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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成29年4月11日 国土交通委員会

海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案について




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。
 先ほど来各委員の先生方からお話ございましたけれども、外航海運は、周囲を海に囲まれ資源の乏しい我が国の経済活動と生活物資の輸送には欠かせない基幹的な輸送インフラであります。現在、貿易量の九九・六%を海上輸送が担っています。
 そのような背景の下で、日本の造船建造量は、二〇〇一年までは世界一を誇っておりましたが、現在では中国と韓国に抜かれ世界三位、シェアは二〇%に落ちました。外航日本人船員の人数は、プラザ合意時、一九八五年の三万十三人から激減をし、二〇一五年では二千二百三十七人となりました。日本商船隊も、日本籍船の、一九七二年の一千五百八十隻から二〇一五年には百九十七隻に落ち込んでおります。
 そこで、まず質問をさせていただきます。
 日本国籍の船舶、また日本人船員がいなくても、運賃さえ支払えば運送を引き受ける船舶は世界中どこにでもあるという意見もございます。
 日本籍船及び日本人船員の確保について、まず国交省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。


○石井啓一国土交通大臣

 委員御指摘のとおり、四面を海に囲まれた我が国にとりまして、貿易量の九九・六%を担う外航海運は我が国経済そして国民生活を支える基盤として極めて重要であります。
 我が国における安定的な国際海上輸送の確保を図る上で、日本船舶、日本人船員はその中核となるべき存在であります。さらに、日本船舶、日本人船員は我が国の管轄権が排他的に及ぶため、経済安全保障の観点から通常時より一定規模確保することが必要であるほか、海上輸送の安全性の確保、操船技術等、海技の世代間の安定的伝承等の観点からも重要な意義がございます。このため、日本船舶、日本人船員を確保することは大変重要な国家的課題であると考えております。



○青木愛

 ありがとうございます。
 経済安全保障の観点から、非常時において安定的な海上輸送を確保するため、日本籍船及び日本人船員の確保が必要だという認識をまず確認をいたしました。
 まず、非常時についてお伺いをしていきたいと思います。
 航海命令が発せられる場合とはどういう事態をいうのでしょうか。テロや政変等で治安が悪化した場合、例えば朝鮮半島での不測の事態、現実味を帯びているやに思いますが、邦人救出、輸送の必要が発生した場合、どのように考えたらよろしいのでしょうか。また、航海命令に従うことにより損失が発生した場合、経済的な損失については補償されておりますけれども、航海命令を受けて万が一危険地域への航行によって船員が負傷、あるいは最悪の場合死亡した場合に対する補償等はどうなっておりますでしょうか。


○羽尾一郎 海事局長

 お答えいたします。
 海上運送法第二十六条第一項におきまして、災害の救助その他公共の安全の維持のため必要であり、かつ、自発的に当該航海を行う者がない場合又は著しく不足する場合におきまして航海命令を発することができると、こういうふうにされております。
 具体的に、災害の救助その他公共の安全の維持のため必要である場合といたしましては、一つに、国内において自然災害、事故等が発生した際、外国から緊急物資を輸送する場合、二つに、外国で災害、紛争等が発生した際にマラッカ・シンガポール海峡等が通航不能となり貿易物資の輸送に支障が生じる場合、三つに、外国において災害、治安悪化等が発生した際に安全な地域に邦人を避難させる場合などを想定しており、御指摘のような有事における海上輸送は航海命令の対象としては想定しておりません。
 また、危険地域を航行したことによる損失補償につきましては、海上運送法第二十六条第二項において船舶及び船員の安全に配慮しなければならないというふうにされておりますことから、そのような事態はおよそ想定されないものと考えております。



○青木愛

 ありがとうございます。
 先ほど大臣の御答弁にもございました海上運送法第二十六条の第二項に船舶及び船員の安全の確保が明記されているわけでありますので、これは極めて大臣の適切な判断に懸かってくるというふうに思いますので、その点を指摘をさせていただきたいというふうに思っております。
 もう一点、併せてお伺いいたしますけれども、この航海命令を船舶運航事業者あるいは船長、船員は拒否できるのでしょうか。また、拒否した場合の罰則規定などはありますでしょうか。


○羽尾一郎 海事局長

 お答えいたします。
 まず、船舶運航事業者が航海命令に違反した場合には、海上運送法第四十九条の規定により罰則が適用されます。一方、航海命令に係る船舶への乗組みを船員が拒否したとしましても、船員に対して乗組みを強制する制度や、乗組みを拒否した船員に対する罰則はございません。



○青木愛

 ありがとうございます。以上の点をまず確認をさせていただきました。
 次に、平時における日本籍船についてお伺いをいたします。
 日本は島国であり、貿易立国との宿命を重視しますと、国内企業間の税の公平性に配慮したとしても、それ以上に、海運の国際競争力の向上というものは日本国の存亡を左右する極めて重要な案件だと考えております。日本籍船を一定数確保するためには、トン数標準税制の拡大は当然のこと、先ほど住民税の軽減のお話もございましたけれども、あわせて、登録免許税あるいは固定資産税の減免、また行政手続の利便性の向上など、更なる支援策を強化すべきだと考えておりますけれども、国際競争力に耐え抜くための総合的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。


○石井啓一国土交通大臣

 我が国貿易量の九九・六%を担う外航海運は、経済、国民生活を支える重要な基盤であり、世界単一市場において厳しい競争下にある中で、安定的な国際海上輸送の確保を図ることは極めて重要であります。
 例えば、パナマ、リベリア等諸外国の外航船舶の登録免許税及び固定資産税は、非課税又は手数料並みが主流となっております。これを踏まえまして、我が国におきましても、二〇〇九年、平成二十一年度からトン数標準税制を導入したほか、国際船舶につきましては登録免許税率を千分の四から千分の三・五に、固定資産税の課税標準を六分の一から十八分の一にそれぞれ軽減する措置を講じて、日本船舶の増加を図っております。
 また、パナマやリベリアでは、登録船舶の増加を図るため、行政手続負担を軽減するための取組を積極的に実施していることを踏まえまして、我が国におきましても、例えばポートステートコントロールを受けた際に、日本政府の確認を求められる場合に備え、休日、夜間の緊急対応窓口を開設する等、日本船舶の保有に係る行政手続の負担軽減を図っているところでございます。
 いずれにいたしましても、海外の動向を踏まえ、安定的な国際海上輸送の確保を推進してまいりたいと存じます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 徐々に少しずつ努力をされているということであります。海運の国際競争力向上は極めて重要なことと思いますので、引き続きの御検討を是非お願いしたいというふうに思います。
 次に、先進船舶導入計画について、最後お伺いをいたしたいと思います。
 海上ブロードバンドの普及やビッグデータの解析と活用によって、より安全な船体の設計、また安全で効率的な運航、船員の負担軽減が可能となります。また、LNGを燃料とする環境負荷の少ない船舶の建造など、先進船舶導入計画は積極的に進められるべきだと考えております。
 先進船舶導入等計画の認定を受けますと、補助金の交付を受けることができます。平成二十九年度の予算を見ますと、一億二千五百万円とされています。まずは調査費ということであります。調査費ということでありますけれども、今後、計画の認定を受けて、研究開発や先進船の製造の段階になりますと、これでは補助額が少ないというふうに思います。今後、補助金の規模拡大が必要ではないかと考えております。ましてや、申請手続に必要な費用、また準備書類が、この申請者である船舶運航事業者に過度な負担となるという指摘もございます。
 今後の先進船舶の推進、また導入推進に向けて、事業者にとっても見通しが立つように更なる予算確保が必要だと思いますけれども、この今後の予算確保につきまして、石井大臣の御決意を最後に伺いたいと思いますが。


○羽尾一郎 海事局長

 お答え申し上げます。
 御指摘の予算につきましては、この法律案により導入されます先進船舶の研究開発、製造、導入を促進する制度に基づきまして実施される研究開発に対しまして給付されるものでございます。具体的には、航海データや気象情報を分析し、最適な航路選定により経済的な運航を可能とするなどの先進船舶の研究開発に係る経費の補助に充てるものでございます。
 この研究開発につきましては、本年度予算上は御指摘のとおり一・二五億円の計上となってございますが、これは当面は企画、設計段階にあるためでございまして、今後、研究開発の進捗や実施する事業の増加などに対応いたしまして、来年度以降の必要な予算の確保に向けまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 また、先進船舶導入等計画認定制度の導入に当たっての御指摘の申請の負担の軽減でございますが、これにつきましては、申請書に記載すべき事項を必要最小限度に限るとともに、申請書作成の要領を分かりやすく定めた手引書を策定し、その負担軽減に努めてまいりたいというふうに考えております。



○青木愛

 ありがとうございます。
 最後に、石井大臣の御決意を一言いただけませんでしょうか。


○石井啓一国土交通大臣

 この先進船舶の導入というのは、我が国の海事セクターの国際競争力のやはり源になっていくというふうに思っておりますので、国土交通省としてもしっかりと推進していきたいと考えております。



○青木愛

 期待しております。
 ありがとうございました。








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