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平成16年3月17日(水曜日)午前9時開議
─第159回通常国会 厚生労働委員会─
本日の会議に付した案件:
『児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)、他』
- 衛藤晟一 委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青木愛君。
- 青木 愛 委員
民主党の青木でございます。
希望どおり厚生労働委員会に所属できまして、大変ありがたく思っております。
きょうが初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、保育士としての経験から、お子様を持つお母様、お父様の声、そして保育現場の声を国政に届けたいと思いましてこの道を志しました。今回、この法案の中で、特に公立保育所の一般財源化という点に絞り、質問をさせていただきます。
まず、本題を議論する前に、その前提となります現状認識についてお伺いいたします。保育所の意義、役割についてどのようにお考えでおられるのか、坂口大臣にお尋ねいたします。
- 坂口 力 国務大臣(厚生労働大臣)
おはようございます。
だんだんと少子高齢化が進んでまいりまして、しかもまた、一方におきましてはいわゆる核家族化が進んでくるといった中で、子育ての社会化ということがだんだんと叫ばれてまいりました。そうした中で、保育所の持ちます役割というのはだんだんと重要になってきているというふうに思っております。
女性の皆さんが仕事と子育てが両立できるように、あるいはまた、それだけではなくて、さまざまな活動をされることに対して保育所が重要な役割を果たすようになりつつあるといったこともあるというふうに思っております。こうした中で、今後保育所と幼稚園とを総合的に考えるようにしていこうというようなことが出てまいりましたのも、また新しい動きの一つではないかというふうに思っております。
今後とも役割はさらに重要度を増していくというのが私の認識でございます。
- 青木委員
おっしゃられるとおり、大変大事な役割を担っているわけですが、今、現状は多くの問題を実際抱えております。
私もこれまで現場におりまして、お母様方からいろいろな声を聞いてまいりました。まず、きょうはそうしたお一人お一人の声を聞いていただきたいと思います。
まず、最も多い声の一つに、保育所に預ける入所条件の緩和を求める声がございます。あるお母さんは、子供を預けたいんだけれども、おばあちゃんがいるために保育に欠けるという形にならず、預けることができません、おばあちゃんが働いていなくても入所できるようにしてほしいと切実に訴えておられました。
保育所の入所には、保育に欠けなければ預けられないという条件がございます。おじいちゃん、おばあちゃんが自宅にいますと、入園することができません。しかし、実際、おじいちゃん、おばあちゃんも、毎日子供の面倒を見るとなると、それも大変な重労働となります。
この保育に欠けるというのは、昭和二十二年の児童福祉法に盛り込まれた文言です。今は時代も変わりまして、働きたいお母さんもふえて、また、社会もそれを必要とする時代となりました。今の社会の現状、地域の実情、今の時代の親の気持ちに合った法律に脱皮してもいいのではないかと考えます。育児にはリフレッシュも必要ですし、子供にとっては集団生活の重要性という点もございます。また、この保育に欠けるというのは、どこか親が責任放棄しているような印象もあって、言葉の響き自体もよい印象を受けないのであります。
とにかく、この入所の規則が大変面倒で、その上、家族構成から仕事の内容から所得まで、家庭のプライバシーの部分まで全部さらけ出さないと入所の手続ができないという状態でございます。このような状況では、とても子供を安心して育てられるという環境とは言いがたいものがあります。都市部と地方では事情も違うかもしれませんけれども、いつでも預けたいときに預けられるという、それぞれの理由で自由に預けられる、そうした空気をつくることがお母様方に子育ての上での安心感を与えるのではないかと考えます。
この保育に欠けるという入所の条件に関しましてどのような御見解をお持ちでしょうか、坂口大臣にお尋ねいたします。
- 谷畑 孝 副大臣(厚生労働副大臣)
おはようございます。
今先生がおっしゃいましたように、保育所における意義というのは、今坂口大臣がお答えをいたしました。やはり共働き世帯もふえておりますし、少子化ということもありますし、ぜひそこを応援したいということで、保育所の意義は非常に大きいと思います。
もう一つは、やはり、就学前教育というのか、そういう観点で、子供たちは子供たち同士で遊んだり学んだり、そういうことによって社会性を学んでくるという、これは非常に大事だと私は思っておりますし、坂口大臣がおっしゃったとおりだと思います。
そういう状況の中で、保育に欠けるという要件があるということでありますけれども、これは、いわゆる保育所における保育というのが、親の就労等の事情によって家庭で養育を行えない子供について、市町村が児童福祉の観点から家庭にかわるものとして実施をする、こういうことが実は基本になっているわけでございます。そういうことでは、おじいちゃん、おばあちゃんと同居している場合だとか、それから専業主婦で子供の養育ができる、こういう場合は遠慮してもらっている、こういう状況だと思います。
もちろん、保護者が居宅外で労働する場合のほか、居宅内労働や求職活動の中であっても保育所を利用できることとされており、少し緩和をしてきておりますし、また、社会のニーズを踏まえたものにということで、短時間の保育をするということも事情によっては可能である、そういうようにして少しずつ緩和をされておるんじゃないかと思います。
今先生おっしゃったように、その問題についてはこれからさらに議論のあるところだということはよくわかっております。
以上であります。
- 青木委員
本当に、保育所へ預けるときの窓口の対応というのは、少しでも条件が合わないとだめですよという空気がありまして、ウエルカムな空気ではないというのがあるものですから、そうした声をお届けをさせていただきました。
今の時代、本当に規則が多過ぎまして、国全体がどこか情緒不安定になっていて、大人も子供も遊びがなくて余裕がありません。こうした規則を取り払うことで、国全体がゆったりと潤って、人間が人間らしく生きられるのではないかとも考えます。
次に、もう一つ、これもお母様方の声なんですけれども、それは、切実に訴えておられます保育料のことでございます。
保育料は前年度の所得に応じて設定されています。お母様方が訴えているのは、保育料を安く、そしてその設定を一律にしてもらいたいという声です。そうした声を幾つか御紹介させていただきます。
ある若いお母さんです。所得に応じての金額の設定はどうかと感じます、子供一人に対する料金は一律であってほしいです、保育料を払うために働いているのかと思うほどです。
また、二人の男の子を持つお母さんです。我が家は自営で、夫の両親と子供二人の六人家族です、世帯の収入全体で保育料が計算されるので、夫の両親の年金なども含めた額で、割と高額の収入があると判断されます、どこの世帯でおじいさん、おばあさんの年金で保育料を払っているうちがあるのですか、若い人の負担って本当に多いんです、お願いだから一律にしてほしいです。
また、看護婦をされているお母さんです。保育料が高過ぎます、みんな生活水準を少しでも高くしようと共働きしたり、また継続してきた職業に対し生きがいややりがいを感じて母親になっても働いています、しかし、子供が多ければ多いほど保育料が家計を占める割合が高くなり、生活水準を上げるどころか保育料にどんどんとられてしまう、今の保育料がいつ設定されたかわかりませんが、いまだに女は家で子育てしていろとでも言っているかのようだと。
このように、まだまだたくさんの声がございます。
結局、保育料を払うために働いているようだと。それならば、働かないで家で子供を見ていても変わらない。しかし、女性も生きがいを持って働きたい時代です。子供のためにも頑張れるのです。頑張った分だけちゃんとお金が残れば、生活に少しでもゆとりができて、またやる気も出てきます。頑張った者が報われる一律の料金設定にしてほしいというのは当然の声だと私は考えます。こうした声に対しまして、お言葉をいただきたいと思います。
- 谷畑副大臣
先生は保育士としての経験を含めて、また、そのことについて学ばれたというように聞いておるわけであります。
保育料を均一化、あるいは統一して、負担を軽い感じで、だれでもが入所できるように、そういう御質問だと思うわけであります。
私も、四十二歳で参議院議員として国会へ来させてもらったんですけれども、私、子供を保育所に預けるときに初めて参議院議員という証明書をもらって行ったわけですけれども、当時もちろん共働きでしたし、私の家内も保育所の保母さんとしてこの間まで働いておりましたのでよくわかるわけですけれども、一番高い料金を払ったというふうに思います。
御存じのように、やはり保育にかかわる料金といいましょうか、保育所を建てたり、土地を買ったり、あるいは保母さんを雇ったりして、そして一定程度の基準もありますから、それを維持していこうとすれば、一人当たり、地域によっては十万円かかるところもあるし、四万円かかるところもあるし、一人の保育児に対して。だから、このことを、もちろん保育所に通わないたくさんの国民の皆さんもおられるし、そういう状況の中で税金を投入しているわけですから、一律ということは非常にいいんだけれども、やはりそれなりの負担というのか、をすることによってまた次の人たちが入所できる、そういう条件もつくっていかなきゃならないということで、いわゆる実際にかかった保育の費用を基礎として、保育料を徴収した場合の家計に与える影響をしっかりと考慮して、そして児童の年齢等に応じて定めておるということで、その点はぜひひとつ、また全体が、さらに保育所の社会的な意義というものを理解しながら、そういう形で維持できるような感じで今は来ておるということを理解していただきたい、このように思います。
- 青木委員
うちの方の地元のお母さんの声を聞きますと、やはりどうしても働いた分だけがそのまま本当に保育料にとられてしまうぐらいの設定なんですよね。ですので、これは本当に何とかならないものかなというのは切実な声なんですけれども、ぜひその声はお聞き届けいただきたいと思います。
本当に少子化に歯どめがきかないという理由に、この保育料の問題というのは本当に大きな問題だと私は考えています。お母さんの考えとしては、子供一人じゃかわいそうだから二人までは何とか産もうということで、でも三人となると今の環境ではとても無理だというところではないかと思います。今の保育料の設定では、言ってしまえば、もう子供を産むなと言っているくらいの料金設定ではないかと思います。
女性がどんどん働いても、どんどん子供を産んでいけるような、そうした安心できる環境づくりが今となっては必須だと考えております。少子化を本当に憂うのであれば、私は、少々乱暴な言い方かもしれませんけれども、保育料を無料にするくらいのはっきりとしたわかりやすい政策を打たなければ、現状を打破できるとは到底考えられません。どうか、こうしたお母さん方の声を政策の方に反映してくださいますよう、心からお願い申し上げます。
続きまして、もう一点。これはある市の、保育所を経営されている園長先生の声です。これも、やはり腑に落ちないなという声なんですけれども。認可保育所は保育単価という、何歳の子供一人入所につき幾らという措置費をいただいて運営しています。基本的には保育所はほかに収入はございませんので、この措置費で運営しているわけなんですけれども、その先生がおっしゃるのは、この保育単価が地域によって格差があるということです。特別区、特甲地区、甲地区、乙地区、丙地区と、五つの地区に分かれております。それぞれ保育単価が違います。
この保育単価の半分以上は人件費、そのほか、子供にかかわる保育材料費、給食費などに使われているわけなんですけれども、保育士の仕事は、子供の命を預かる仕事ですから、神経も使いますし、赤ん坊をおぶえば腰も痛めます。その労力というものは決して地域によって異なるものではないと考えますけれども、この点につきましてどのような御認識をお持ちなのか、お尋ねいたします。
- 伍藤忠春 政府参考人(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)
お尋ねの保育単価と申しますのは、市町村から保育所に児童一人当たりの費用としてお支払いするものでございますが、その積算の基礎になっておりますのは、保育所でどれぐらい費用がかかるかということでございまして、保育所の費用は、先生御指摘のように、人件費が大体七五%ぐらいでございます。
その人件費をどういうふうにそれぞれの保護者に負担をしていただくかということで割り戻して保育単価というのを設定しているわけでございますので、この人件費をどう積算するかというところにかかってくるわけでありますが、この人件費を考えますときに、一応私ども、保育士の人件費を、国家公務員の給与が大体全国を五地域に分けて、それぞれの地域の必要経費といいますか生活費等を勘案して設定をされておりますので、それと同様の考え方で、例えば東京都の特別区が一番人件費の高い地域ということで設定をいたしまして、五区分にして、それをその費用として設定をしておるところでございまして、そういった実情からいたしますと、こういった地域区分に基づいて保育単価を設定しておるということも、実態を反映した合理的な措置ではないかなというふうに私どもは考えているわけでございます。
- 青木委員
この保育単価には、人件費のほかに、保育にかかわる費用も当然含まれているわけで、それは子供にかかわる費用なわけですけれども、同じ子供でありながら保育単価に差があるのはおかしいという、そうした現場の声があることはお届けしておきたいと思います。
それでは、これから本題に入らせていただきます。
こうした厳しい、まだいろいろな問題点を含む保育現場なんですけれども、今回、なぜ公立保育所の一般財源化という改正を行ったのか、まずその点についてお伺いいたします。
- 伍藤政府参考人
公立保育所の問題につきましては、保育所の中でも公立ということで、これは自治体がそれぞれの議会の議決に基づいて、条例により設置をしておるものでございます。こういった性格にかんがみまして、自治体みずからが設置、運営する施設でございますから、みずから財源をすべて負担していただくということも一つの理にかなった方法ではないかなということで、公立保育所については一般財源化をするということにしたわけでございます。
そういった観点から、必要な財政措置を講じて、きちっとした形で財源移譲いたしますれば、当然のことながら、みずからの責任で運営をしていただけるというふうに私どもは考えまして、公立保育所について一般財源化をしたものでございます。
みずから設置、運営するものについてみずからが負担をするということが、大きな流れであります地方分権とかあるいは自治といったものにもある程度かなった方向の決定ではないかなというふうに考えておるところでございます。
- 青木委員
ある役所の課長さんは、地方自治、分権は好ましいことではあるけれども、財源措置をしっかりしていただきたいということをおっしゃっていました。まだ詳細が全然わからなくて、不安を抱えているということであります。恐らく二割カットぐらいの財源になるのではないかという予測を立てられておりまして、保育水準を維持するために地方自治体の独自財源で措置する以外になくて、財源対策に今から頭を痛めているという声もございます。
また、市民の皆さんには、こうした政策によりまして、また保育料の値上げにつながるのではないかという心配の声がございます。財政が厳しい市町村では、運営費の一般財源化は保育料アップの要因になると当然考えられています。実際、保育料の値上げをしているところも出てきております。このような状況について、どのようにお感じになっておられますでしょうか。
- 伍藤政府参考人
保育所の利用料につきましてでございますが、一応、これまでは、国が定める保育所徴収金基準額表というものがございますが、これを踏まえて各自治体が、家計に与える影響などを考慮して、それぞれ独自に条例で定めてきておるものでございます。
公立保育所について、これが一般財源化された後にどうなるかということでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、適切な財源措置がなされるということを前提に考えますと、一般財源化された後に保育料が上がる、上げざるを得ないということはないと思っておりますし、民間保育所についての先ほど言いました保育所の徴収金基準表というのは、引き続き今後とも存続するわけでありますから、これを一応参考に各自治体で保育料を設定していただくということに事実上はなろうかと思いますので、そういったことからいたしますと、今回の一般財源化を機に保育料の水準が大きく変動するということはまずないというふうに考えております。そういった観点から、保育水準の低下といったようなことにつながるというようなことはないものというふうに考えております。
- 青木委員
しかし、実際、保育料がもう既に上がっているところが千葉県の中でもございます。これまでも、やはり、国の基準よりも、お母様方の声に合わせて、市町村が補てんをしまして、少し保育料を下げているような状況で今までもやってきていまして、このような状態ではまたさらにそうしたところにしわ寄せが来るのではないかという声はございます。
また、こういう、一般財源化することによりまして、今まで公立保育所でも土曜日も午後を開所したり、平日も夜八時ごろまであけたりという、そういった努力をしているところもありまして、今の保護者のさまざまな延長保育ですとか休日保育といった保育ニーズに合わせてそうした体制を整えてきているところもあるんですけれども、まずこうした特別保育サービス、プラスアルファの部分、そういったサービスの低下が懸念されているんですけれども、その辺についてはどうなんでしょうか。よろしくお願いします。
- 坂口国務大臣
一般財源化をするということは、これは、各自治体も御希望のことでありまして、どうしてもやはり、そこはそういうふうにしてほしいというふうに皆さん方も強い願望をお持ちになっている、そこに財源をどう配分するか、財源をどう自由に使えるようにするかということがもう一つ大事な論点だというふうに思っております。
ことしスタートでありますから、多少試行錯誤のところもございますけれども、しかし、この保育に関しましては、先日も総務省の方から御答弁いただきましたとおり、この譲与税というものをつくっていただいて、そして、それで保育の財源は確保できるようにしている、優先的に確保できるようにしている、こういうお話がありまして、私もそこは心配をしながらこの一般財源化に踏み切ったわけでありますけれども、そこのところは私は総務省のお話を信頼申し上げておるところでございます。
したがいまして、それぞれの地域でさまざまな保育に対する取り組み、他の市町村ではやっていないようなことをやったりといったような特徴あるやり方というのをおやりいただいているところが確かにあるわけでありまして、私は、そうした自由度ということがこれからもふえていくということが一番好ましいことだというふうに思っております。
したがいまして、そういう自由度が大きくなるような方法をこれから我々も模索していかなければならない、そういうお手伝いをしていかなければならない、そう思っているところでございまして、恐らく、この一年間あるいは一年半の間に今後の財政的な問題につきましてもさらに一層明確化されていくものと思っております。
- 青木委員
地域の実情に合ったというのは、私も一方では大変いいことだとは思うんですけれども、財源をどういうふうに確保できるかという、確かにそういった不安がありまして、こういう保育ですとか教育ですとか、そういう子供にかかわることですので、なぜこの保育に関係するところ、教育に関係するところから一般財源化が始められたのかなというところが私の考えとしてはございます。
保育所に入所している子供たちには、健常児だけではなくて障害を持ったお子さんもいらっしゃいます。そういったお子さんが、今後、養護施設の方に預けられてしまうのではないかという声もございます。障害を持つ子供は、やはり健常児と一緒に生活させることが大事であります。手間暇のかかるというか、そうした子供を受け入れる余裕がなくなるのではないかという現場の声があります。現場でも、そうした子供たちへのかかわりというのを自分たちの課題として一生懸命取り組んでいるところもございますので、何かこういう、赤字とか黒字とか、そういう財政的なもので判断するところではない部分のような気がしておりまして、そうした教育、保育の理念というのがどこへ行ってしまうのかなという懸念の声がございます。
地方分権と言いながらも、やはり財源カットにすぎないのではないか、少子化対策推進の流れに逆行しているのではないかと思われます。
平成十五年七月に次世代育成支援対策推進法が成立しまして、市町村は十カ年の子育て支援の行動計画の策定が義務づけられました。今各市町村の職員の方々は、大規模なアンケート調査を行うなどして、この行動計画を立てるべく頑張っておられますが、保育というのは次世代育成の根幹であります。市町村にこうした計画を策定しろと言っておきながら、同じ時期に、予測されます財源カットというのはどういうことなのかという声もございます。これに関しましては、どのようにお答えいただけますでしょうか。
- 伍藤政府参考人
次世代の行動計画、十六年度末までに策定をすることになっておりまして、現在各市町村ではどういった項目を盛り込んだらいいかといったことを住民からニーズ調査を今やっておるところでございます。作業はおおむね順調にいっているように聞いておりますが、その中で、私ども、こういった事業はどうかということを十四事業ということでモデル的にお示しをしておりますが、それは国庫補助がついたような事業もありますし、そうでないものもあるわけであります。それから、そういった事業以外にも、各市町村で独自に単独事業で取り組んでいただきたい施策もいろいろあろうかと思います。
そういったことで、必ずしも国庫補助がついている事業をこの計画の中で推進するという趣旨ではございませんので、それは、それぞれの事業の性格に応じて、国庫負担がついておったり、地方が独自にやったり、いろんな形のものがあるわけでありますが、ここで期待しております地方の行動計画といいますのは、そういったことも含めて総合的に市町村で何をやるべきかということを御判断いただきたいということでございまして、例えば、NPOの活動をその中に盛り込むとか、あるいは子育てにシニアの経験とかそういうものを生かす、ボランティアのことを取り込むといったようなことも十分期待されるわけでありますが、そういった総合的に地域の総合力を生かしたような計画をぜひおつくりいただきたいというようなことを期待しているわけでありますので、財源措置の問題とこの公立保育所が一般財源化されたということが、この市町村の行動計画に、直接その意欲に水を差すというようなことにはならないように私どもはしたいと思いますし、そもそも計画というのはそういうことを期待しておるわけでありますから、財源措置ということは全く関係ないものではございませんが、そういった全体の状況を踏まえて、その地域に応じた計画をぜひおつくりいただきたいというふうに考えているところでございます。
- 青木委員
市町村の方でもいろいろな御意見はあるかとは思いますけれども、口は出してお金は出さないといいますか、そういったふうに感じておられる方もたくさんいらっしゃいます。
今後、十六年度、十七年度、十八年度で四兆円カットと聞いていますけれども、この先、また民間保育所にもこうした政策が及ぶのではないかという不安の声もございます。今後、この保育に関しましてどのような見通しを持っておられるのかを教えてください。
- 坂口国務大臣
今回の一般財源化の中でも、私立の保育所の問題、どうするかという話が問題になったことは事実でございます。
いろいろの議論がございましたけれども、結論といたしましては、私立の保育所と、それから公的な保育所との間には、経営主体が全く違うわけでありますし、そこにおのずから違いがある。公的な保育所は、お勤めになっている皆さん方も公務員の皆さん方でございますし、人件費というものも安定している。そうした中で、私立の保育所の皆さん方というのは、現在でもなお厳しい財政の中で非常に健闘していただいている。そうした全体の状況を考えますと、私立の保育所にこの範囲を拡大することは望ましくない、こういう結論に達したわけでありまして、今後も、ここを拡大していくという気持ちは全くありません。
- 青木委員
数年前ですけれども、少子化対策としまして各認可の保育所に数百万円からの一時金がおりました。ありがたい話でもあるんですけれども、あるところではそれが事務机になったり滑り台になったりとしたそうなんですけれども、とてもそれが少子化対策につながったとは考えられないというのが現場の声であります。そうした一時的なことに予算を使うのではなくて、もっと本当に少子化対策につながるような政策を考えるべきだと思います。
厚生労働省の平成十五年度予算を見ますと、社会保障関係費十八兆八千二百九十一億円のうち保育所運営費は四千二百二十億円で、全体の二・二%です。平成十六年度は、この一般財源化によりましてさらに減りまして、一・四%となりました。子育ての環境は決して恵まれてはいません。先ほど言いました保育料の無料化というのも、決して現実味のない話だとは言い切れないと感じています。保育料は、保育所運営費の約半分を保護者が負担するという計算で設定されています。市町村それから県の負担金も考えて、その倍の倍と考えても、ほかにかかわる費用に比べたらまだまだ子育てに関するこの予算というのは少ないと思いますので、保育料無料といかなくても、もっとお母さんの声に近づけることはできるのではないかと考えております。
何か目の覚めるような、この今の空気をがらっと変えるような、本当にわかりやすい、はっきりとした政策を打つことで少子化に歯どめをかけていかなければならないと本当に考えております。こうした可能性についてお聞かせください。
- 坂口国務大臣
社会保障費の中で高齢者の方に多くの財源が使われていることだけは、これはもう紛れもない事実でございまして、よく言われますように、社会保障給付費の中で約七〇%は高齢者に使われている、そして乳幼児を初めといたしました児童に対しましては数%の段階にとどまっている、そんなことがよく言われるわけでございます。これは統計のとり方その他にもよりましていろいろの数字が出てまいりますけれども、全体として見れば、いわゆる高齢者の方を非常にきめ細かく今までやってきたということは事実でございます。
初めにも申しましたとおり、子育ての社会化ということがだんだんと進んでまいりましたし、これからさらに進むんだろうというふうに思っております。その中で、どのように財源を確保していくかという問題が大きな問題になってまいります。国全体といたしましても、それじゃ高齢者の問題は今までどおりに置いておいて、乳幼児や児童のところをさらにここを大きく拡大していくということもなかなか困難な問題でございます。全体として、この乳幼児のところの財源をどう確保していくかということでございます。この数年でございますけれども、この分野が今までほとんどなかったところがかなりふえてきたことは事実でございますし、今後、またここは今まで以上に充実をされていくものというふうに思っております。
その財源を含めまして、いよいよ本格的に、この社会保障全体の中で子育てをどう位置づけ、そしてその財源を確保するかということの議論、いよいよ本格化するというふうに思っておりまして、この一、二年というのは、そうしたことに対する一つの結論を出す時期に来ているのではないかというふうに考えている次第でございます。
- 青木委員
高齢者の方々への手当ても確かに大事かとは思われますけれども、保育とか教育、こうした子供政策をむしろ手厚くすることが、いずれ経済の活性化、また高齢者の方々を支える力にもつながっていくのではないかと考えます。今後もまた、地域の生活者の声に耳を傾けて、積極的に真摯に耳を傾けてくださいますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
- 衛藤委員長
この際、暫時休憩いたします。
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