団体、民間企業等と協力をいたしまして、子供たちの情報モラル育成を図る取り組みをどんどん進めようという状況にございます。先般も、全国の全ての小中高校にポスターを配布いたしますとともに、十一月の三日、お休みの日でございますけれども、Jリーグの協力のもと、スタジアムにおいて普及啓発活動も行ったところでございます。
 以上、御報告申し上げます。



○青木愛

 御丁寧な御答弁、ありがとうございました。
 時間になりましたので終わりますけれども、やはり今後、単に機器を活用することのみを目的とするのではなくて、教育における地域間また社会的格差が生じないように、ぜひ教職員や子供たち、また保護者の声を聞きながら慎重な導入に努めていただきたいとお願い申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。