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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成28年12月1日 国土交通委員会

本年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故を踏まえ、貸切バス事業の許可に係る更新制の導入、事業者等の欠格事由の拡充、監査機能の強化と自主的改善の促進に向けて民間指定機関が巡回指導等を行うための負担金制度の創設等の措置を講ずる「道路運送法の一部を改正する法律案」について、これまでの政府の取り組みや行き過ぎた規制緩和について。利用者が安全な事業者を選択する事ができるための情報の見える化等について質問いたしました。



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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。
 私からも早速質問に入らせていただきます。
 本年一月十五日、長野県軽井沢町の国道十八号で、スキー客三十九人を乗せた大型バスがガードレールを突き破り転落し、大学生十三人と運転者二名の計十五人が死亡、二十六人が重軽傷を負う大惨事となりました。二〇一二年四月二十九日には、乗客七名が死亡、三十九名が負傷する関越道高速ツアーバス事故が発生、二〇〇七年二月十八日には、スキーバスがモノレールの橋脚に衝突し、死者一名、負傷者二十六名を出すあずみ野観光バス事故がありました。
 重大事故が発生するたびごとに、悲惨な事故を二度と起こさない強い決意の下に対策を講じてきたにもかかわらず、本年一月の大惨事が発生いたしました。今までの対策で一番欠落していたのは何だったのでしょうか。また、今回の法律改正を伴う対策で今後は同様の事故が二度と起こらないと言えるのか、まずお答えいただきたいと存じます。


○石井国土交通大臣
 
 平成二十四年四月の関越道高速ツアーバス事故を受けまして、国土交通省といたしましては、平成二十五年に高速・貸切バスの安全・安心回復プランを策定をいたしまして、交代運転者の配置基準の見直しや、安全コストを反映した新たな運賃・料金制度の導入等、貸切りバスの安全対策を強化する措置を講じてまいりました。
 このような対策を講じてきたにもかかわらず、本年一月に軽井沢スキーバス事故が発生をいたしました。国土交通省としましては、このことを極めて深刻に受け止めておりまして、貸切りバスの安全、安心な運行の確保のために改めて抜本的な対策を取る必要があると考え、今回の道路運送法改正案の提出に至ったところでございます。
 まずは、本法案に盛り込まれた措置を含めまして再発防止のための総合的な対策を速やかに実施に移すことにより、貸切りバスの安全運行に関する遵守事項の強化徹底、ルール違反の早期是正、不適格者の排除等を進めてまいります。
 その際、時間の経過とともに安全、安心の確保の重要性についての認識が薄れないことにすることが極めて重要であると考えております。経営者を対象とした運輸安全マネジメント、効果的な監査や許可更新の審査等を継続的に実施をし、安全、安心の確保に向けた不断の取組を行っていく所存でございます。


○青木愛

 やはり、これまでのそのたびごとの対策が中途半端であった、利用者の安全確保に対する覚悟が足らなかったと言わざるを得ません。
 小泉内閣時代に規制緩和が進められまして、貸切りバスは二〇〇〇年二月に、乗り合いバスは二〇〇二年二月に、需給調整規制の廃止等を内容とする改正道路運送法等が施行されました。法律案が審議されました一九九九年の議事録を確認いたしますと、規制緩和がもたらすメリットと危険性が審議されていました。
 貸切りバス事業者は当時からほとんどが中小企業であり、単に参入規制を撤廃するだけでは、競争原理のプラス効果が現れるよりも、経営の健全化や、安全性を遵守しない事業者が増加をする。貸切りバス事業者と旅行業者との関係において強い立場にある旅行業者が激安ツアーを企画するため、バス会社の収支が厳しくなる。バス会社はもうけが少なくなる分、人件費の削減と安全のための経費を削る。その結果、運転者の労働条件は悪化し、利用者の安全がどんどん犠牲になる。このようなことが当時国会で審議され、有識者も指摘をされていました。それに対して、当時の所管大臣は、安全の確保については譲りません、安全管理の問題でありますので、損なわれることがあってはならないと御答弁されています。
 その規制緩和によって、バス事業者は、二千三百三十六社から二〇一四年には四千四百七十七社に約倍増し、それに伴い経営状況が厳しくなり、その後の事故を誘発したと考えます。当時指摘されていました懸念事項に対して、政府が真剣に対処してきたのか疑問が残るところでございます。
 経済的規制を緩和し経済活動の自由化を進めれば、消費者や利用者の安全性や労働者の労働条件がないがしろにされる危険性が伴います。規制緩和に関しましての大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。



○石井国土交通大臣

 貸切りバス事業につきましては、これまで需給調整の廃止や運賃等についての規制緩和を行ってきたところであります。これらの措置は、サービスの多様化など利用者の利便向上という点で成果を上げていると認識をしております。一方で、安全、安心なサービスの確保は最重要の課題であり、これらの規制緩和は安全に関する規制を緩和したものではございません。
 平成二十四年四月の関越道高速ツアーバス事故を踏まえ、安全規制の強化を行ってきたところでありますが、それにもかかわらず、本年一月には軽井沢スキーバス事故が発生をいたしました。
 国土交通省といたしましては、この事態を深刻に受け止め、これまでの安全対策を改めて抜本的に見直し、六月に総合的な対策として取りまとめを行ったところであります。既存事業者、新規事業者を問わず、安全確保のための措置を十分に講じないまま事業を行うことがないように、事前事後のチェックを厳しく行った上で、不適格者については事業からの退出を求める厳しい姿勢が必要であると考えておりまして、今回の法案の内容もそれを踏まえたものとしているところでございます。
 国土交通省といたしましては、こういった悲惨な事故を二度と起こさないよう、貸切りバス事業者に対する安全規制を改めて徹底していきたいと考えております。


○青木愛

 私は規制を緩和をして自由な経済活動を促進することをプラス的に評価をしておりますけれども、その自由競争は消費者や利用者の安全、安心を保障するものでなければなりません。国民が正しく選択できるよう、十分な情報公開も必要でございます。公正な競争が絶対的な前提条件でならなければならないと考えております。
 次に、この情報公開についてお伺いをさせていただきます。
 今年六月の三日に有識者から提案されました安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策の中に、利用者に対する安全情報の見える化という項目がございます。安全確保を第一とする規制強化とともに、利用者が旅行会社やバス会社を正しく選択するための情報公開は極めて重要なことです。このことに関して本法律案にはどのように盛り込まれていますでしょうか。
 また、貸切りバス事業者の処分歴に関しまして、既に国土交通省のホームページで公表しているとのことですが、それがどこにあるのか見付けるのが困難でございます。また、処分内容につきましても、まさにお役所的な文章で、一般の利用者が見て分かりやすい、そうした表現方法にはなっておりません。是非利用者にとって分かりやすい見える化の工夫と充実が必要だと思いますが、この見える化についての対策、今後の計画を含めて御答弁をお願い申し上げます。



○末松国土交通副大臣

 青木先生御指摘のとおり、利用者による選択を通じて貸切りバスの安全性の向上を促すことは大変重要であると考えております。このため、六月の総合的な対策におきましても、貸切りバスの安全性に関連する情報を利用者に的確に提供するための見える化を推進することを基本的な考え方の柱の一つとして掲げてございます。
 具体的には、貸切りバス事業者における先進安全技術の導入状況、セーフティバス認定の取得状況といった安全情報について貸切りバス事業者から国への報告を義務付けるとともに、国はこれを集約してホームページ等で公表することとされています。その上で、特に重要な情報につきましては、旅行業者や旅行企画サイトの協力を得て、パンフレットやホームページ等への掲載を通じて利用者への周知を図ることとされております。
 国土交通省は、これを受けまして、貸切りバス事業者から報告された安全に関する情報を年内にも取りまとめ、公表する予定であります。また、国土交通省の働きかけにより、既に複数の旅行業者が安全情報のパンフレットやホームページへの掲載を開始しているところであります。今後とも、貸切りバス事業者への安全、安心の確保に関する取組内容につきまして、利用者が情報を入手しやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと思っております。
 先生の御指摘で、非常にお役所言葉が多いんじゃないかとかいろんな御指摘、しっかりちょっと見て、また自動車局とも相談しながら、大臣とも相談しながら対処してまいりたいと思います。


○青木愛

 是非利用者の立場に立った情報公開のほどよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
 さらに、この総合対策には、ランドオペレーターを含む旅行業者に関する項目がございます。しかし、今回の法律改正ではそのことが明記されておりません。バス会社に無理な価格を押し付けていたのは旅行業者だというふうに思っておりますが、この旅行業者に関する法律改正は来年度に検討すると聞いております。
 先延ばしした理由と、そして現時点で考えている改正内容についてお聞かせください。



○田村観光庁長官

 観光庁におきましては、平成二十八年六月の軽井沢スキーバス事故対策検討委員会の総合的な対策を受けまして、旅行業界、バス業界及び専門家から成る第三者委員会を八月末に設置をいたしまして、過大な手数料による実質的な下限割れ等の違法性をチェックする体制を整備しましたほか、バスツアーのパンフレットに貸切りバス事業者名等を記載するように通達を改正するなど、できるところから鋭意再発防止策を講じてまいりました。
 ランドオペレーターにつきましては、国内旅行の安全確保という問題に加えまして、訪日外国人旅行の中で、一部の業者において高額なキックバックを前提とした土産物屋への連れ回し行為などが見られることもありまして、総合的な規制の在り方を検討することが必要になっております。
 そして、この旅行業者の依頼を受けてバスや宿泊の手配を行うランドオペレーターというのは、これまで旅行業法の対象外でございました。規制の検討に当たってその実態を把握することも必要不可欠でございます。このため、先般、この実態調査というものも行いまして、ある程度その実態が把握できたということも踏まえまして、十月六日より有識者を構成メンバーとする新たな時代の旅行業法制に関する検討会を立ち上げて、現在、ランドオペレーターの業務の適正化を図る具体的な制度設計に向けて精力的に検討を行っているところでございまして、年内を目途にこの取りまとめを行いまして、次期通常国会に関連法案を提出する方向で検討を進めてまいります。


○青木愛

 最後に、もう一点質問させていただきます。
 今回、規制を強化した場合、これまできちんと法令を遵守し、安全運行と創意工夫あふれるサービスの提供に努めてきた優良会社に対しましても一律に厳しい規制が掛かることになります。頑張っているところには、例えば税制上の負担軽減など、何かプラスのインセンティブを掛けるような配慮が必要なのではないかと考えておりますが、この優良企業についての配慮、この点について御答弁をお願い申し上げます。



○藤井直樹自動車局長

 お答えいたします。
 六月の総合的な対策におきましては、事業許可の更新制の導入あるいは監査業務の見直しに当たりまして、優良と認められる事業者に対する負担軽減など、法令を遵守して安全運行と創意工夫あふれるサービスの提供に努めている多くの貸切りバス事業者に十分配慮した上で、実効性と納得感のある制度設計を行うべきであるとされているところでございます。
 これを踏まえまして、今回、不適格者の排除を現実に行える体制を整備するに当たりまして、客観的に安全性や法令遵守の実績が優良な事業者につきましては、国による監査や適正機関による巡回指導の頻度の軽減、あるいは事業許可の更新時における申請書類の簡素化、こういった優遇措置を検討しているところでございます。これによりまして、優良な事業者に過度な負担を掛けないように配慮するとともに、安全性の向上へのインセンティブを設け、実効性のある再発防止策を講じてまいりたいと考えております。


○青木愛

 是非、これまでのような二度とこうした悲惨な事故を起こさないという覚悟で、石井大臣始め国土交通省におかれましては、利用者の安全確保を第一としてしっかりとお取り組みくださいますように切にお願い申し上げまして、質問を終わります。














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