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  | HOME | >活動記録>>発言録2014年11月12日 衆議院文部科学委員会


平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案
平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案
に対する質疑

    

○青木愛

 生活の党の青木愛でございます。早速質問に入らせていただきます。
 まず、東京オリンピック・パラリンピック、この招致母体は東京都、そしてラグビーワールドカップは日本ラグビー協会と承知をいたしておりますが、政府はことしの四月に、内閣総理大臣を議長として、全閣僚から成ります二〇二〇年オリパラ東京大会等に関する閣僚会議を設置し、ラグビーワールドカップとの一体的な準備に配慮をしつつ、その円滑な準備に資するよう、行政各部の所轄する事務連絡調整を行う協力体制の確立を図ることになりまして、両大会への国の関与が明確になったというふうに承知をいたしております。
 そこで、今後、政府と東京都、そして組織委員会及び日本体育協会やJOC、各種競技団体、また地方自治体等の役割などを明確にしていくシステムの構築が必要だというふうに思われますけれども、現況はどのようになっていますでしょうか。


○久保政府参考人

 東京都及びJOCは、国際オリンピック委員会から委任を受けまして組織委員会を設立して、大会の準備、運営を進めていくことに責任を有しております。その活動を支えますために、大会組織委員会の基本財産を拠出し、その所属職員を大会組織委員会に派遣しているというのがまずございます。
 大会組織委員会は、東京都、JOC及び国と連携しながら、国際オリンピック委員会、IOCから直接指示を受けまして大会の準備、運営を主体的に進める責務を有している、これが基本でございます。
 政府は、大会の招致に際しまして、国際オリンピック委員会、IOC及び国際ラグビーボードに対しまして広範囲な政府保証を行っておりまして、国としても大会の準備及び運営が円滑に進むように最大限の支援を行いますとともに、スポーツの振興や国際交流の推進といった大会開催の効果を日本全体に波及させていく役割を担っているところでございます。
 このほか、競技団体は、それぞれの競技の実施について、競技施設や競技日程について、大会組織委員会を助けながら国際競技連盟と連絡調整を行いますほか、日本体育協会は、オリンピック・パラリンピックムーブメント推進の役割を担ってございます。
 このような形で、さまざまな運動団体、自治体がすき間なくオリンピック・パラリンピックあるいはラグビーワールドカップの実施に向けた準備をする体制をつくっているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。それぞれがやりづらくなったり、また、無責任にならないように、適正なシステムの構築をお願いしたいと思います。そして、内閣に大会推進本部が置かれまして、基本方針案の作成や基本方針の実施の推進等を所掌事務とすることとなっております。そのために組織委員会の方に国の職員を派遣できるということになっておりますが、ある意味、民間的発想の組織委員会と行政的な派遣職員の皆様との間のコンセンサスを図っていくことが大変重要だというふうに思っております。
 それぞれの立場を対等に尊重し合える、そうしたテーブルに着くという意味から、力強い連携が図れる組織になることを切望しておりますが、そのあたりについての懸念等、何かございますでしょうか。


○久保政府参考人

 組織委員会への国の職員の派遣につきましては、組織委員会から派遣要請があった場合に、派遣の必要性などを勘案して、職員の同意を得た上で、任命権者が職員を派遣することができるという仕組みになってございます。
 その際の職員の派遣による不要なトラブルを避けますためにも、御指摘のとおり、派遣元である任命権者と派遣先である組織委員会の間で、事前に派遣内容に関する合意をしていくことは極めて重要であると認識しております。
 このため、職員の派遣に当たりましては、派遣職員の組織委員会における勤務時間、報酬その他の勤務条件、業務の内容、派遣の期間、職務への復帰に関する事項等につきまして任命権者と組織委員会の間であらかじめ合意をし、取り決めを行うこととしているところでございます。



○青木愛

 次に、両大会の競技施設、また、地方への配慮についてお伺いをいたします。
 私の地元であります東京北区にはナショナルトレーニングセンターがありまして、国内のトップアスリートが日々練習に励んでおります。
ただ、残念ながら北区民と選手との間の触れ合いがほとんどないという状況にありまして、赤羽の商店街や板橋の商店街などでまれに選手に出会えるというお話も聞きますけれども、競技によっては外出禁止になっているところもあるようで、なかなかお会いする機会がありません。
 ことしの九月に開催されましたアジア大会に日本代表として出場した選手の中には、大会会場で多くの観衆や、また、テレビカメラを向けられたということで緊張を否めず、実力を出し切れなかったという声も聞いておりまして、常時開放することもないとは思いますけれども、年に一回、二回とか、観衆が見ている中で試合をしたり演技をしたり、こうしたことも必要なのではないかと考えております。
 このナショナルトレーニングセンターにおける練習公開ですとか、あるいは施設開放など、プレーヤーとサポーターが一体となり得る環境づくりが必要ではないかと感じてはおりますけれども、こうした各競技団体の選手ですとか役員の方からまずは意見を聞いていただきたいというところからお願いをしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。


○久保政府参考人

 ナショナルトレーニングセンターの施設開放につきまして、これまで、競泳プールですとかテニスコート、レストランなどについて、支障のない範囲内で地域の方々への一般開放などを行ってきております。
 ただし、他方で、NTC自体がトップアスリートがメダル獲得に向けて集中的、継続的にトレーニングを行う場所でございますので、JOCを初めとする競技団体の意向を踏まえまして、現時点では選手の練習公開などは実施していないところでございます。
 しかしながら、他方で、JOCとしては、北区主催の小中学生を対象としたアスリートによるスポーツ教室に協力したり、あるいは、体育の日にスポーツ祭りを開催する中で、北区や板橋区、周辺自治体と連携してアスリートとの交流の場を設けているところでございます。
 さらに、現時点で、ナショナルトレーニングセンターの今後の拡充整備方策について検討しております中間報告の中では、拡充整備に当たりまして、トップレベルの競技者のトレーニング環境を見学するツアーの受け入れなどを想定した動線の確保についても工夫すべきと提言されているところでございます。
 このような提言を受けながら、今後、環境整備を図っていくに当たりまして、競技団体等の意見も聞きながら、競技団体等と協力して、周辺自治体との連携にも配慮した形での整備を図っていきたいと考えているところでございます。


○青木愛

 ありがとうございます。ぜひそのような前向きな姿勢でお取り組みをお願いをしたい、まずは意見集約をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 そして、今、国立競技場の建てかえが実はさまざまな波紋を広げておりまして、競技場が建てかえ中、ほかの競技場で各種団体の大会開催をしなければならないという状況があって、そのために、大会開催の日程の変更ですとか、あるいは調整ですとか、種目によっては使用制限などがあって、なかなかスムーズにほかの競技場で大会の開催ができないという声が上がっておりまして、今、利用するスポーツ施設の課題は大変多様になっていると認識をしておりますけれども、その点についてはどのように把握をされていますでしょうか。


○久保政府参考人

 国立競技場は、これまでさまざまなスポーツ大会や文化イベントの会場として利用されてまいりました。改築のため、本年五月末をもってその稼働を休止したところでございますけれども、かつ、稼働休止の一年半前から日本スポーツ振興センターは、相当前広に、文書によりまして、施設利用者にこういうことがあるということを周知してきておりました。
 その結果、これまで国立競技場で開催されておりましたスポーツ大会等につきましては、各主催者で代替会場をいろいろ検討されておられます。例えば、サッカーの天皇杯の決勝は日産スタジアム、ラグビーの全日本選手権決勝は秩父宮ラグビー場、日本学生陸上競技対校選手権、インカレは熊谷スポーツ文化公園陸上競技場など、それぞれの開催会場を確保しておられると承知しているところでございます。
 各主催者の皆様には、しばらくの間は御辛抱いただくことになりますけれども、新しい国立競技場を利用することを目標にさらに頑張っていただきたいと思いますし、もし本当に困っているというようなことが何かおありになれば、文部科学省といたしましても、何らかの対応を検討したいと考えているところでございます。



○青木愛

 ぜひよろしくお願いいたします。この数年の間で各競技団体の不都合にならないように、ぜひ文科省としてもお取り組みをお願いいたします。
 次に、この両大会に対しまして、これから、地方へのキャンプ地の誘致ですとかプレ大会の開催などさまざまな施策が考えられると思いますけれども、現在の地方財政の現況を考えたときに、やはり、新規の建設ですとか建てかえですとか、あるいは運営費など国の財政援助がやはり不可欠だというふうに考えますけれども、具体的にどこの予算を充てていかれるのでしょうか。


○久保政府参考人

 二〇二〇年東京大会の効果を日本全国に波及させるためには、各国代表選手団の事前合宿あるいは各地域でのスポーツイベントなどのさまざまな取り組みが全国津々浦々で行われることが重要であると考えてございます。
 地域におけるスポーツ施設をその際に整備するに当たりましては、国庫補助あるいはスポーツ振興くじ助成により支援を行ってきております。
 また、国際スポーツ大会や地域のスポーツ大会の開催に当たりましては、スポーツ振興くじ助成あるいはスポーツ振興基金助成により支援しているところでございまして、各地域におきましても、これらの助成?援助を積極的に御活用いただくことを期待しているところでございます。



○青木愛

 さらに、日本スポーツ振興センターのBIGやtotoの振興くじによる助成も問われてくるかというふうに思うんですけれども、totoの申請システムといいますか申請から決定までの期間など、現況のシステムでいいのかどうか、地方からなかなか使い勝手が悪いという声も上がっておりまして、totoの今後のシステムの再構築についてどのように考えておられるか、伺います。


○久保政府参考人

 サッカーくじ、スポーツ振興くじの助成につきましては、いろいろな御要望があれば、それを踏まえて新しいあり方なり手続なりを委員会で考えたりはしてきているところでございます。
 具体的に一つ問題があるとするとその時期じゃないかと思いますけれども、国の補助金の場合、予算が通ってから申請を受け付けて交付いたしますので時期が少しずれたりいたしますけれども、スポーツ振興くじの場合は、四月からすぐに事業に使えるようにしております。その反面、前年の十一月から一月まで、少し早目に事業募集を行っておりますので、それを行った上で、外部有識者で構成される委員会の審議を経て翌年四月に交付しておりますので、少し時期が早いので、申請が間に合わないというような実例があるかもしれないと思っております。
 したがいまして、こういった通常の手続に加えまして、スポーツ団体等の要望も踏まえまして、平成二十五年度からは、この年度における追加的なニーズに対応できるように、二次募集を七月に行いまして、十月に交付決定が行えるような新たな制度を導入したところでございます。
 今後とも、関係者の意見もよく聞きながら、スポーツ振興くじ助成が団体や自治体にとって使いやすい、よりよいものとなるように努めてまいりたいと考えてございます。



○青木愛

 ありがとうございます。これまでは一月の半ばの申請で決定が四月であったがために、なかなか申請しにくいという声がありました。今のお話では、まずは追加的にということではございますが、七月の申請で十月の交付決定となれば、そこで使えるということでありますでしょうから、まずは前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 続きまして、舛添要一知事が記者会見で競技場等に対する見直しを行う旨の考え方を示しておりまして、オリンピックレガシーとして、ロンドン・オリンピックのその後についても言及されておりました。
 オリンピック終了後のことを踏まえまして、イニシャルコストあるいはランニングコスト、そして施設の活用方法など、今後、オリンピックの終了後にそうした施設をまずはイニシャルコストは国が持つのか地方が持つのか、ランニングコストについてはどうなのか、あるいは指定管理になるのか等々、ある程度の見通しを明確にしていかないとなかなか地方は対応し切れないのではないかというふうに思いますけれども、その辺の見通しはある程度たっておりますでしょうか。


○久保政府参考人

 オリンピック憲章におきましては、IOCの使命の一つとして、「オリンピック競技大会のよい遺産を、開催国と開催都市に残すことを推進すること。」が挙げられてございます。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のために新たに整備される恒久的な施設につきましては、その施設が大会後も都民、国民の貴重な財産として有効活用されるのかどうかをしっかり検証する必要があると考えております。このためには、国内の各競技団体と緊密に連携協力しながら、大会後の利用計画も視野に入れた整備内容としなければならないわけでございます。
 現在、東京都及び組織委員会におきまして、コスト面、大会後のレガシーの観点から会場計画全体の再検討が行われているところでございまして、利用形態等に応じた適切な施設管理体制も考慮をしながら検討が進められるものと考えているところでございます。



○青木愛

 そうですね、やはり適正な規模の施設ということもあるでしょうし、その後のやはり維持ができるかどうか、また心配の向きもありまして、ぜひ、地方が見通しを持って計画を立てられるように御配慮いただきたいと思います。
 国のスポーツ振興政策として捉えたときに、大会開催がゴールではなくてスタートという意識を強く持つことが大切だと思っておりまして、ぜひ、国策としてのスポーツ振興あるいは生涯スポーツの確立につなげていただきたいと考えております。
 今回の来年度の概算要求の中でレガシーを構築するような予算が見受けられなかったのでございますけれども、二〇二〇年、この大会終了後も見据えての年度ごとの予算づくりということも今後必要になってくるのではないかというふうに考えます。
例 えば、以前にも質問いたしましたが、総合型地域スポーツクラブなど、青少年からトップアスリート、またマスターズ世代まで幅広くスポーツを楽しめる施設環境の充実につなげていくことなど、それぞれの地方また地域が、民間の知恵も取り入れながら、具体的な計画案を事業として提案、実現できるように、政府としても今から考えて取り組むべきだというふうに考えておりますが、その点については何かお考えございますでしょうか。


○久保政府参考人

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、あるいはその前年の二〇一九年のラグビーワールドカップが成功し、あるいは、そのためのいろいろな整備がレガシーとして残ることを考えていろいろな準備をしていく、予算措置をしていくことは大変大事だと思ってございます。
 今後、年度を追ってより具体的な事業を展開していくことになるとは思いますけれども、現時点では、来年度概算要求におきまして、オリンピック・パラリンピック・ムーブメント推進事業ですとか、スポーツによる地域活性化推進事業、あるいは、戦略的スポーツ国際貢献事業、スポーツ・フォー・トゥモロー、こういった事業をスポーツのレガシーとして、箱物というよりはシステム、あるいは世界への貢献という意味でのレガシーを残そうということでとりあえず要求しているところでございまして、引き続き、いろいろなレガシーとなるような事業を検討していきたいと考えているところでございます。



○青木愛

 最後の質問になりますが、昨年暮れに、和食が世界文化遺産に登録をされました。日本の文化のよさが発信されたわけですが、この二つのビッグイベントには世界じゅうから多くの外国人が来日されることと思います。この大会は、日本の文化や芸術、また、物づくりも含めて日本のわざを多数の外国人に知ってもらって、そして理解を深めてもらう絶好の機会にするべきだと考えております。
 大会に合わせた各種イベントの開催や、また、地方にも広く参加を呼びかけて大会を盛り上げる施策をぜひ講じていただきたいと思いますが、最後に下村大臣の御所見をぜひ伺わせていただきたいと思います。


○下村国務大臣

 おっしゃるとおり、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会、東京一極集中を加速させることなく、また、スポーツと文化の祭典とすることによって、全国津々浦々、今までの伝統行事等を含めて活性化することによって、世界じゅうの人々を日本の文化で魅了するような準備をしていく必要があるというふうに思います。
 そのため、二〇二〇年に向けた、地方自治体等と連携して、全国津々浦々で魅力ある文化プログラムを史上最大規模で展開することを目指していきたいと考えておりまして、そのために、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けた関連イベントであるというロゴマーク、これは来年二月にIOCで認証されれば使えるんですけれども、なおかつ、しかしそれは二〇一六年のリオ・オリンピック以降でなかったら実際使えないということですから、実際スタートできるのは二〇一六年のリオ・オリンピック・パラリンピックの後の話なんですけれども、例えば、来年から横浜はダンス・ダンス・ダンスというのを、これは二〇二〇年オリンピック・パラリンピックに向けた準備イベントとしてということで、ロゴマークがなければ、独自に、それはそういうものを主張してされるのは全然問題ないわけです。
 そういうふうにそれぞれの自治体が二〇二〇年をターゲットイヤーとしてやりながら、今までの伝統文化行事、イベントが地域だけで終わっていない、国内からも、あるいは国外からも来ていただけるような、そして御指摘のように、和食を含め、あるいは世界遺産も日本にたくさんあります。こういうことと連動することによって、世界じゅうの方々がオリンピック・パラリンピックをきっかけに日本を訪れるような、観光立国、文化立国も目指してやっていきたいと考えております。



○青木愛

 そうした事前の取り組みも本当に大事だと思っておりまして、ぜひ、多方面からの御活躍を御期待いたしております。質問を終わります。ありがとうございました。